スクール特集(三輪田学園中学校の特色のある教育 #12)

知っている単語で伝えよう! 国際教養大学の学生から学ぶ英語研修プログラム
三輪田学園中学校の英語教育は、多彩な研修プログラムが用意されている。夏休み中に実施したプログラム「国際教養大学English Village」(秋田県)について、加山麻佑先生(英語科)と生徒に話を聞いた。
知っている英単語だけで乗り切る3日間
同校では、グローバルマインドを育む多彩な国内外プログラムを用意しており、国内のプログラムとしては「Tokyo Global Gateway(青海)」(中1)、「English Camp」(中2)、「国際教養大学English Village」(希望制)を実施。今年度は中1~高2の生徒が学年混合のグループに分かれて、英語を使った様々な活動に取り組んだ。
「英語レベルの参加基準は設けていませんが、プログラムの内容を考えると、英検3級~準2級相当の英語力を持っているとより充実した体験になると思います。英語でコミュニケーションを取り、辞書を使わずに自分が知っている単語だけで、表現したいことを伝えられるようになる環境が整えられているプログラムです。本校の授業でも、できるだけそのような機会を作るようにしていますが、プログラムには知っている単語だけで乗り切らなければならない状況が組み込まれているので、より効果的に体得できます。3日間のプログラムを終え、参加した生徒たちは知っている単語だけでもコミュニケーションが取れるということが実感でき、成功体験として自信につながっていることが伝わってきました」(加山先生)
「国際教養大学English Village」は、同大学が独自に開発した2泊3日の中高生向け英語研修プログラムだ。厳しいトレーニングを受けてスタッフとなった同大学の学生がチームを組んで運営し、生徒6名程度のグループをスタッフ(日本人大学生)2名と留学生1名が担当する。プログラムは最新の英語教育理論に基づいて行われ、最終日にはプレゼンテーションを実施。3日間のプログラムは同校の生徒のみで実施され、中高生混合の6グループに分かれて活動した。
「3日間を通して、休み時間にも中高生が話している場面が見られたりしたので、大学生スタッフが中高生のコミュニケーションを促すなど、環境づくりも細やかにしてくれたのだと思います。そういったサポートもあり、3日間でも積極性に変化があったと感じています。学年を越えて話せるようになったり、グループで協力し合ったり、留学生や大学生と積極的にコミュニケーションを取ろうとしている様子が増えていきました。大学生は発声などもしっかりと訓練していて、声もよく通り、とてもエネルギッシュです。授業を盛り上げるために、本校の生徒たちがリアクションしやすい雰囲気を作るなど、様々な工夫が見られました」(加山先生)
プログラムには、日本語がほとんどわからない留学生に英語でインタビューする時間や、知らない単語が出てきたときに知っている単語に置き換えるコツを学ぶ授業などが組み込まれている。
「例えば、『彼はガリ勉だ』という日本語から英語に訳そうとするとき、『ガリ勉』のままだとハードルが高く感じます。そのようなときには『ガリ勉』を『よく勉強する』に置き換えれば、知っている単語だけで英文にすることができるのです。そういったコツを教えてもらう授業から、生徒たちは様々な気づきを得ていました。最後に集大成としてプレゼンを行いましたが、大きな声で堂々と、原稿を見ないで発表できるように頑張って覚えるなど、最後までやり遂げようとする力も身に付いたことが伝わってきます。それぞれの生徒にプラスになったことがあると思うので、今後の学びに活かしてほしいです」(加山先生)

▶︎加山麻佑先生
「国際教養大学English Village」に参加した生徒にインタビュー
Fさん(高2)
Sさん(高2)
――このプログラムに参加した理由を教えてください。
Fさん 進路について考える中で国際教養大学に興味を持ち、このプログラムにキャンパスツアーがあったからです。もともとは中学生向けのプログラムだったのですが、担任の先生に相談して高校生でも参加していいと許可をいただきました。オープンキャンパスがあっても秋田まではなかなか行けないので、この機会に行くことができてよかったです。
Sさん Fさんが行くと聞いて、私も行ってみたいと思いました。高1の段階で進路を理系に決めていたのですが、少し迷いが出ていたんです。せっかくの機会なので、いろいろな大学を見てみるのもいいかなと思って参加しました。

▶︎Fさん
――3日間のプログラムで印象に残っていることを教えてください。
Fさん 初日にバスで到着したとき、出迎えてくれた学生さんたちがものすごく大きな声で「Hello!」と言ってくれたんです。バスの中にいても聞こえてきたんですが、私はシャイだったので、バスを降りたときに同じテンションで挨拶を返すことができませんでした。最初は引いてしまうぐらいのテンションでしたが、3日間エネルギッシュな学生さんたちと過ごしているうちに元気をもらって、あのぐらいのテンションがないと物足りなさを感じるようになりました。
Sさん 授業では、グループで話し合って答えを決めて発表するという機会が何度かありました。一人ひとりに答えを聞くのではなく、机の真ん中に全員の手を重ねて置いて、「わかる人いますか?」と言われたら全員で手を挙げることになっていたんです。普通の授業だと、わかっていても手を挙げないこともありますが、全員が絶対に手を挙げるので、3日間続けたら手を挙げることに抵抗がなくなりました。英語力だけでなく、自発性も伸びたと感じています。挨拶の声の大きさや発表している人への共感、プレゼンのときは原稿を見ないで頑張るなど、以前よりできるようになりました。大きな声で原稿を読む練習をたくさんしたので、最終日のプレゼンでは、今までより大きな声で発表することができました。

