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女子校

りっきょうじょがくいん

立教女学院中学校

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スクール特集(立教女学院中学校の特色のある教育 #3)

海外大学合格者の実体験や貴重な情報がつまった海外進学ガイダンス

自主自立の校風のもとで、広い視野で考えるきっかけを与え、好奇心豊かで主体的に生きる力を育む立教女学院の海外進学ガイダンスとは?

立教女学院中学校・高等学校の海外進学ガイダンス

立教女学院では、進路指導においてさまざまな進路をめざす生徒を支援しています。例年難関国公立・私立大学に多くの生徒が進学、近年では医歯薬系・理系学部への進学者も増えています。

2015年度大学合格実績は、国公立大は東京大学に3名合格はじめ、京都大学、お茶の水女子大学、千葉大学など。私立大では早稲田大学に33名、慶応義塾大学に24名をはじめ、理系では東京理科大学、聖マリアンナ医科大学、東京女子医科大学、日本医科大学、東海大学医学部、北里大学、東京薬科大学など。

海外大学を志望する生徒も増えており、2015年度は5校の海外大学に合格しました。
ハバフォード大学(アメリカ)、トロント大学(カナダ)、ウォータールー大学(カナダ)、ウェスタン大学(カナダ)、クィーンズ大学(カナダ)(以上各1名合格/2015年度)

立教女学院では高校生に向けて海外進学ガイダンスを開いています。今年のガイダンスでは、以上の大学合格者のうちハバフォード大学(アメリカ)とトロント大学(カナダ)に進学する生徒2名がプレゼンテーションを行い、在校生の質問に答えました。また、現在海外大学院で研究を行っている既卒生もスカイプで参加。生徒たちにとってまたとない貴重な情報のつまったガイダンスとなりました。

海外進学ガイダンスの概要

初めに先生がアメリカの学校制度や日米の大学の違いについて説明したうえで、卒業生のプレゼンテーションが行われました。
ガイダンスに参加したのは高校生の希望者です。
プレゼンテーションを行った卒業生は次の3名です。

●Y・Mさん(2004年卒業)
慶應義塾大学総合政策学部卒業後、同大学大学院修士課程を経てコロンビア大学大学院人類学科修士課程にフルブライト奨学生として進学。現在オーストラリア国立大学大学院人類学専攻博士課程在籍中。

●K・Yさん(2015年卒業)
トロント大学合格(サイエンス専攻)

●N・Mさん(2015年卒業)
ハバフォード大学合格(リベラルアーツカレッジ)

スカイプ参加のY・Mさんのプレゼン

最初に、オーストラリア国立大学大学院に在籍するY・Mさんがスカイプで自己紹介します。高校生のころから将来は留学したいと考えていたと話し、海外大学の選び方のポイントをアドバイスしました。そして海外大学卒業後、さらに大学院を志望する場合は、フルブライトなどいくつかの奨学金制度があるので、そうした制度を活用するとよいとアドバイスします。経済面であきらめずにチャレンジしてほしいと後輩たちにエールを送りました。

スカイプで自己紹介するY・Mさん

トロント大学に進むK・Yさんのプレゼン

次に、9月からトロント大学に進むK・Yさんがプレゼンテーションを行いました。トロント大学はカナダの難関大学です。
K・Yさんが海外大学をめざしたのは、やはりカナダの大学で学んだ父の影響だと言います。海外大学は勉強量が多く、学生はよく勉強するけれど、週末は大いに羽を伸ばすという父の話から「自分も父が見た世界を見てみたい」と思うようになりました。

さらに、具体的な進路選択につながる決定的な経験がありました。それは立教女学院で行っている「土曜集会」です。
「土曜集会」では、国内外で活躍するさまざまな人を招いて講演をしてもらいます。K・Yさんが中2のとき、宇宙物理学者の村上斉さんがゲストとして招かれました。その講演を聞いたのがきっかけで、もとから抱いていた宇宙への関心がさらに高まったというK・Yさん。高2からの文理選択では、理系コースに進みました。

K・Yさんは海外大学進学を視野に自主的に海外サマースクールなどを探し、高1・高2の夏休みに個人でカナダの大学の語学研修プログラムなどを積極的に受けました。海外大学の情報なども自分で集めたK・Yさんは、大学の調べ方について後輩にアドバイスします。

K・Yさんはさらに後輩たちへ「視野を広く持ち、新しいことに挑戦してほしい」とメッセージを送りました。
K・Yさん自身は、中3のときからNPO法人「フリー・ザ・チルドレン」に参加し、途上国の児童労働問題に関心を寄せ、恵まれない子どもたちへの支援活動を行ってきました。「この経験により自分の視野が広がり、海外大学志望に結びつきました」とプレゼンテーションを締めくくりました。

村山斉さんの講演(2010年土曜講演)

