西武台新座中学校
スペシャルレポート
全教員が全力で支える進路指導で
入学前からの夢を叶え、医学部へ進学!
公開日:2022.04.--
生徒たちが抱く夢の実現に向けて、教員が一丸となって全力で進路指導を行っている西武台新座中学校。小学生の頃から抱いていた医学部進学という夢を実現した卒業生と、彼女を支えた教員が合格までの軌跡を振り返る。
Index
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勉強面での手厚いサポート
中学入学時にはすでに医学部に進学したいという強い思いを抱いていたKさんと、中学生のときにKさんの学年主任だった河野芳人先生に、同校の勉強面でのサポートについて話を聞いた。
「医師になりたい」と思ったのは小学生の頃
西武台新座中学校5期生のKさんは、学校推薦型選抜(一般公募枠)*で埼玉医科大学医学部医学科に合格した。医学部に進学したいという強い思いは、中学受験のときにはすでに抱いていたとKさんは振り返る。
*学力試験、小論文、面接、自己推薦文などによる選抜
「小さい頃は胃腸が弱く、小児科に通っていました。そのときから診てもらっている女性の先生は、相手が子どもでも患者の目をしっかり見て話を聞いてくれます。それだけでとても安心できますし、実際に病気も治りました。テキパキと診察する姿などがとても格好よく見えて、医師に憧れるようになったのです。小学生の頃には、はっきりと医学部に進みたいという思いがあったので中学受験をしました」(Kさん)
Kさん
家から近くて通いやすいことと、少人数制なので、教員が一人ひとりに目を向けて指導してくれることに期待して同校を受験したというKさん。入学後は、その期待どおりの手厚い指導が受けられたことに感謝しているという。
「この学校に来て、本当によかったと思っています。先生方の面倒見がよく、数学の先生には、毎日質問した時期もありました。少人数制なので、私の苦手なところをわかってくれていて、コロナ禍ではオンラインで質問に対応してくれたこともあります。理系なのに数学Ⅲが苦手なのですが、基礎的なことがわからないと言っても『何でわからないの?』などと言われることはありません。基礎からでも前向きに教えてくれますし、その問題が解けない原因を見つけるために、どこで躓いているかを一緒に遡ってくれたりもしました。そういった指導のもとで、できなくても諦めずに復習していったら、本番で解けた問題もありました」(Kさん)
生徒一人ひとりに合わせた柔軟な進路指導
同校の進路指導は、生徒一人ひとりに合わせて柔軟に行われている。中学3年次に学年主任や副校長が面談を行い、夢ややりたいことを聞き、その希望に添うにはどうすればよいか、生徒の学力や特性に合わせてサポートしていく。医学部への進学についても、システム化された指導方法などはなかったと、中学時代にKさんの学年主任だった河野芳人先生は振り返る。
「本校では、学年ごとにスローガンを決めています。Kさんの代は『笑顔の学年』をスローガンにして、みんなが笑顔になるためには、なりたいものになれる力をつけることが必要だと考えました。勉強面で導入したのは、クラス単位とは別に、学力レベルに合わせたサポート体制です。学力差がある生徒たちをグループに分けて、どうしたらそれぞれが夢を目指せるか考えてサポートしていきました」(河野先生)
河野先生
例えば、上位層は、模試で偏差値を上げることを目指し、学校の勉強以上の課題を出し、振り返りを行った。学校の勉強はできているが、提出物がなかなか出せないために力が発揮できていない生徒のグループには、学習指導だけでなく生活指導も含めて行う。勉強が苦手で、自宅学習の習慣がない生徒のグループには、学校に残って勉強できる環境を作るなど、学年の教員全員でサポートした。
「グループによって課題や接し方を変えて、学年の先生たちみんなでサポートしました。私は学年主任ではあったのですが、Kさんの教科は担当していないので、見えていない部分もあったと思います。そこに、いろいろな先生が関わってくることで、足りない部分をフォローし、彼女のいいところも発見できました。日頃から教員同士のコミュニケーションもとりやすい環境なので、会話の中から自然と生徒の情報も共有できます。実は私も本校の卒業生なのですが、昔から先生方の温かさを感じていました。いろいろな角度から手を差し伸べ、生徒たちの成長をサポートしています」(河野先生)
