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細田学園中学校
スペシャルレポート 5

創立100周年。
新校長が語る細田学園の歩みと未来!

公開日:2021.10.29

2021年、細田学園は創立100周年を迎えた。「愛と奉仕」の建学の精神のもと、2019年に開設した中学校では、未来を創る生徒を育成するために、6年一貫の次世代型教育に取り組んでいる。今年4月に新校長に就任した荒井秀一先生に、同学園が大切に受け継いできた伝統と、今後の展望について話を聞いた。

Index

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建学の精神「愛と奉仕」と人間教育

LPPICS(学園生活のあり方)を身に付け、人間力を高める

1921年、細田学園は、「愛と奉仕」の建学の精神のもと、女学校として創立した。以後100年間、その精神を大切に受け継ぎ、現在も同学園の教育の礎となっている。

「愛と奉仕」には、善い“人間性”、正しいこと、恐れを乗り越え挑戦する“勇気”、自ら決めたことをやり抜く“意志”、という創立者の想いが込められている。荒井秀一校長先生は「単に人を愛するだけでなく、善い人間性や勇気を持って行動し、強い意志のもと最後までやり抜き、結果的に愛される人になることまでが、大事なのではないかと考えています」と自身の解釈を述べる。「生徒たちには『愛と奉仕』の実践を通して人から信頼され、愛される人に育ってほしいと思っています」

荒井秀一校長先生

荒井校長先生によると「愛と奉仕」を学校自体が体現した例として、系列の幼稚園の開設があるという。 「戦後、困窮していた幼稚園とその保護者からの強い要請をうけ付属幼稚園を誕生させ、地域の皆さまからの寄付なども集まり、新園舎を完成させた経緯があります。学園が地域に信頼され、愛された証といえるでしょう」

同学園では、建学の精神を含め、生徒たちが日常生活で身に付けるべきこととして、LPPICS(学園生活のあり方)を掲げている。LPPICSとは、Love and service(愛と奉仕)、Practice(生活習慣)、Positivity/Independence(ポジティブ/主体性)、Challenge(チャレンジ)、Self-reflection(感謝・反省)の頭文字をとったものだ。

「愛と奉仕を実践する上で、挨拶やルールの遵守など良い生活習慣を身に付けるのはもちろんのこと、主体性やチャレンジ精神なども習慣化することが大事です。また、何かに挑戦すれば、失敗をすることもありますが、そこであきらめるのではなくその失敗を次にどう生かすかを、自然と前向きに考えられるように指導します。そうやって人間力を高めていってほしいと思います」

実際、生徒たちはこれらのことを自覚し、行動に移していると荒井校長先生は言う。「1年生では、自分の得意なことを活かして、善い人になることを目指していますね。たとえば自分の得意な科目でテスト問題を予測して、それをパワーポイントにまとめ『みんなで勉強しようよ』とシェアしています。2年生になると、学校の外に目を向けていきます。私たちの知らないところで、生徒たちが『社会のために何かできることがないか』とボランティア活動をしていたこともありました。

3年生は、より高みを目指していくためには、自分自身を磨かなければいけないと考えるようになります。現在、2名の生徒が1年間のアメリカ留学をしています。このコロナ禍で、14、15歳という年齢でチャレンジすることも素晴らしいと思います。一方で、クラスメイトの中には、『○○さんたちは海外で頑張っているのだから、私ももっと頑張ろう』と英検2級の取得を目指して奮起している者もいます。このようにクラス全員がお互いに刺激し合い、切磋琢磨できる環境であり、人間力が育っていることを実感しています」

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伝統と新たな教育の創造

人間教育を貫き、生徒が描く未来を支援する

大正デモクラシー真っただ中に創立した細田学園は、女子に「豊かな教養」と「自立する力」を養うという当時としては先駆的な使命を担っていた。荒井校長先生によると、その後も国際教育を早期に取り入れるなど、先進かつ女子の最高教育を行ってきたという。「『愛と奉仕』の実践を通して、日本や世界で通用する人材の育成を目指していました」

しかし1980年代に入ると、社会は偏差値偏重へと変わってくる。「細田学園は、そこに重きを置かず、人間教育を貫いてきたので、時代遅れだと言われたことも正直ありました」と荒井校長先生は振り返る。「時代の潮流に乗ろうとしたこともありましたが、学園の理念とは異なると考えて止めました。生徒が学校生活を楽しまなくなりましたし、偏差値を上げるだけの教育が、本当に生徒の実になっているのかも懐疑的でした。学園が長年、積み重ねてきた歴史があったからこそ気付くことができました。

現在も本学園は、偏差値重視の方針をとっていませんが、先の時代を見据え、必要だと判断した教育はすぐに取り入れ、実践しています。また、最難関大学や、海外大学などを目指す生徒もいますが、教員がしっかりとサポートをしますし、そのシステムもあります。ただし、次のステージへの進学は、もっと大きな夢を実現するための通過点であり、進学そのものを目的にするのではありません。学校の役割とは、生徒がやりたいことや将来の進路を見つけていけるように、きっかけを作り、一人ひとりが思い描く未来を支援していくことだと考えています」

dots教育を通して育む未来のリーダー

同学園は、生徒たちが、これからの時代を自分らしく生きていくために、dots【原体験】教育を行っている。dots【原体験】とは、その人の考え方、生き方を形作る経験のことを指し、中高6年間という人生の多感な時期に、たくさんの素晴らしいdots【原体験】を得られる環境を作っている。

