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スクール特集(郁文館中学校の特色のある教育 #6)

導入から6年目で期待が確信に!適性検査型入試と独自教育の親和性

郁文館中学校では、2015年度から適性検査型入試を実施。適性検査型入試で入学した生徒たちが、親和性の高い独自教育によりどのように成長しているか取材した。

郁文館中学校では、2015年度から他校に先駆けて適性検査型入試を実施。初年度の入学生が現在高校3年生となっており、学力の伸びなどの成果が各学年で見えてきている。同校独自の夢教育と適性検査型入試の親和性などについて高橋雄仁先生(進路指導部責任者/数学科)に話を聞き、生徒2人にもインタビューした。

適性検査型入試と独自教育により学びが加速

近年、適性検査型入試を導入する私立中学が増えているが、同校ではいち早く2015年度に導入。適性検査型入試で入学した生徒たちは、学びに対する姿勢などに共通点が見られると、高橋先生は語る。

「適性検査型入試で入学した生徒たちは、ノートをとるのが上手いという印象があります。
黒板に書いたことだけでなく、言葉で話したことなどもメモできる生徒が多いです。言われたことをかみ砕いて自分なりに理解しようとすることができ、自分で考えたことを人に話すのも上手だと思います。粘り強い子が多いので、授業の後に質問をしにくることも多いです」(高橋先生)



成績順位を見るとどの学年でも、成績上位層では適性検査型入試で入学した生徒の割合が大きくなってきているという。



「例えば中3では、成績上位20%中の適性検査型入試で入学した生徒の割合は約40%です。適性検査型入試で入学した生徒は学年全体の約20%なので、全体に占める割合から考えても、適性検査型入試で入学した生徒が大きく伸びていることがわかります。さらに、高2を例に挙げると、学年のトップは、文系も理系も適性検査型入試で入学した生徒です。適性検査型入試のトレーニングを積んできた子たちは、思考力や表現力といった本校での学びのベースになるものが備わっています。思考の柔軟性を持って入学してきている生徒たちは、本校の独自教育によって様々な学びを加速させることができるのです」(高橋先生)

▶︎高橋雄仁先生(進路指導部責任者/数学科)

素地がある生徒を伸ばすためには「目的」が重要

適性検査型入試で入学した生徒の場合、多くは同校が第1志望だったわけではない。しかし同校に入学後は、「夢合宿」などのプログラムを通して、前向きな気持ちで学校生活を送れるようになるという。

「本校の教育は、『子どもたちに夢を持たせ 夢を追わせ 夢を叶えさせる』ことを目指しています。先を見据えた指導をしていくために、入学してすぐに『夢は何?』という話をして、どんな大人になりたいか聞いていきます。ですから、過去を振り返るより、先のことを考える機会が多いのです。そして、夢を実現するためにどうすればよいか、逆算して考えていきます。入学した翌日に、不安も期待も背負ったままいきなり参加するのが夢合宿です。郁文館はどんな学校なのか夢を絡めながら説明し、中学生としての自覚を芽生えさせます。次第に学校生活が輝いていくものになるのだと、合宿に参加することで前向きな気持ちになっていく生徒が多いです」(高橋先生)

高2の文系で成績がトップの生徒は、同校が第2志望だったが入学後に大きく伸びたよい例だという。

「彼は国公立大を目指しているので数学の勉強も必要なのですが、中学に入学する前から算数は得意ではありませんでした。現在、トータルの偏差値は65以上あるのですが、高1の5月に受けた模試で数学の偏差値が30台。とても悔しがり『どうしたら数学が伸びますか?』 と私のところへ相談に来ました。さらに、彼が所属する東大クラスは夏休みに10泊11日の夢合宿があり、そこで苦手な数学を克服した文系の先輩に1対1で1時間ぐらい話を聞いて、克服するヒントを得たそうです。5月の模試後から数学を猛勉強して、9月の模試では偏差値60を越えました。彼は半端ではない努力をしていましたが、やはり夢や目的がはっきりとしていることが、原動力になったのだと思います」(高橋先生)