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距離の近さで精神面もきめ細やかにサポート
学校推薦型選抜では、自己推薦文も重要な役割を果たす。高校で国語の授業を担当し、自己推薦文などでKさんの指導にあたった熊倉京子先生に、添削指導などについて話を聞いた。
自己推薦文は人としての魅力を引き出せるように指導
学校推薦型選抜で重要となる自己推薦文は、Kさんの人柄が伝わる文章になるように指導したと、熊倉先生は語る。
「自己推薦文では、Kさんという人間のよいところをきちんとわかってもらえる文章にすることが大切だと考えました。医師というのは、学力ももちろん大切ですが、人ができあがっていないと厳しい職業だと思っています。私の両親が医師にお世話になった経験があり、人としてできている医師との出会いや医師の支えが、患者やその家族に与える影響がいかに大きいかを実感しました。Kさんは、話す言葉も柔らかく、初対面の人にも悪い印象を与えません。もっと話を聞きたいと思わせる空気感を持っているので、そのような部分が前面に出るように指導しました」(熊倉先生)
熊倉先生
Kさんが地域医療に携わりたいと考えていることなど、医学部入ることだけでなく、その先を見据えた理想の自分についての話なども、熊倉先生とは自然にしていたという。
「地域医療は、高齢者や様々な問題を抱えた患者さんとも関わることになります。Kさんはそういった方たちの心を開かせる力を持っているので、それがじわっと伝わるように添削しました。接続詞を上手に使って展開豊かに素敵な文章を書くことも大切ですが、それ以上に、Kさんの人としての魅力をわかってもらえるような文章に仕上げることが大切だと考えたのです。女性として、1人の高校生として、素直な言葉が引き出せるような指導を心がけました」(熊倉先生)
「頑張る力」の源は応援してくれる人たちの存在
同校の教員は生徒との距離が近く感じられ、勉強のこと以外でも気軽に相談できたことが、Kさんにとって大きな支えになったという。
「成績が足りていなくても、学部を変えたほうがいいとか、諦めなさいなどとは言わず、先生方は前向きに背中を押してくれます。励ましの言葉などもたくさんいただきましたが、一つひとつの言葉というより、応援してくれる人がこんなにいるんだと実感できたことが、頑張る力になりました。弱気になったときも先生方は話を聞いてくれて、『こんなに頑張っているんだから、そのまま頑張れば大丈夫』と言ってくれる先生や、冷静に成績を分析してアドバイスをくれる先生がいます。友達もみんな支え合って、それぞれ苦手なところを教え合ったりしました」(Kさん)
医学部に進みたいという目標があるなら、諦めずに頑張ってほしいと、Kさんは後輩たちにエールを送る。
「最後まで諦めずに苦手を克服していけば、本番で解けることもあります。この学校では、生徒と先生の間に壁がなく、先生方は本当に親身になって支えてくれます。わからないところを質問すれば、基礎からでも全力で教えてくれる先生しかいません。医師になりたいという気持ちがあるなら、もし今の時点で学力が足りなかったとしても、諦めずに自分を信じて頑張ってほしいです」(Kさん)
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6年間共に成長した仲間は大切な宝物
同校では、高校に上がるときに、内進生と高入生は混ざらないクラス編成となっている。中学入学から6年間一緒に過ごし、共に成長したクラスメイトとの思い出について、Kさんに語ってもらった
みんなで考え、新しいことにもチャレンジした6年
Kさんは中高一貫の5期生であり、行事などもみんなで考えて新しいことにも挑戦してきた。その1つとして、総合表現活動という行事がある。Kさんの前の代までは、合唱祭というイメージで行われていたが、Kさんの代が担任の先生も交えた楽しいダンス発表をしたのをきっかけに、それ以降はダンスが主流になったという。