ハバフォード大学に進むN・Mさんのプレゼン

次に、ハバフォード大学に進学するN・Mさんがプレゼンテーションを行いました。ハバフォード大学はリベラルアーツカレッジとして、アメリカの難関名門大学の一つです。

N・Mさんはもともと文系・理系両方に興味があり、将来の進路を決められないでいたと言います。でも、日本の大学は学部学科を決めて受験しなくてはいけません。
迷っていたN・Mさんは、あるとき自分が通っていた英語の塾で海外大学の選択肢もあることを聞きます。それをきっかけに自分で調べるうちに、リベラルアーツの大学を知りました。
リベラルアーツ大学では、あらかじめ専攻を決める必要はなく、幅広く、徹底的な小人数教育で学ぶことができます。このとき、N・Mさんは「自分には日本の大学よりも、こうした大学のほうが合っている」と思い、海外大学をめざします。それは高2の秋でした。

N・Mさんは海外大学への期待を込めて次のように語ります。「立教女学院の生徒は恵まれた家庭で育ち、似た者同士が集まっています。黙っていても気持ちが通じ合う。これはすばらしいことです。でも海外の大学はそうはいかない。私はいろいろな人がいる世界で学んでみたいと思いました。アメリカの大学は楽しそう。わくわくします」

N・Mさんはさらに、アメリカの入試について説明します。受験者を一人の人間としてトータルで見て評価すること。入学後に周りの仲間たちによい影響を与えることができるかどうかも重視することなどを挙げ、たとえSAT(アメリカの大学進学のための共通テスト)の点が振るわなくても、ほかの面で長所が認められれば合格できると話します。そして、自分は得意とするエッセイで個性を表すことができ、数学の試験もいい成績を残せたことが合格につながったと言い、海外大学を考えている後輩たちを励ましました。

海外大学へのチャレンジについて語るN・Mさん

ガイダンスに参加した生徒たちは、先輩のプレゼンテーションに耳を傾け、熱心にメモをとっていました。
今日の感想を聞いてみると、「日本の大学しか視野になかったけれど、海外大学の選択肢もあると気づきました」「自分の興味あることは、自分で調べて情報を集めることが大切だと強く思いました」「受験の準備は大変だと思うけれど、異なる価値観の人たちといっしょに学ぶことはいい経験になると思いました」――みんな真剣な面持ちで答えてくれました。
海外に羽ばたく頼もしい先輩に続こうとする後輩たちが、ここに多くいるようです。

中高時代を振り返って / K・Yさん、N・Mさんのお話

K・Yさんのお話

女子校だったことが自分に大きな影響を与えたと思います。女子校は周りの目を気にせず、みんな自分の好きなことに一直線に打ち込むことができます。立教女学院はそういうタイプの生徒が多く、互いに応援し合います。校風も自由です。

私は昔から「やってみてから考える」派です。じっと考えているといろいろと不安になってきますよね。だからとにかく興味あることに飛び込む。NPOの活動にも自分で参加し、ずっと続けました。高2のときはそのNPOが主催するスタディーツアーに参加し、フィリピンを訪問しました。

積極的に活動したことが、結果的に現在の進路につながったと思います。父からもやりたいことは自分でやりなさいといつも言われてきました。大学生になってからも積極的に学びたいと思います。

N・Mさんのお話

私は生徒会の中央委員をやっていました。中央委員会は風紀や学校生活の改善を考える委員会です。高2では委員長を務めました。そのとき、委員同士が学年を超えて盛んに交流するにはどうしたらいいかと考えました。そして、委員会を小さなグループに分け、上級生と下級生がいっしょになって学校生活について話し合えるようにしたんです。 そこで、話し合いは平和的に合意でき、最善の結果が得られる方法であることを知りました。
私は大学では政治を学ぶことに興味を持っていますが、委員長としての活動がそのきっかけになったと思います。

高3の夏休みに家族とアメリカへ行き、いくつかの大学のキャンパスツアーに参加しました。そのなかで、ハバフォード大学は立教女学院と似ているなと思いました。オープンな雰囲気で学生は人懐こくて、互いに尊敬し合う大学です。 学生の自治も重んじています。
立教女学院も自由で個性的な生徒が多い。生徒たちは共通点もあるけれど、もちろん違う面もあり、互いに尊敬し合います。

私はアメリカの教育について調べるうちに、立教女学院はグローバルな雰囲気のある学校だということに気づきました。そしてこの学校の起源についても考え、アメリカのプロテスタント宣教師が創立した学校なのだということに改めて目が向きました。

大学に進んでも、これまでと同じように自由に学びたいと思います。私は好奇心旺盛でいろいろなことに興味がある。そういう自分を受け入れてくれるところがハバフォード大学だと思います。

在校生の質問に答えるN・Mさん(左)とK・Yさん(右)

立教女学院中学校・高等学校 教頭 山岸 悦子 先生のお話

自主自立の校風

生徒たちが海外大学にチャレンジし、合格者が多く出たことに学校としてもたいへん喜んでいます。
トロント大学に進むK・Yさん、ハバフォード大学に進むN・Mさんは、二人とも中学校からの一般入学生で、帰国生ではありません。そして二人とも国内大学は受けませんでした。

