スタディ中学受験情報局(中学受験に関するニュースや最新情報をスタディがお届け)

2016/1/26(火)

変わる学校教育。今、注目されている私立中学校の魅力とは?第2回(2/4)

私立中学校の魅力とは?〜その1 子どもの将来を見通した教育を行う〜

私立中学校では、中学校卒業後、または高校卒業後、さらに大学進学後という、生徒の将来を見通した教育に力を入れていることが大きな魅力であり、メリットです。
その教育は、大きく次の4つのタイプに分かれます。それによって中学、または高校卒業後の進路選択も変わります。

◆タイプ1
大学の附属校または系列校であり、中学から併設高校へ進み、さらにほぼ全員が大学へ内部進学。
◆タイプ2
大学の附属校または系列校であり、中学から併設高校へ進み、大学は他大学を受験。または附属・系列の大学へ内部進学。
◆タイプ3
中学から併設高校へ進み、高校卒業後は大学を受験。
◆タイプ4
中学校卒業後は他高校を受験。

以上のタイプによって、教育の中身が異なります。どのタイプの学校も、それぞれの教育方針・目標に基づいて充実した教育を行います。

次に、それぞれのタイプについて見てみましょう。

タイプ1~ほぼ全員が附属・系列の大学へ内部進学

中学校では、附属・系列の大学に進学することを前提としたカリキュラムにより教育を行います。
高校入試・大学入試がない分、ゆとりある中高6年間のなかで高度に学びます。中学・高校の枠にとらわれず、発展的・応用的な学びを行い、さらに大学入学後を見越して、教養教育にも力を入れます。たとえば、第2外国語の授業や、中学および高校での卒業論文制作、教養講座や併設大学の講義の受講など。

こうした学校は大学に内部進学できるからといって、入学すればもう安心ということではありません。大学の希望学部へ進めるかどうかは、高校の成績によります。人気の学部や、成績基準の高い学部もあるので、中高時代の勉強を疎かにできません。校風は自主・自立を重んじ、自由です。一人ひとりの意思が尊重される分、自己管理能力が求められます。

以下の中学校は、併設高校を卒業後、ほぼ全員が附属・系列の大学に内部進学します。

◇慶應義塾中等部(共学・東京都)
卒業後・・・中等部卒業後は、慶應義塾高校(男子校)、慶応義塾志木高校(男子校)、慶応義塾女子高校(女子校)、慶応義塾湘南藤沢高校(共学)、慶応義塾ニューヨーク学院(共学)のいずれかへ進学。
◇慶應義塾普通部(男子校・神奈川県)
卒業後・・・慶応義塾女子高校を除く3つの併設高校のいずれかへ進学できるが、ほとんどの生徒が慶應義塾高校(男子校)へ進む。
◇慶応義塾湘南藤沢中等部(共学・神奈川県)
中高一貫校。
◇早稲田大学高等学院中等部(男子校・東京都)・早稲田実業学校中等部(共学・東京都)
ともに中高一貫校。高等学院中等部は2010年に開校した。

このほか、附属・系列の大学への内部進学率が高い(8割~9割)中学校として、
■東京
(男子校)
立教池袋中学校
(共学校)
青山学院中等部・中央大学附属中学校・東海大学付属高輪台高等学校中等部・法政大学中学校・明治大学付属明治中学校・明治大学付属中野八王子中学校 など。
■神奈川
(女子校)
日本女子大学附属中学校
(共学校)
東海大学付属相模高校中等部・法政大学第二中学校 など。
■千葉
(共学校)
東海大学付属浦安高校中等部 など。
■埼玉
(男子校)
立教新座中学校 など。

女子美術大学付属中学校

また芸術系として、国立音楽大学附属中学校(共学・東京都)では、卒業生のほとんどが附属高校へ内部進学し、同高校音楽科から国立音楽大学へ7割以上が内部進学する。女子美術大学付属中学校(女子校・東京都)では中高一貫教育を行い、高校卒業後は約7割が女子美術大学へ内部進学する。

タイプ2~他大学を受験、または附属・系列の大学へ内部進学

近年では、大学附属の中学校であっても、外部大学を志望する生徒が増えており、学校としても積極的に受験を後押しします。コース別などにより、外部大学受験指導をする学校が多く、難関大への合格実績を伸ばしています。なかには他大学受験の結果を待って併設大学への内部進学もできるなど、柔軟な選択肢が用意されています。
以下の学校は、例年東大・京大・東工大・一橋大・東京外語大・千葉大・お茶の水女子大・首都大学東京など国公立大、早慶上智・東京理科大、GMARCHなど私立大学、国公立・私立大医学部に高い合格実績を築いています。