もちろん彼のように、自分から積極的に動けるような生徒ばかりではない。しかし、そのような生徒たちも、「目的」というスイッチが入ればぐっと伸びるのだと、高橋先生は説明する。



「目的意識が弱いと、取り組んでいこうという気持ちも弱くなりがちです。本校では、
夢に向けて具体的な行動を起こしていくために、夢から逆算した計画、スケジューリングを可能とする『夢手帳』を配布しています。また、ホームルームや学校行事を通して、人前で自分の考えを伝える機会も多く、授業だけでなく様々な活動の中で、『目的』というスイッチを見つけることが期待できます。本校には、素地がある子を伸ばしていくノウハウがあるのです」(高橋先生)

適性検査型入試と独自教育の親和性

適性検査型入試のトレーニングをしてきたことを活かし、より伸ばしていくことができる同校の教育とは、具体的にどのようなものなのだろうか?



「私は高校の数学を担当していますが、証明問題では間違い探しなども行っています。例えば、証明問題の過程で、一見正しいような解答を見せて、どこが間違っているかを探させる問題です。定理を覚えるだけでなく、しっかりと道筋をたどることができれば間違っていることがわかります。答えを出すだけの勉強をしていたり、解き方だけを覚えていたりしていては難しいでしょう。さらに『わかる』から『できる』にするために、生徒同士で教え合ったり、わからない子や教員に向けて説明をさせたりもしています。1年生は文系の生徒も数学が必要です。1年生のときから『定理を覚えればいい』ではなく、本質をしっかりと理解し、自分で解けるように指導しています」(高橋先生)



実践的探究活動により、新たな価値を創造する「社会探究」への地盤づくりとしては、毎朝25分間、新聞やニュースを活用した「NIE(Newspaper in Education)」を実施している。



「それぞれが関心のあるテーマを新聞記事などからピックアップし、要約します。その後、グループに分かれて意見発表と意見交換。毎回必ず全員に発言の機会を設けているので、人前で自分の意見を論理的に発表する訓練にもなります。また、SDGsに関連した記事を選ぶなど、社会的な出来事に興味・関心を持ち、知識と思考を深めることにもつながっています。本校では、問題を見て答えを出すだけでなく、自分で答えを練り上げるアウトプットの機会も多いです。どうすれば相手に伝わるか、発表するときの姿勢や目線なども指導しています。もちろん、アウトプットするにはインプットも必要なので、バランスをとって授業を展開しています」(高橋先生)



探究型の修学旅行や検定試験への取り組みも、総合型選抜(旧AO入試)などの大学受験の強みになると、高橋先生は語る。



「将来やりたいことを実現させるためにはどの大学へ行くのが一番よいかと考えると、やはり難関大学を狙う生徒が多くなります。適性検査型入試のトレーニングで育まれた思考力や表現力は、今の時代に求められている力です。今年度は、横浜市立大学などで総合型選抜の合格実績が出ています。適性検査型入試対策で育んだ力を、ぜひ本校でさらに伸ばしてほしいです」(高橋先生)

適性検査型入試で入学した生徒2人にインタビュー

Mくん 高2(中学:特進クラス 高校:東大クラス)
Hさん 中3(特進クラス)

――中学入試の受験勉強はどのようにしていましたか?

Mくん 地元の公立中学に行きたい気持ちがあまりなかったので、軽い気持ちで受験すると決めました。塾は合わなかったので、5年生ぐらいに少し通っただけです。その塾で、適性検査の練習ができるから、公立一貫校の本番の空気を知るために受けたらとアドバイスされたのでこの郁文館を受験しました。

Hさん 小学4年生の終わりぐらいから、個別指導の塾に通っていました。そこで適性検査の勉強をしていたので、この学校の受験でも活かされたと思います。

――この学校に通ってみてどうですか?