▶︎Sさん
――留学生とはどのような交流をしましたか?
Fさん 到着した日は、まずお昼ご飯を一緒に食べました。私のグループに入ったのは、国籍は日本ですが、生まれてすぐにマレーシアで暮らすようになり、日本語はほとんどわからない留学生です。国際教養大学に来た理由について聞いたら、友達はみんなイギリスの大学に行ったけど、自分はそことは違う環境がいいと思って、生まれた国である日本に戻ってみようと決めたそうです。
Sさん 私たちのグループに入った留学生は、英語が流暢に話せるイタリア人です。日本語は単語ぐらいならわかる程度で、会話はできません。名前を漢字で書いてある竹札のようなペンダントをつけていたので、それについて聞きました。「秋田竿燈まつり」に参加し、地域交流や伝統文化の継承を願って活動している部活(AIU竿燈会)に入っていて、そこでもらったそうです。日本語を学ぶことが好きで、留学したいと思ったときに国際教養大学のパンフレットを見て、留学を決めたと言っていました。
――大学生の授業で印象に残っていることを教えてください。
Fさん 学生さんが交代で授業を受け持っていたのですが、自分が担当していない授業は受講する側になって私たちと一緒に聞いていました。講師をしている学生の話が面白かったときや驚いたときは、「Wow!」とか「Aah!」などと大きなリアクションをしていたことが印象に残っています。日本の授業は静かに聞くのが一般的ですが、学生さんが雰囲気を作ってくれるので、私たちも同じようなテンションになってきて楽しく受けられました。
Sさん 私は単語を覚えるのが大嫌いで苦手なので、英検のライティングが書けなくて困っていた時期がありました。今思うと、難しい単語で頑張ろうとしていたからだと思います。先ほど加山先生が「ガリ勉」の例を出していましたが、英訳するのが難しい日本語を簡単な日本語に置き換えてから訳す練習がとても役に立ちました。例えば、救急車という単語が思い浮かばなくても、「白い車」で「緊急時に使う」などと分解していったら伝えられると思います。その単語を知らなくても、知っている単語で伝えられるということがわかったので、ライティングにも活かしたいです。

――学年混合のグループはどうでしたか?
Fさん グループには下級生しかいませんが、英語のプログラムに参加しているから自分より英語ができるかもしれないと思って、最上級生としてのプレッシャーがありました。最初は不安もありましたが、一緒に過ごすうちに「教えてください」と頼られたりして、だんだんと下級生とも仲良くなれました。
Sさん 6グループあって、高2は4人しか参加していなかったのでバラバラになり、同じグループになったのは話したことのない下級生ばかりです。とても不安でしたが、大学生がきっかけを作ってくれたり、プログラムとしてグループ内で話す機会が多かったので、だんだんと話せるようになりました。

――国際教養大学を訪れた感想を教えてください。
Fさん 大学生の人柄が素敵だったので、進学先の候補になりました。中高生相手に大きな声で「Hello!」というのも、私だったら冷笑されるかなと不安になりますが、皆さん楽しそうに毎日接してくれたんです。ここに通ったら、こんな人になれるのかなという期待が膨らみます。自然が好きなので、キャンパスに自然が多いのもよくて、寮生活の楽しさも学生さんからたくさん聞きました。かなり好印象だったので、将来的には三輪田生を受け入れる側になっているかもねと、グループの後輩にも話しました(笑)。リベラルアーツ系なので幅広く学べて、英語でのディスカッションが多いのも魅力的です。
Sさん 私も、学生さんたちが楽しそうで、雰囲気がとてもいいなと思いました。申し込んだときは進路を迷っていたのですが、当初の予定通りに方向が定まったので、他の大学への進学を目指しています。雰囲気は気に入ったので、国際教養大学のように意欲的に授業を受けたり、自主的に発言するような学生が多い大学で学びたいです。
――進路について、どんな迷いがあったのですか?
Sさん 小さい頃から獣医になるのが夢だったのですが、父が獣医なのでそう思うようになったのかなと考えたりして、本当に自分がやりたいのかわからなくなってしまったんです。悩んでいたときに、先生からオープンキャンパスの情報をたくさんいただいたので実際に行ってみました。学ぶ環境などを見て、自分がやりたいという気持ちも確かめられたので、今は獣医学部を目指して頑張っています。
Fさん 三輪田の先生は、たくさん話を聞いてくださり、いろいろな考え方を伝えてくれます。大学についても、こんな大学がいいなとなんとなくの雰囲気を伝えたら、後日、この大学が合いそうだといくつかの大学を挙げてくださいました。
――三輪田学園のいいなと思うところを教えてください。
Fさん 小学生のときに男子が苦手な時期があって、女子校がいいなと思って何校か見学しました。水泳を習っていたので、三輪田は室内の温水プールがあって、体育の授業で4年間、高1までは1学期分がプールの授業で1泳法ずつやれるのが、私にとってはとても魅力的でした。
Sさん 私も水泳が好きなので、室内に温水プールがあって授業で水泳ができるのはいいなと思いました。私たちが入学する前年に制服が変わって、前より可愛くなったのもよかったです。みんな行事に一生懸命なところもいいなと思っています。体育祭は学年対抗で、中学3年間は私たちの学年が優勝していたのですが、高校生になってからは負けてしまっているので、来年は絶対に勝ちたいです。

<取材を終えて>
英語のプログラムとしても非常に魅力的な内容だが、大学生が講師を務めている点も中高生にとってよい経験になると感じた。国内のプログラムではあるが、3日間辞書を使わずに過ごし、知っている単語で乗り越えられたという成功体験は、今後の学びにも大いに活かせるだろう。
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