K・Yさんは行動的で個性豊かな生徒でした。途上国の児童労働の問題に興味を持ち、NPO法人では中高生リーダーを務めていました。「土曜集会」で宇宙物理学者の村上斉さんの話を聞いてから、自ら村上さんの講演会を聞きに行ったり、本を読んだりしていました。 トロント大学では宇宙の研究を目指しています。

N・Mさんは生徒会活動に熱心な生徒でした。生徒会は発足88年の伝統ある組織で、活動も盛んです。本校は1877(明治10)年にアメリカ人宣教師によって創立され、女性の自立を重視してきました。生徒の自治を重んじる自主自立の校風です。N・Mさんも自らの力で生徒会を動かしました。

現在オーストラリア国立大学大学院で研究するY・Mさんも、高校時代はNGO「国境なき医師団」の学生組織「国境なき学生」でリーダーとして活動していました。いわゆるガリ勉タイプではなく、好奇心旺盛で感性が豊かな生徒でしたね。 高2のときに、岩波ジュニア新書「ぼくたちの今」にエッセイを書いています。

土曜集会プログラムとARE学習

立教女学院では好奇心豊かな生徒たちの学びの場として、いろいろな機会を提供します。
「土曜集会」は本校のキリスト教教育の柱の一つとして行う特別プログラムで、30年以上続いています。生徒が広い視野で考え、主体的に生きる力を育むことがねらいです。
社会の第一線で働く人たちによる講演会をはじめ、見学や音楽鑑賞、映画鑑賞など、毎月1回さまざまなプログラムを行います。

「土曜集会」によって問題意識を高め、何かの行動を起こしたり、K・Yさんのように将来の夢を見出したり、生徒それぞれが受け止めていると思います。卒業生からは、「土曜集会」がとても印象的だったという声をよく聞きます。

中高で行う総合的な学習「ARE学習」(ASK・RESEARCH・EXPRESS:課題を自ら求め、徹底的に調べ、結果を言語化して発表する学習プログラム)も、生徒が主体的にさまざまなことを学ぶ機会となっています。高校3年生は希望者対象に卒業論文に取り組みます。例年多くの生徒が卒論を選択しており、原稿用紙100枚にもなる作品が提出されます。完成度も高く、社会に影響を与えるものもあります。

英語教育の新たな取り組み

海外大学の志望者は今後も増えていくことでしょう。本校では英語教育は伝統です。ネイティブ教員によるオーラルの授業は少人数で行います。スピーチコンテストやレシテーションコンテストなど自ら話す機会が多く、姉妹校からも毎年留学生がやってきます。

さらに今年から、中1~中2を対象にサマーイングリッシュプログラムを、昨年から行っていた中3~高2対象のにエンパワーメントプログラムに加え、新しくスタートさせました。
サマーイングリッシュプログラムでは生徒8人グループごとにネイティブ講師がついて発話訓練をし、英語で自分の気持ちや考えを表現する力を養います。エンパワーメントプログラムは生徒5人グループごとにカリフォルニア大学の学生がつき、ボジティブシンキングの重要性やアイデンティティについて考え、環境問題やジェンダーについて英語でディスカッションします。

どちらも希望者対象で、多くの生徒が参加しています。話す力が確実に伸びると、生徒たちに好評です。海外大学ではいろいろな国の学生が集まり、なまりのある英語でもみんなどんどん話します。本校では今後も「英語で意見を表明する」機会を拡充していきます。

国際交流プログラム・ユネスコスクール認定校

留学制度も充実しています。フィリピン、アメリカ、ニュージーランドの姉妹校と短期・長期の交換留学を行っています。さらに、世界トップクラスの大学での学びを体験する留学プログラムとして、カリフォルニア大学デービス校での短期理系留学も行っています。 デービス校には2011年に本校生徒が合格したこともあり、高大連携でオリジナルプログラムを作りました。

また、本校は2015年にユネスコスクール認定校になりました。ユネスコ憲章に示された理念を学校現場で実践するのが「ユネスコスクール」です。本校では平和学習やボランティア活動、国際交流などが盛んであり、それはユネスコ憲章の理念と重なります。

ユネスコスクールとして、ワークショップ、研修会、交流会、スタディーツアーなど多様な活動プログラムがあります。今年のスタディーツアーには本校の生徒が立候補し参加メンバーに選ばれたので、この8月にはカンボジアでの研修に行くことになっています。

世界で認められる学校に

海外大学は英語だけ勉強しても受かりません。いろいろなことに幅広く興味を持ち、行動する力が問われます。大学の入学選考では、そうした自分の経験や活動実績を表すエッセイも重視されます。N・MさんもN・Mさんも充実した中高時代を送ったので、書くことはたくさんありました。

学校としてもこうした生徒たちをしっかりと後押しし、支援します。また海外大学では、受験者の出身校についてもくわしく調査し、受験した生徒の成績もデータとして蓄積されていきます。本校での成績順位も提出するので、アメリカならSATの点からも学校のレベルが推測されることになります。本校の生徒が海外の名門大学から評価されたことを喜ばしく受け止めています。
立教女学院ではこれからも世界の大学に認められるよう、充実した教育を行っていきます。

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