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りっきょうじょがくいん
立教女学院中学校
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スクール特集(立教女学院中学校の特色のある教育 #14)

100年受け継ぐ、生徒主体の文化
立教女学院中学校・高等学校では、生徒が自ら学校生活について考え、意見を出し、行動する文化が根付いている。来年、設立100周年になる、女子校として最も古い歴史を持つ生徒会活動を軸に、生徒たちの自治活動の姿を追った。
前例をなぞるのではなく、自分たちで考える
同校の生徒会は1927年、自治の精神を養うことを目的に発足した。学校創立150周年を迎える歴史の中で、生徒会もまた100年近くにわたり、その精神を受け継いできた。生徒会から出された提案について教員も一緒に考え、必要に応じて軌道修正を図る。そうした積み重ねが、学校の文化として根付いていると生徒会顧問の畠山容子先生は話す。
その象徴の一つが、2年前に導入されたスラックスである。以前から生徒たちの間で要望が出ていたものの、導入までには時間がかかった。生徒の側にも「スカートという伝統を変えなくてもよいのではないか」「自分たちの代で変えてしまってよいのか」といった迷いがあり、教員の意見も一様ではなかった。
導入が決まった後も、どこまでカジュアルな服装を認めるのかなど、具体的なルールづくりについて議論が続いた。規定のスラックスを設ける案も出たが、最終的には、「これはダメだよね」という最低限の線引きを、生徒会と教員が話し合って決めていった。
生徒会と教員の関係について、畠山先生は、委員会には必ず出席し、印刷などの実務を担いながらも、基本的には生徒を見守る姿勢を大切にしているという。「本校の生徒はみな真面目で熱心です。ただし、前例をなぞるだけで冒険をしないところには、もう一歩踏み込んで考えるよう促します。本来、これを実現したいのであれば、今までのやり方以外にも別のルートがあるはずなのに、それを考えずに前例をなぞってしまう。そうした時には、別の方法にも目を向けられるよう、問いかけることがありますね」
その言葉を受けて、生徒副会長のAさん(高2生)が経験したのが、マーガレット祭(文化祭)の企画書の見直しだ。同校では、副会長がマーガレット祭の実行委員長を兼務する。企画書は準備の段階に応じて3回、学校に提出するが、Aさんが高2の5月に提出した第1回の企画書について、畠山先生から内容を問い直されたという。「先生にそのように聞かれた時、正直、驚きました。それ以降は、既に決まったことと、これから決めていくことを区別して書くよう改めました。企画書を実際の活動と結びつけて書くことで、自分で考える力や、それを表現する力が身についたと感じています」

▶︎畠山容子先生
生徒会長のFさん(高2生)にも、このような経験がある。高校生徒会が運営する学校説明会では、毎年、前年の内容を引き継いで準備するのが通例だった。「この学校の魅力はたくさんあるので、あれもこれも伝えたいと思って、たくさん準備してリハーサルもしていました。でも、それが本当に伝わるのか、と見直すことになりました。例えば、校舎がきれいといった形を紹介するのではなく、そこでどんな生活を送っているのか、気持ちの部分を伝えることに重点を置きました。体育についても、ダンスの授業があることや、オリジナルの『立教体操』があることを紹介しました。特に立教体操は、言葉で説明するのではなく、実際に踊って見せることにしました。同時に、かっこいい体育着も披露することができ、見ている方々も笑顔になっていたので、やって良かったです」
畠山先生が、生徒たちの姿から感じているのは、指摘を受けた後の“修正する力”だ。「『わかりました』という言葉ではなく、行為で伝わってきます。教員の意見をそのまま受け入れるのではなく、生徒同士の話し合いによって新しいものを作り直す。理解する力や行動力も育っていることを実感しますね」

▶︎学校説明会で立教体操を披露
「やってみたい」を形にする、生徒会のリーダーたち
立教女学院の生徒会活動を担う高2生のFさんとAさん。2人はどのような思いから生徒会活動に関わり、リーダーとして活動するようになったのだろう。
――まず、生徒会活動に関わるようになったきっかけを教えてください。
Fさん 中学から生徒会活動に関わっていました。高1の時はマーガレット祭運営委員会で活動していました(注:生徒会活動の中枢である執行委員会は高2生が務める)。小さい頃から人前で話すのは得意なほうで、中3の時に学校生活を裏から支える活動にやりがいを感じていました。大学受験をする予定なので、最初は躊躇しましたが、周りから「やらないの?」と言われ、人生一度きりの高校生活に挑戦してみようと思いました。
Aさん 中学3年間、生徒会と学級をつなぐ中央委員会に所属し、生徒会活動を裏から支えてきました。高1でマーガレット祭運営委員会に入り、1年間、文化祭に携わったことにやりがいを感じ、高2ではもう一歩踏み込んでリーダーとして関わりたいと思うようになりました。
――それぞれどんな仕事をしているのですか?
Fさん 生徒総会の取りまとめなどを行っています。一番大がかりな仕事は、やはり7月の高校生徒会が運営する学校説明会ですね。小学生に立教女学院の魅力をいかに楽しく理解してもらえるか、生徒目線で学校生活の一日や、部活・委員会・行事などを紹介しています。今年からの新しい試みとして、学食のパンや学校マーク入りの文房具の販売も行い、大好評でした。アンケートには「生徒会の人たちが笑顔で説明してくれたのが心に残った」「自分も生徒会の活動をしたい」「立教女学院の魅力がよくわかって、第一志望になりました」といった声が寄せられ、準備で大変な時もありましたが、救われる思いでした。
Aさん マーガレット祭実行委員会の指揮をとります。実行委員は、生徒会から17人、生徒会以外から24人が加わります。装飾、企画など、部門ごとに分かれて活動し、仕事内容が異なる中でまとめていくことが大事な仕事です。