「中学では、11月に総合表現活動という行事があります。クラスごとに、歌やダンスなどの表現活動を自分たちで作り上げて発表するのですが、私たちは毎回ダンスの発表をしました。専門的なダンスではなく、CMなどで流行っている曲に合わせて踊ってみる感じです。この行事は、私たちの代までダンスの発表はなかったようですが、担任の先生が『表現なら、何でもやっていいんだよ』と言ってくれたので、踊ってみようということになったのです。とても楽しかったですし、みんなで1つのものを作り上げていくことで、絆が深まったと思います」(Kさん)
新型コロナウイルスの影響で、高校2年次の文化祭は実施できなかったが、代わりにクラスごとに動画制作に挑戦。Kさんのクラスは、朝の情報番組「ZIP」風に、同校の魅力を伝える動画を制作した。その作品が最優秀賞を受賞したことも、よい思い出になったという。課外活動としては、6年間茶道部に所属したKさんに、部活動の思い出を聞いた。
「お茶を点てる人も点てたお茶を飲む人も、思いやりの気持ちが大切です。部活動を通して、茶道の先生に対する礼儀や、先輩や後輩に対する接し方も学びました。茶碗の回し方1つにも意味があることなど、先生から教えていただいたことは、意味も含めて後輩に伝えるようにしています。茶道部での6年間で、お茶の点て方や作法だけでなく、真心や思いやりも学ぶことができました」(Kさん)
「わからない」と素直に言えたことで大きく成長
6年間過ごした校舎の中で、思い出深い場所はプレハブの小さな教室だと語ったKさん。クラスの中で文系と理系に分かれて授業を受けるとき、理系は移動してプレハブの教室で勉強することが多かったという。その教室で授業を行った熊倉先生も、「わからないことをわからないと言える貴重な時間でした」と、当時を振り返る。
「通常の教室は40人が入れる広さがありますが、プレハブの教室はその半分もないほど狭いです。2列ある机のすぐ前に教卓があり、黒板の横幅と同じぐらいの幅しかありません。そこに理系の生徒5人が座り、教員も生徒もお互いのつぶやきさえも耳に入るほどの近さです。そのような距離感だと、『わからない』と思ったことをそのままにせず、すぐに投げかけることができます。知らないことを知らないと素直に言える、わかっていない自分をさらけ出すことができる素晴らしい環境なのです。そして、わからないというだけで終わらせず、みんなで自分の考えを出し合って、それを足し算して答えにつなげていくこともできます。その結果、学力も着実に伸びました。コミュニケーションが密にできる環境では、教え合いもしやすいです。それが日常生活にもつながっていき、苦手な面をカバーし合える仲間がいることが、本校の中高一貫教育の魅力でもあると思います」(熊倉先生)
卒業式を終えたKさんに、6年間一緒に過ごしたクラスメイトに対する思いを聞いた。
「卒業式では泣くと思っていたのですが、全然泣きませんでした。みんな仲がいいので、卒業したらもう会わないだろうと思う人はいません。また会えると思っているからお別れという感じがしなくて、涙も出なかったのかもしれません。今後も友達付き合いは、ずっと続くと思っています。中高6年間いっしょに過ごしたクラスメイトに対するイメージは、中1の頃に感じていたものと今感じているものはかなり変わりました。それだけ、深く知ることができたのだと思います。上辺だけではない深い付き合いができたことは、私にとって一生の宝物です」(Kさん)
取材を終えて
熊倉先生がしたような自己推薦文の添削は、Kさんの人としての魅力を知らなければできないやり方である。読みやすい文章にするテクニックなどは、大人数に対して講義を行うこともできる。しかし、生徒一人ひとりのよさを知った上での指導は、近い距離で深く生徒と向き合わなければ難しいだろう。マニュアル化やシステム化できない部分も全力でサポートしてもらえることは、生徒にとって大きな力になるのだと、Kさんの話を聞いて実感した。
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