そうしんじょがっこう
捜真女学校中学部
学校詳細
建学の精神、教育理念
他者のために、最善の自己となる努力を
創立者に続き、同校の土台をつくったのが、宣教師であるカンヴァース第二代校長。その二つの言葉「Trust in God(神を信頼せよ)」「Be true to your best self(最善の自己に忠実であれ)」を教育理念に掲げる。勉強でも部活でも、現状に満足せずに努力すること、さらに他者との比較ではなく、自己の力を伸ばすことを目標とする。
創立以来140年にわたって、自分らしく世界に貢献できる女性の育成を実践する。理念を掲げるだけに留まらず、中学2年生では学年の全員が炊き出しボランティアに参加し、高校生は社会課題への自分なりの解決策を提案するなど教育理念に基づいた教育が実践されている。
教育の特色
直木賞作家を輩出した国語教育
習熟度別授業によるきめ細かな指導を長年にわたり実践してきた。数学は中3から2クラス3分割。英語はクラスを2分割して授業が行われる。「話す聞く」力の育成をより重視した“ラウンドシステム方式”の英語教育を進め、臆すことなく英語を話し、コミュニケーションを取ろうとする姿が授業では多くみられる。国語は作文の機会が多く、優秀作品が載る『文集』は、発行50年目を数える。卒業生には、直木賞作家もいる。英語・国語に限らず体験的学習を重視する「本物体験」を教育の柱に据え、他校では中々見られない理科実験やプロの講師から学べるパイプオルガンや茶道などの6コースの課外授業、レベルの高い体育授業などが行われている。
施設設備
家庭的な食事を、開放的なカフェテリアで
横浜の静かな住宅街にあり、広々とした見晴らしが心地いい同校。そのシンボルの一つに1986年、創立100周年を記念してチャペルに設置されたパイプオルガンがある。2373本のパイプがあり、バッハの全曲が演奏できる本格的なものだ。芸術教育の盛んな同校には100以上の美術品が校内に展示され、美術館のようなキャンパスとなっている。
最も新しい棟である7号館は、1面ガラス張りの開放的な雰囲気。1階はカフェテリア、2階は自学自習のスペースに活用。生徒の生活習慣も重視し、食堂では栄養バランスの整った家庭的であたたかな食事を提供している。
学校行事
事前学習を踏まえ、留学に臨む
合唱コンクール、文化祭、体育祭などの学校行事は、すべて中高を通した共練会(生徒会)が企画運営。名前のとおり、共に切磋琢磨し、練り上げる精神を発揮している。
留学による国際理解にも力を入れている。中1から参加できるアメリカ短期研修では、10日間のホームステイで異文化に触れる。高1~2年生対象のオーストラリアの短期研修は、3週間姉妹校に通う。さらに、オーストラリア学期研修として、3か月ホームステイをしながら現地で通学する。ただ行くだけでなく、事前学習にも注力。現地の地理や歴史はもちろん、日本の歴史、文化、着付けや習字などを学ぶことで、生徒は自信を持って現地に向かうことができる。
卒業生との縁で、1999年から始まった高校生対象のカンボジア研修も同校ならでは。2年で500万円という寄附金を集め、現地に小学校を建てたことを皮切りに、今でも交流が続く。厳しい生活を送る子ども達との出会いなどを通じ、国際貢献について生徒が真剣に考える契機となっている。
部活動
水泳部と放送部、ソフトボール部が実力派
部活動は、中高一緒に行う。一番人気はダンス部。放送部と水泳部は全国レベルで活躍。水泳部は室内温水プールという環境も活かし、関東大会、インターハイにも出場する。放送部は全国大会で優勝のほか、アナウンサー部門全国9位という実績を持つ。ソフトボール部も実績を残しており、市の大会でも連続優勝。同部が目的で入学する生徒も出てきている。
同校ならではのクラブが、聖歌隊やYWCA、JOC。聖書をめぐって語り合うJOCは、50年以上の歴史を持ち同校にしかない部活。合氣道部も珍しく、コーチに学び昇段審査で資格をとることもできる。
進路指導
キャリア教育を通じ、自分らしい進路選択へ
6年間を通して教科横断型で進む「捜真Vプロジェクト」がキャリア教育にもつながっている。中3では興味のある仕事について、自らアポをとってインタビューを行い、1年かけて力作のレポートをまとめる。この経験をステップに、高校生では身近な社会課題について提案を行う「社会問題ポスターセッション」が行われ、社会に対して自分ができることを問い、発見していく。
大学との連携教育が盛んで、高校在学中から大学の単位を取る生徒もいるほか、年複数回の出張講義では大学のレベルの高い講義を受け、知的好奇心が刺激される。高校生のみならず、中学生から大学の学びに触れられる環境が整う。
進路指導は、生徒が望む進路をサポートするのが基本姿勢。リベラルアーツを重視する同校では高1までは全員が必修科目でバランスよく学力を身につけ、高2から選択科目、演習を増やす。
毎年1/3にあたる50人ほどが、指定校推薦で進路を決め、総合型選抜でも多くの合格を得る。700を超える豊富な指定校枠を持つのは、伝統校の信頼ゆえ。
同校の雰囲気を経て、芸術系の進路を選択する生徒も多い。GMARCHでいえば、青山学院大と立教大が多い傾向にあるのは、キリスト教系というベースが同じため。
職業としては、「他者のために」という教えを受け、国際関係や看護師など、人と関わる仕事を志向する生徒が多い。
その他
キリスト教教育が生み出す深い信頼関係
礼拝が毎日行われる同校だが、生徒が年2回ほど担当となり、自らの思いを語る「生徒礼拝」は他校にはない特徴。中学生は、「電車の中で席を譲れなかった」などの実体験が多く、高校生ともなれば、世界の矛盾を追究しはじめる。高3では「私の欠点にも、何か意味がある」など、深い自己受容を示すまでに成長。クラスメートの前でありのままを語り、受け入れあうことで、信頼関係が深まっていく。お互いの個性を認め合うため、どんな子にも居場所がある学校だと言える。
御殿場に所有する施設にて、学年の仲間と寝食を共にしつつ、キリスト教についての学び・思いを深める「自然教室」が毎年行われる。静かに講演を聞いたり、仲間と語ったりしながら、人生について考える。これを6年間繰り返すことで、成長が顕著に見える。
東日本大震災などの被災地支援のほか、各クラスでフィリピンの子ども1人をサポートする活動を続けている。キリスト教の精神を、実践で伝えている。
制服
品格と個性が表れる制服
同校の制服には正制服と準制服の2種類がある。式典などで着用される正制服は校章にも用いられる紺と白から成る伝統のもの。準制服としてタータンチェックのプリーツスカートが用意され、平常時は7割程度が準制服を着用。ほかにスラックス、夏期用のポロシャツが用意され、多様な制服が自分らしさを重視する同校の校風を反映している。