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常翔啓光学園中学校

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スクール特集(常翔啓光学園中学校の特色のある教育 #2)

大学や企業との連携教育を1年次より展開し、将来につながる学びを提供する

学園内に3つの大学を有する常翔啓光学園中学校。充実した学園内大学との連携教育と併せて、自己肯定感を育み、未来につながる実践的な力を培う取り組みについて取材した。

学園内に、大阪工業大学・摂南大学・広島国際大学の3つの大学を有する常翔啓光学園中学校。学園内大学との連携教育も充実しており、1年次より、大学での学びを体験できる講座・K¹クエストを展開する。中高大連携教育やコミュニケーション授業、啓中農園など、同校ならではの学びについて、教頭の岩村聡先生に話を聞いた。

自分の将来を考えるきっかけとなる、大学や企業と連携した学び

学園内に3つの大学を有する常翔啓光学園中学校。その強みを生かし、大学や企業と連携して、多彩なキャリアデザイン教育を1年次より行う。
その中のひとつ、K¹クエストでは、1年生は大阪工業大学にてイノベーション教育を受講する。このイノベーション教育は企業とのコラボレーションで実施され、企業のモノ作りの過程を通してデザイン思考について学ぶことを目的とする講座だ。2016年度はトヨタ自動車と共に、「未来のパーソナルモビリティをデザインしよう」をテーマに、2040年の1人用の乗り物はどのような形になっているかを考えた。

2年生では、摂南大学の薬学部教員による薬物乱用防止教室のほか、未来探求コースの生徒は、広島国際大学に出向き、総合リハビリテーション学部の協力のもと、義手や義足に触れたり、動かしてみたりするそうだ。3年生では、先日も大阪工業大学工学部の教授や大学生と共に淀川に出かけ、水質調査を通して、きれいな水とはどういう状態かということを学んだという。

どの学年も年に2~3回は大学に出向いて、色々な学びを体験する。このK¹クエストについて、岩村教頭先生は次のように話す。

「まずは、自分の将来をデザインするための情報を掴んでほしいと思っています。自分が何を好きで、何に向いているか、逆にこれは無理だなというのも1年生のうちから知ってほしい。色々な体験をすることで、様々な職業の存在や、大学にどんな学びがあるかということを生徒達は知ります。そして、この職業に就きたかったら、どの学びをしないといけないかを結びつけていく。将来の目標を得て、それに向かって頑張っていこうという気持ちを育むための取り組みのひとつですね」

段階を踏んで磨かれるプレゼンテーション能力

K¹クエストと並んで、常翔啓光学園中学校ならではのカリキュラムが、コミュニケーション授業だ。1年次にはNIE(Newspaper in Education)という新聞を教材にした授業を実施。産経新聞の記者による指導のもと、見出しだけを読んで、記事の内容を考えたり、逆に記事の内容から見出しを考えたりするなど、新聞記事の読み方を学ぶところからスタートする。次にグループに分かれ、グループごとに「100年後に残したい新聞記事」を選び、ポスターを制作。文化祭でポスターセッションを行うほか、最終的にはクラスで1枚、大きな模擬紙面を作成する。

2年次には、教育と探求社が主催する『クエストカップ』への参加を見据えて、1学期から「マイストーリー」と「人物ドキュメンタリー」の2部門の課題に取り組む。「マイストーリー」は個人でのエントリーとなり、自分が過ごしてきた14年間の人生を振り返って、PowerPointにまとめて発表する。「人物ドキュメンタリー」は、日本経済新聞で連載された『私の履歴書』を参考に、本田宗一郎や長嶋茂雄、安藤百福といった日本のイノベーターから1人を選んでその人生を読み解き、グループでドキュメンタリー作品を作り上げる。同校は、過去3回グランプリにも輝いている。

NIE・クエストカップを経て、3年次に生徒は卒業研究に取り組む。自分の好きなテーマを調べて、PowerPointにまとめて発表する。卒業研究を行っている私立中学校は多いが、同校がユニークなのは必ずフィールドワークを生徒に行わせる点だ。「本を読んでまとめて発表するだけでは、説得力という点において不十分です。だから、必ず現場の人、専門家、プロの人に会ってその裏付けとなるような話を聞き、まとめるように指導しています」と岩村教頭先生。蜂の生態を研究した生徒は長野県の養蜂場にまで足を運ぶなど、生徒たちも積極的に取材に行っているという。