▶︎高校生徒会が運営する学校説明会で登壇するFさんとAさん
――生徒主体の校風を感じるのはどんなところですか?
Fさん 生徒がやりたいことに対する先生からのサポートは手厚いと感じます。各委員会がすべて「この学校を良くしたい」という気持ちのもとで主体的に活動しています。登下校時のマナーについて改善した方が良いと思う時は、話し合いをし、立ち番や声掛けなど、生徒会として対応を考えます。
Aさん 既存のルールを当たり前だと思うのではなく、学校をより良くするために何ができるかを考え、必要なことは学校に提案していく。そうした意識が生徒の中に根付いていると感じます。

▶︎登校時、広がって歩かないように声かけをしている生徒会役員
――生徒会活動で心がけていることは?
Fさん 会長という肩書はありますが、委員会ではみんなが平等です。一人ひとりの意見を聞いて、それぞれの「やってみたい」をつないでいくことが自分の役割だと思っています。学校説明会で体育着を着て立教体操を披露するというアイデアも、一人の委員の意見でした。そうした声を拾い、形にしていくことを大切にしています。
Aさん マーガレット祭の運営では、いろいろな部門に目を配り、全体がうまく進むように支えることを大切にしています。ここはどうするべきか、どの部門が助けを求めているのかを、自然に考えて行動しています。
――生徒会活動を通して、成長したことは?
Fさん 責任の大きい仕事を任され、学校全体や、学校説明会を通じて出会う未来の生徒たちに対しても、どう振る舞うべきかを考えなくてはなりません。そのための時間を確保するために、スケジュールを把握し、周りと共有して、事前に計画を立てて行動するようになりました。やるべきことが多くなって、メモを取る習慣もつきました。
Aさん 私もスケジュール管理ができるようになりました。もともとは物事を先延ばしにするタイプでしたが(笑)、標準的なレベルまで改善できたのは成長だと感じています。また、学校の中の違和感や、納得できないことに働きかけられるのが生徒会だという意識が強くなり、課題に気づいたら変えていこうと思うようになりました。
行事も学校生活も、自分たちでつくり上げる
生徒主体の文化は、生徒会活動だけにとどまらない。体育祭では、各学年に決められた種目がある一方、自由競技は毎年、体育委員が考案する。安全面やルールについて教員と確認しながら、生徒たちが運営にも携わる。ダンスも、かつては決められた演目と振り付けで踊っていたが、現在は創作ダンスになっている。学年ごとにテーマを設定し、各クラスが2案ずつ出した計8案の中から、生徒の投票で一つを選ぶ。選ばれたダンスは、各クラスのダンス委員を通じて振り付けが伝えられ、約180人の生徒が一緒に踊る。
合唱交歓会も生徒だけでつくり上げる。各クラスから選ばれた音楽委員が音取りなどを担当し、音楽の得意な生徒が中心となって、クラスの練習をリードする。経験を積んだ高校生が中学生の指導に加わるなど、学年を越えたつながりも生まれているようだ。
Fさんは、こうした学校生活の中で「自分で考える」場面が多いと話す。「この学校は制服がありませんが、生徒は場に応じた服装を自分で選びます。体育祭や文化祭、合唱交歓会といった行事でも、自分たちがどう行動すればうまくいくかを考える。自分で判断して行動する機会が多い学校だと思います」
生徒たちが自分で考え、行動する背景には、学校側が「問い直すこと」を受け止める環境がある。畠山先生は、「日常のちょっとした引っ掛かりや違和感みたいなものを、言葉にしてほしいし、学校はそういう場をつくるべきだと思っています」と語る。
「生徒一人ひとりの中には、必ず『あれ? 私の考えとは違う』という感覚があるでしょう。それを『でも、まあいいか』で終わらせるか、『言ってみよう』と踏み出すか。その分かれ道には、学校の環境が大きく関わると思っています。教員という立場自体に生じる圧力を完全に消すことは難しいですが、生徒たちには『言ってみたら何か変わるかもしれない』という、一歩を踏み出す力を持ってもらいたいですね。そして、『やってみたことで変わった』『やってみて良かった』という経験を、学校という限られた空間で積み重ねてもらいたい。実際の世界はもっと広いです。自分の迷いをどう受け止め、そこから自分の道を切り拓いていくか。そうした力を持って卒業してほしいと願っています」
<取材を終えて>
前例をなぞることの安心感を知りながら、それでも一歩踏み出す勇気を選んだ生徒たちの言葉が印象的だった。学校生活のルールもまた、地道な話し合いの積み重ねの上にある。安心して提案し、行動できる空間づくりこそが、生徒の自治を100年続けてきた立教女学院の土台なのだと感じた。

▶︎高3の創作ダンス「シンドバッドの冒険」

▶︎合唱交歓会
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