スクール特集(常翔啓光学園中学校の特色のある教育 #7)

「探究」と「挑戦」が未来を拓く! 難関国公立大学へ進学した卒業生の6年間
鉄道研究部でのモノづくりや医学部を目指した歩み、その先に見据える将来の夢とは。筑波大学や和歌山県立医科大学へ進学した卒業生二人の言葉から、常翔啓光学園で培われた力を探る。
常翔啓光学園中学校・高等学校は、学園内に有する大阪工業大学や摂南大学との連携を活かした多彩な教育を展開している。近年、特に力を入れているのが「中高6年間の探究活動」と「日本文化の理解」だ。生徒一人ひとりの好奇心や挑戦心を見逃さず、主体的に進路を切り拓く力を養う教育は、今まさに大きな実を結び始めている。進路実績として、2026年度入試では国公立大学合格者数が66名と過去最高を更新した。その躍進の裏側には、生徒と教員のどのような挑戦があるのだろうか?今春、難関国公立大学への進学を果たした二人の卒業生に話を聞いた。

「鉄道研究部」で育んだ探究心を武器に筑波大学へ 門田優空さんの場合
筑波大学の社会・国際学群社会学類への入学を果たした門田さんが志したのは、政治、経済、社会、法という四つの専攻を自由に横断して学べる学類だ。この分野に興味を持ったきっかけは、中高6年間、夢中になって活動した「鉄道研究部」にあった。
「もともと、そこまで熱狂的な鉄道ファンというわけではありませんでした」
友人に誘われて入部した鉄道研究部だったが、常翔啓光学園の環境の中で、彼の探究心は大きく膨らんでいった。単に鉄道や模型を眺めるだけでなく、社会や地域とのつながりの中で鉄道を捉える活動にのめり込んでいく。
特に大きな転機となったのが、実際に人が乗れる「15インチゲージ(レールの幅が約38センチの鉄道)」の車両製作プロジェクトだ。2025年度、公益財団法人村田学術振興・教育財団から「モノづくり教育支援」に採択され、助成金を受けられることになり、活動は一気に加速した。
「文化祭で15インチゲージの車両を製作したのですが、村田学術振興・教育財団から助成金をいただけることになり、申請書類の作成から自分たちで行いました。材料の選定や寸法の計算など、専門的な知識を調べながら進めるのは大変でしたが、実際に形になって人を乗せて走らせることができたときは、言葉にできない達成感がありました。この経験が、大学入試の面接でも自信を持って話せる大きな強みになりました」
同校と同一法人の大阪工業大学の施設や設備を借りて専門的な加工を行うなど、恵まれた環境を最大限に活用して取り組んだモノづくりの経験が、大学入試において何よりも強い武器となったようだ。

▶︎門田優空さん
相手を調べ、対話に挑んだ面接
門田さんの筑波大学合格は、面接と小論文、そして英語資格(GTEC)を活用した入試方式によるものだった。受験を決めたのは高校3年生の9月末と非常にタイトなスケジュールだったが、先生方の心強いサポートを受けながら準備が始まった。
面接に向けた準備の中で、先生からは「受験する大学の教員が今どのような研究をしているか、ホームページなどでしっかりと調べなさい」という具体的なアドバイスがあった。門田さんはこのアドバイスを忠実に守り、自分が将来やりたい「ものづくりをやっている中小企業への支援」というテーマと、面接官となる教員の研究内容を徹底的に照らし合わせて本番へと向かった。面接当日、あらかじめ調べておいた「醤油や醸造業者の研究」という具体的な話に触れつつ、自身が志す中小企業支援への想いを伝えた。面接官の教員もその姿勢に強い関心を示し、20分間の面接では話がはずみ、深い対話の場になったそうだ。大学入学後の懇親会でも、その教員は門田さんのことをはっきりと覚えていたという。自ら動き、相手を調べ、対話する力は、学校での日々の活動と先生の指導によって引き出されたものだった。
幼き日の誓いを胸に、初の国公立医学部医学科合格へ 竹村瑠海さんの場合
常翔啓光学園の指導と生徒の粘り強い努力をよく表しているのが、和歌山県立医科大学医学部医学科に見事合格した竹村瑠海さんだ。同校から単科の国公立医学部への合格は初めての快挙となる。
竹村さんが医師を目指そうと心に決めたのは、小学校5年生の時。
「将来は、経済的にもしっかりと親を支えていきたいと思ったのが医師を目指したきっかけです」
その想いを母親に打ち明けたところ、「それなら私立の中学校へ進学した方がいい」と勧められ、家から近い常翔啓光学園への入学を決めた。
しかし、医学部合格への道のりは決して平坦ではなかった。
「高校時代に生活習慣が乱れてしまった時期があり、担任の先生が親身になって何度も諭してくれました。医師は人の命を預かる立場で、遅刻や欠席が許されるような仕事じゃないと。それで自分の甘さに気づき、生活を完全に改めることができました」
実際の医学部面接でも過去の欠席日数の多さについて問われた際に、このエピソードを交えながら改善のきっかけを説明することができ、「先生の言葉をきっかけに自らの姿勢を改め、以降は完全に克服した」というプロセスを堂々と伝えることができた。ピンチをチャンスに変える、まさに先生の愛のある指導が生んだ大きな変化だった。