コミュニケーション授業ではたくさんの発表の機会が設けられているが、最初はなかなかうまく話せない子も多いという。そのため、1年次の最初の発表は原稿を作って2~3行ほど読むだけ、NIEの文化祭でのポスターセッションも教室を4分割した狭いスペースで、グループ4人で発表させることで心理的ハードルを低くするなどの配慮を欠かさない。少しずつ発表する場を設けることで、生徒達はプレゼンテーション能力を段階を踏んで身につけることができるわけだ。

園児との交流を通して、自己肯定感を高める

「自分の将来に向かって頑張るためには、自己肯定感も大切です」と岩村教頭先生。その自己肯定感を高めるために、常翔啓光学園中学校が注力している取り組みが、『啓中農園』だ。校内の一角に設けられた『啓中農園』で、生徒は2年次にさつまいもなどの野菜や米作りに取り組む。収穫した米は生徒全員で食べるほか、さつまいもは近隣の幼稚園児と共に収穫する。この幼稚園児との交流を通して、生徒が変わると岩村教頭先生は話す。

「中学2年生は、学校生活に慣れ、後輩もでき、自我が芽生えてきて、ちょっと斜に構える時期です。この幼稚園交流でも最初はかっこつけているんですよ。手を繋ぎなさいと言っても、ちゃんと園児と手を繋がない生徒もいます。でも、幼稚園児にはそんなことは関係ありません。お兄ちゃん~って足にしがみついたりしてくると、生徒も手を繋がないわけにはいかない。最終的には、生徒は皆ニコニコになっています。カッコつけない幼稚園児に触れて、自分もそういう気持ちに戻るんですね。ミミズが出てきたら、触れない園児のためにがんばって取ってあげたりしています。自分が頼りにされているんだなと肌で感じる機会が、この交流にはたくさんあります。自己肯定感を高める上でも、とても良い体験だと思います」(岩村教頭先生)

縦割り教育で、学年を超えて仲良く過ごす

縦割り教育が多いのも常翔啓光学園中学校の特徴のひとつだ。岩村教頭先生は「同じクラブ内でしか先輩・後輩が付き合わないというのはもったいない。朝、よく電車で会うのに、同じクラブじゃないから話しかけられへん…じゃなくて、先輩一緒に行きましょうと話しかけられる関係になってほしいんですね。だから、いろんな場面で縦割り教育を実施して、クラブ外でも先輩・後輩の関係を築けるようにしています」とその狙いについて述べる。

数ある縦割り教育の始まりとなるのが4月に行われるオリエンテーション合宿だ。オリエンテーション合宿は、2021年度はコロナ対策のため通いで2日間、校内での実施となったが、例年は1泊2日で行われる。全学年縦割りで班が作られ、3年生が2年生とも力を合わせて、1年生に学校のルールや行事、クラブの紹介などを行う。夜も班行動を継続し、1班約15人がひとつの部屋に寝るそうだ。3年生が生活のリズムを作ってくれるため、合宿中に集合時間の遅刻などで注意することがないと岩村教頭先生は話す。

「1年生だけで寝かせると遅刻する生徒が出てきます。でも3年生を入れると、早寝早起きして、1年生をちゃんと起こして連れてきてくれるんですね。その頑張る3年生の姿を、2年生は、来年はこうせなあかんねんなと、そして先輩達のオリエンテーション合宿を来年は超えてやろうと見ています。だから、毎年オリエンテーション合宿は良くなっていますね」(岩村教頭先生)

運動会で全校上げて踊るソーラン節も、オリエンテーション合宿の班をそのまま維持し、3年生が2年生と共に、1年生の指導にあたる。ほか、日々の小テストでも、追試になる子の面倒を先輩が見たり、『啓中農園』での米作りでも先輩達がアドバイスしたりするなど、学年を超えて行動する姿がよく見られるという。「先日も同じクラブではない3年生と1年生が休みの日に待ち合わせして出かけると聞いた」と岩村教頭先生は笑顔を見せる。縦割り教育の狙いは順調に達成されているようだ。

<取材を終えて>
近年、常翔啓光学園中学校の大学入試合格実績は、国公立大学の合格者が5年前に比べ倍増、関関同立を中心とする私立大学の合格者数も大幅に増えている。週刊東洋経済の「6年間で伸びる進学校ランキング2021」にも取り上げられた。これらの好調な実績を支える要因のひとつには、新しい学びによって生徒が「なりたい将来の自分」を描けるようになったことも上げられるのではないだろうか。

年を経るごとに、ブラッシュアップされてきた同校のキャリアデザイン教育。2021年度は新たに1冊の本をグループで分担して読んでまとめて発表する未来型読書法「アクティブ・ブック・ダイアローグ」も取り入れたという。進化を続ける同校の教育に、今後も注目したい。

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