Mくん 第2志望でしたが、それほど受験に力を入れていなかったので、第一希望を不合格になったことには僕自身のダメージはあまりありませんでした。郁文館では先生方やクラスメイトにも恵まれていて、最初から楽しく通うことができました。

Hさん 最初は不安もありましたが、夢合宿で一気に仲良くなれました。学校全体が明るい感じがして、周りのみんなも優しいです。みんなの明るさや優しさに影響されて、自分の性格も変わったと思います。小学生の頃はあまり積極的でなかったのですが、以前より積極的になれて、明るくなったと思います。前は周りの人たちが強い感じがあったので、あまり自分を出せなかったのですが、この学校ではみんなが優しいので自分を出しても大丈夫と思えます。

――中学の授業で、小学校との違いを感じたものはありますか?

Mくん 僕の代から、1人1台パソコン(Chromebook)を持つようになりました。中学の数学では、パソコンを活用して思考力を養う授業を行っていました。Googleスライド*を使って、個々で問題を作って発表したり、かなり難しい問題を先生が黒板に書いて、個人で考えたり、みんなで一緒に考えたりして、頭を使う授業だったことを覚えています。そのような授業を受けていると、小学校とのギャップを感じました。小学生のときも調べ学習の発表などはありましたが、ベクトルが全然違います。Googleスライドでプレゼンの資料を作るなど、自分で何かを作り出して発表する機会が多く、これが新しい学びなんだと思いました。
*OfficeのPowerPointのようなアプリ。

Hさん Googleスライドは1年生からずっと使っています。例えば、社会で世界の国について調べて、クラスのみんなに発表するときに、プレゼンの資料を作ったりしています。

――数学以外の科目はどうでしたか?

Mくん 英語や社会でも発表の機会が多かったです。例えば英語は、「紹介したい人」というテーマを出されて、有名人でも友達でもいいので自分が紹介したい人を見つけます。そして、その人を紹介する文章を英語で書いて、アプリのアニメーション機能なども使ってスライドを作って発表しました。誰を紹介するかで一人ひとりのオリジナリティが出せて、発表するときの話し方などでも性格が出たりして、とても楽しかったです。楽しいから、英語の力が伸びたという感覚があります。

――将来の目標を教えてください。

Mくん 一橋大学の商学部を目指しています。この学校では、将来設計をきちんとするために、考える機会がとても多いです。僕の場合は、親が苦労人なので親孝行したいと考えていて、そのためにお金を得る必要があります。自分が興味のある分野が広告なので、広告関係に就職するために商学部を目指し、面接で通るためにはやはり難関大学の方がいいので一橋を第1志望にしています。

Hさん 保育士になりたいという気持ちがありますが、まだ具体的には決まっていません。 ほかの職業についてまだほとんど知らないので、これから郁文館の夢達人ライブなどを通してもっといろいろな職業について知りたいです。 

――この学校のいいなと思うところを教えてください。

Mくん いろんな行事が盛り上がりますが、僕が一番好きで頑張ったのは中学時代の合唱コンクールです。熱くなりすぎてクラスの中で分裂もあったりしましたが、それを乗り越えて男女が関係なくみんなで一生懸命練習しました。中1で準優勝だったのが悔しくて、中3で優勝できたときは本当に嬉しかったです。


Hさん 入学する前は、新しい環境になじめるか、いじめはないかなどの不安がありましたが、クラスのみんながとても優しくて、私もよい影響を受けています。以前は体育祭が中高合同だったので、高校生の先輩にも優しく接してもらえて、仲良くなれました。みんなが優しいところが、この学校の一番いいなと思うところです。

Mくん この学校には、なぜか優しい人が入ってくる気がします(笑)。先生も優しいので、安心して過ごせると思います。

<取材を終えて>
同校の適性検査型入試は、作問チームの教員が1年かけて作成している。近隣の公立中高一貫校の出題傾向を徹底的に分析し、問題数や時間配分も同じになるように作られているのだ。2月1日受験者には、試験後に「フィードバック解説授業(希望者)」も行われるので、本番に向けた練習としても人気が高まっている。今回インタビューした2人も本番前の練習として同校を受験したが、入学後はとても充実した学校生活を送っていることが伝わった。


インタビュー中Hさんはとても緊張していたが、そんなHさんを気遣ってMくんが優しく声をかけていた様子が印象的だった。

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