「さまざまなdots【原体験】を得ることで、自分の好き・嫌いや、得意・苦手、興味の有無、どんなことに価値を置いているかなど、自身を深く知ることができます。そして、自分の『生きる意味』が明確になり、これを軸として夢や希望を考えることで、どんなに時代が大きく変わろうとも、自分らしく、たくましく生きていけると信じています。そして、一人では成し遂げられない大きな目的であっても『愛と奉仕』によって愛される人となっていれば、必ず、信頼する仲間たちからの協力を得ることができ、培ったチャレンジ精神で、素晴らしい偉業も成し遂げられると考えています」と荒井校長先生は言う。

修学旅行「座禅体験」

修学旅行「能楽体験」

さらに同学園は、教育目標である「さまざまなフィールドで、世の中の発展をリードする人間の育成」を図るために、dots教育をベースにした独自のリーダー教育を行っている。リーダーとしての人間性を高めながら、グループを率いて行くためのスキルや方法論を身につけることを目指し、1.考え方・動き方を知る、2.課題を把握する、3.課題の対処を考える、4.解決策を発表する、5.フィードバックするというアプローチを行う。生徒たちは、この一連のプロセスを体験しながら、課題解決力を養いリーダーの資質を磨いていく。

体育祭

部活動

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未来に向けた次世代型教育

未来創造力を育む新しい教科と施設

同学園はdots教育を通して「未来創造力」「国際力・英語力」「人間力」の3つの力を育成することを教育構想に掲げている。「未来創造力」の育成とは、生徒たちが社会人となって活躍する2040年の未来を予測し、対応していく力、未来を創り出す力を育てることで、リーダー教育もその一つである。また、学びの手法として「Define(定義する)」→「Input(入力する)」→「Think over(熟考する)」→「Output(出力する)」のサイクルを回すという独自の「DITOメソッド」を編み出し、教科の学習や行事、委員会、部活動などでも実践している。

また教科融合にも力を入れ、教科横断型の授業週間「Subject Week」を設定している。「これは学期に一度、設定したsubject(課題・テーマ)に沿って、様々な教科の授業を一斉に行うというものです。たとえばsubjectに『花火』を設定し、数学的なロジックや物理的な法則、科学、歴史、地理など、多面的な観点から学習を進めています」と荒井校長先生は説明する。

来年度からは、教科横断型授業をカリキュラムに落とし込み「Subject Week」の取り組みをさらに発展させていく予定であるという。「週3時間、『未来創造(仮)』という教科の授業を行いたいと考えています。理科科、社会科、探究科を合わせて複合的な学習に取り組んだり、未来の仕事を考えたり、リーダー教育であったり、教科の枠にとらわれない新しい学びを展開していきます。また、生徒は一人1台のノートパソコンを所有しているので、今までの授業とは異なる形で行うことも可能です」

「国際力・英語力」の育成では、英語をツールとして、国際社会で活躍できる力をつけることを目指している。英語の授業の他に、朝のオンライン英会話、イングリッシュキャンプ(中2~高2)などを実施し、長期留学制度(中3~高2)、海外トップレベル大学での語学研修(高1・2)、高2全員が参加する国際体験学習など様々な国際プログラムを用意。また、海外大学進学のサポートも行っている。

今年は新校舎が完成し、学習環境がさらに整備された。1階から2階は吹き抜けで、開放的な空間が広がり、階段横にはフリースペースを作り、そこでグループワークをしたり、スライドを使って発表をしたりするなど、授業にも活用している。「学習の方法は形にとらわれず、学びやすい、学ばせやすい、話し合いがしやすいという場所で行ったらよいと思います。新校舎には800人収容できるホールも設置していますが、式典や学園祭などで使用するだけでなく、通常の授業でスクリーンを使いながら発表をしたり、吹奏楽部の練習などにも利用しています」と荒井校長先生は言う。

新校舎の吹き抜けのある開放的な空間「dots Square」

新校舎の約800人収容できるホール「NOIBO Hall」

”Next one is the best one.” 創立100周年の細田学園は、このキーワードを掲げ、より良い教育の創造を目指している。最新設備を備えた学習環境の中で、次世代型教育がさらに強化されることだろう。


取材を終えて

長年に渡り、学園の変遷を見てきた荒井校長先生が「偏差値至上主義の時代でも、人間教育を貫いてきたこと。現在は、先進的な教育に次々に取り組んでいるが、変わらずに『愛と奉仕』の建学の精神が根底にあること。ただ、時代と共に、身につけるべき知識や対処方法などが変わってくるので、それに対応した教育を積極的に行っていきたい」と話した言葉が印象的だった。新校舎も完成した細田学園の次世代型教育に関心のある人は、足を運んでみてはいかがだろう。

細田学園中学校のホームページ

【 Back number 】細田学園中学校のスペシャルレポート 4

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