芝浦工業大学中学校(男子校・東京都)
併設高校では難関国公立・私立大受験対応のコースを設置。芝浦工業大学への内部進学者は4割程度。
芝浦工業大学柏中学校(共学校・千葉県)
併設高校では難関国公立・私立大受験対応のコースを設置。併設高校から芝浦工業大学への内部進学者は少なく、大半が他大学を受験する。
◇桐蔭学園中等教育学校(男子校・神奈川県)、桐蔭学園中学校男子部、桐蔭学園中学校女子部(神奈川県)
主要教科は独自のシステムによる習熟度別授業を実施し、例年東大2ケタ合格、早稲田大・明治大などに3ケタ合格など難関国公立・私立大に多数合格。
東京電機大学中学校(共学・東京都)
東京電機大学への内部進学者は少なく、大半が他大学を受験。カリキュラムもそれを前提にして先取り学習や習熟度別授業を行う。
東京都市大学付属中学校(男子校・東京都)、東京都市大学付属等々力中学校(共学・東京都)
それぞれ難関国公立・私立大を目標としたコースを設置。2校とも東京都市大学への推薦権を保持したまま国公立大を受験できる。
獨協中学校(男子校・東京都)
伝統的に医学部進学者が多い学校として知られ、例年医学部に40名程度という高い合格実績。
立教女学院中学校(女子校・東京都)
併設高校から例年立教大学へ6割程度内部進学。ほかは外部大学を受験。
◇早稲田中学校(男子校・東京都)
中高一貫教育を行い、系列大学の早稲田大学へは5割弱が内部進学。学校として外部大学への進学指導に力を注ぐのが、早稲田大学高等学院中等部、早稲田実業学校中等部との大きな違い。

このほか、以下の学校があります。
■東京
(男子校)
聖学院中学校
(女子校)
大妻中学校共立女子中学校共立女子第二中学校実践女子学園中学校女子聖学院中学校、聖心女子学院中等科、東洋英和女学院中学部、文京学院女子大学中学校
(共学校)
国学院大学久我山中学校、立正大学付属立正中学校 など。
■神奈川
(女子校)
フェリス女学院中学校、洗足学園中学校 など。
■千葉
(共学校)
東邦大学付属東邦中学校麗澤中学校 など。
■埼玉
(共学校)
西武学園文理中学校 など。

タイプ3~中学から併設高校へ進み、卒業後は大学を受験

私立中学校のボリュームゾーンであり、伝統校も多くあります。各学校とも独自の建学の精神に基づき、特色ある人間教育を行うとともに、大学進学指導にも力を入れています。校風も学校によりさまざまです。

こうした学校では、効率的できめ細かい大学受験対策を行っています。その主な特徴を次に挙げると、
○コース別カリキュラム
文系・理系コース、東大コース、難関国公立・私立コース、医学部コースなど。先取り授業を行い、中学段階から高校の範囲も学び、高2、または高3の速い時期に中高6年間の学習を終える。以降は少人数の演習授業などで志望別の受験対策を中心に指導。
○少人数教育・習熟度別授業
英語・数学を中心に、1クラスを2分割するなどの少人数教育や、習熟度別授業を行う。
○放課後および早朝の特別講習や、長期休暇中の集中講習
大学進学に対応する講習として、英・数・国を中心に行う。高校では受験に直結する数十におよぶ講習を実施。近年では予備校の講師が担当するところも。
○自習室の設置とチューター制
近年急速に広まっている。個別ブースによる自習専用室や図書閲覧室は早朝から夜8時(高校生)まで利用でき、学校によっては長期休暇中も開放。放課後の自習室では、教員や大学生チューターが生徒の質問や学習相談に応じ、個別にサポートする。
○e-ラーニングやサテライト講座
大学受験や授業の予習・復習など、個々のニーズに応じて幅広く学習サポートする。サテライト講座では予備校の授業を受けることもできる。

私立学校の多くが、塾・予備校に通わずに、志望大学に現役合格できることをめざしてさまざまな受験対策・学習サポートを行っています。以上の対策のうち、長期休暇中の講習などは有料とする学校もありますが、費用は塾・予備校に比べて低額です。

以下に大学進学指導に力を入れる私立中学校の一部を紹介します。各学校とも難関国公立・私立大学、人気大学への合格実績を築いています。

■東京
(男子校)
足立学園中学校京華中学校攻玉社中学校・佼成学園中学校・城北中学校・世田谷学園中学校本郷中学校明法中学校
(女子校)
吉祥女子中学校・京華女子中学校晃華学園中学校佼成学園女子中学校東京女学館中学校富士見中学校富士見丘中学校普連土学園中学校三輪田学園中学校山脇学園中学校
(共学校)
郁文館中学校桜丘中学校実践学園中学校昌平中学校広尾学園中学校星野学園中学校明星中学校安田学園中学校
■神奈川
(男子校)
浅野中学校・栄光学園中学校・逗子開成中学校・聖光学園中学校
(女子校)
聖セシリア女子中学校聖ヨゼフ学園中学校・捜真女子中学校
(共学校)
森村学園中等部山手学院中学校横須賀学院中学校
■千葉
(共学校)
市川中学校・昭和学院秀英中学校・成田高等学校付属中学校
■埼玉
(男子校)
城北埼玉中学校
(女子校)
浦和明の星女子中学校
(共学校)
春日部共栄中学校・埼玉栄中学校・埼玉平成中学校・栄東中学校

タイプ4~中学校卒業後は他高校を受験

武蔵野東中学校

併設高校を持たない私立中学校として、武蔵野東中学校(共学・東京都)があります。少人数教育、習熟度別授業、特別進学学習など独自の手厚い指導により、中学3年間で高い学力を養います。例年の高校合格実績として、国立は筑波大附属駒場高・学芸大附属高など、都立は駒場高・国立高・戸山高・西高など、私立は国際基督教大学高・早稲田大学高等学院・早稲田実業学校高等部・専修大学附属高・西武学園文理高・杉並学園高など。