▶︎竹村瑠海さん
先生方を信じて駆け抜けた受験期
一般入試で医学部合格という高い目標に挑むにあたり、先生方はそれぞれの立場から役割を分担して竹村さんを支え続けた。過度なプレッシャーを与えることなく、生徒が最も勉強しやすい環境を静かに見守る担任の先生。一方で、教科指導や具体的な出願戦略では、進路指導に長けた川端先生がプロの視点から的確なアドバイスを行った。
当初、竹村さんは私立の医学部を5校併願する予定だったが、川端先生の「5校はさすがに受けすぎ。入試期間中の移動や過密スケジュールで体力が削られ、本命である国公立の前に体調を崩しては元も子もなくなってしまう」と、体調面を強く心配して3校に絞るよう助言された。
「実際に受験期に入ってみると、国公立の対策と私立の対策を並行するのは想像以上に過酷でした。先生のアドバイスにより受験数を絞ったことは、今振り返っても本当に正解だったと思います」
また、川端先生は、竹村さんの高い学力をさらに伸ばすため、外部のネットワークも活用し、高レベルな面接対策や学習スケジュールを構築するサポートまで行った。
最後まで先生方を信じて戦い抜いた竹村さんは、見事に合格を勝ち取った。合格を知ったとき、竹村さんは「家族や学校の先生方が自分のことのように喜んでくれたことが何より嬉しかった」と振り返る。
茶道・華道・米作りなど、日本文化を学ぶ豊かな体験
常翔啓光学園の教育は、単に大学進学のための受験勉強だけに留まらない。筑波大学に進学した門田さんが「受験とは直接関係ないけれど、今でも深く心に残っている」と語るのが、中学時代に行われた茶道や華道の授業だ。
同校では、中学1年生で茶道、中学2年生で華道を実施している。他にも、信楽での陶芸体験、さらに、土起こしから田植え、稲刈り、脱穀、そして食べるところまで一貫して行うお米作りなど、多岐にわたる文化体験が用意されている。
これらの体験の背景には、日本の文化や伝統の美しさを正しく知ってこそ、初めて真の国際交流や他者理解ができるという強い想いがある。自国のアイデンティティをしっかり持つことは、将来どのような分野や舞台で活躍する上でも、豊かな人間性の土台となる。こうした体験は、生徒たちが自国の文化への理解を深めるだけでなく、多様な価値観を受け入れる視野を広げることにもつながっている。
門田さんも「学校でやらなかったら、きっと一生体験することはなかった。勉強以外のことに触れる機会が多いのは、啓光の素晴らしいところ」と語る通り、これらの多角的な経験は、数値では測れない生徒の人間力や思考力を大きく育んでいる。中学校1年生の段階からのこうした地道なアプローチが、自ら考え行動する主体性や、困難に直面しても粘り強く取り組む力を養っているのだ。


失敗を恐れず、挑戦する心。未来の啓光生へ
近年、「浪人してでも、この大学、この学部に入って、将来の夢を叶えたい」と、高い志を持って挑戦する生徒が明らかに増えているという。「合格可能性だけで進路を決める」のではなく、「自分のやりたいことを実現できる大学へ果敢に挑戦する」傾向への変化だ。
学校全体に満ちている「失敗してもいい、もっと挑戦しなさい」という空気、そして国際交流や学園内大学との連携、本格的な探究活動などが、生徒たちの「やってみたい」という気持ちを強く後押ししている。
最後に、インタビューをしたお二人から、これから中学受験を迎える小学生へのメッセージをもらった。
「自分が『これをやりたい!』と言えば、先生方は絶対に否定せず、ちゃんと話を聞いて、形にするのを全力でサポートしてくれます。もし、挑戦したいことや好きなことがあるなら、ぜひ啓光でその可能性を広げてほしいです」(門田さん)
「啓光はとにかく施設や設備が素晴らしいです。何より、優しくておもしろい最高の友達がたくさん集まるので、学校生活の中で余計なストレスを感じることなく、自分の好きなことに100%集中して過ごすことができます」(竹村さん)
鉄道研究部での探究活動を大学進学へとつなげた門田さん。幼い頃に抱いた夢を貫き、医学部合格を勝ち取った竹村さん。二人に共通しているのは、自ら考え、挑戦し続けた姿勢である。常翔啓光学園には、生徒の興味や挑戦を受け止め、それを形にする環境がある。探究活動や文化体験、大学との連携、そして生徒一人ひとりに寄り添う教員の存在など、さまざまな支えが生徒たちの主体性を育み、自ら未来を切り拓く力へとつながっている。
<取材を終えて>
今回の取材で強く感じたのは、二人の卒業生に共通していた「自分の人生を自分で切り拓こうとする力」だった。
鉄道研究部での活動を通じて社会への関心を深め、自らの進路へとつなげた門田さん。幼い頃に抱いた「家族を支えたい」という強い想いを胸に、数々の困難を乗り越えて医学部合格を果たした竹村さん。その歩みは決して順風満帆ではなかったが、だからこそ一つひとつの言葉に重みがあった。
印象的だったのは、二人とも合格そのものを誇るのではなく、「支えてくれた先生方への感謝」や「学校での経験が今の自分をつくった」と何度も語っていたことだ。学力だけではなく、人との出会いや挑戦の積み重ねが、生徒たちの未来を形づくっていることを改めて実感した。
今回お話を伺った二人の姿からは、同校では教育の先にある「豊かな人間性」が育まれていることが伝わってきた。知識や学力だけでなく、人とのつながりを大切にしながら、自らの未来を切り拓いていく力。自分の可能性を信じて挑戦し続ける姿勢が、二人の言葉の端々から感じられ、成長の軌跡に触れることができ、非常に印象深い取材となった。
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