そうしんじょがっこう
捜真女学校中学部
学校詳細
建学の精神、教育理念
他者のために、最善の自己となる努力を
創立者に続き、同校の土台をつくったのが、宣教師であるカンヴァース第二代校長。その二つの言葉「Trust in God(神を信頼せよ)」「Be true to your best self(最善の自己に忠実であれ)」を教育理念に掲げる。勉強でも部活でも、現状に満足せずに努力すること、さらに他者との比較ではなく、自己の力を伸ばすことを目標とする。
さらに「やさしさ」「たくましさ」という理念も強調。先の読めない時代にあって、他者のために最善の自己を用いるやさしさと強さを備えた女性の育成を目指している。
教育の特色
直木賞作家を輩出した国語教育
習熟度別授業によるきめ細かな指導を長年にわたり実践してきた。数学は中3から2クラス3分割。英語は、中1は少人数クラス、中2から2クラスを3分割する。4人のネイティブ教員のうち、1人が専任で、授業だけでなく日常会話も英語で行う。生徒のニーズに合わせ、フレキシブルにクラスを変え、授業のモチベーションをキープする工夫も。
国語は作文の機会が多く、優秀作品が載る『文集』は、発行42年目を数える。卒業生には、直木賞作家もいる。
また、もともと主体的な授業形態をとっているため、2020年の大学入試改革に向けた大きく変えるところはなく、各学科での方法を改良している。たとえば、高校のグループワークで、紙芝居やラジオ形式で発表するグループがあるなど、生徒は積極的かつ個性豊かに取り組んでいる。
施設設備
家庭的な食事を、新設のカフェテリアで
横浜の静かな住宅街にあり、広々とした見晴らしが心地いい同校。そのシンボルの一つに1986年、創立100周年を記念してチャペルに設置されたパイプオルガンがある。2373本のパイプがあり、バッハの全曲が演奏できる本格的なものだ。
昨年新設したばかりの7号館は、1面ガラス張りの開放的な雰囲気。1階はカフェテリア、2階は自学自習のスペースに活用。生徒の生活習慣も重視し、食堂では栄養バランスの整った家庭的であたたかな食事を提供している。
学校行事
事前学習を踏まえ、留学に臨む
合唱コンクール、文化祭、体育祭などの学校行事は、すべて中高を通した共練会(生徒会)が企画運営。名前のとおり、共に切磋琢磨し、練り上げる精神を発揮している。
留学による国際理解にも力を入れている。中1から参加できるアメリカ短期研修では、10日間のホームステイで異文化に触れる。高1~2年生対象のオーストラリアの短期研修は、3週間姉妹校に通う。さらに、オーストラリア学期研修として、3か月ホームステイをしながら現地で通学する。ただ行くだけでなく、事前学習にも注力。現地の地理や歴史はもちろん、日本の歴史、文化、着付けや習字などを学ぶことで、生徒は自信を持って現地に向かうことができる。
卒業生との縁で、1999年から始まった高校生対象のカンボジア研修も同校ならでは。2年で500万円という寄附金を集め、現地に小学校を建てたことを皮切りに、今でも交流が続く。厳しい生活を送る子ども達との出会いなどを通じ、国際貢献について生徒が真剣に考える契機となっている。
部活動
水泳部と放送部、ソフトボール部が実力派
部活動は、中高一緒に行う。一番人気はダンス部。放送部と水泳部は全国レベルで活躍。放送部は全国大会で優勝のほか、アナウンサー部門全国9位という実績を持つ。近年はソフトボール部が強く、市の大会で3年連続優勝。同部が目的で入学する生徒も出てきている。
同校ならではのクラブが、聖歌隊やYWCA、JOC。聖書をめぐって語り合うJOCは、50年以上の歴史を持ち同校にしかない部活。合氣道部も珍しく、コーチに学び昇段審査で資格をとることもできる。
進路指導
キャリア教育を通じ、自分らしい進路選択へ
中3の総合学習の時間を、キャリア教育に充てる。興味のある仕事について、自らアポをとってインタビューを行い、1年かけてレポートをまとめる。この経験をステップに、高2ではインターンシップを実施し、仕事のイメージを具体化していく。
進路指導は、生徒が望む進路をサポートするのが基本姿勢。高1までは全員が必修科目でバランスよく学力を身につけ、高2から選択科目、高3から演習を増やす。毎年1/3にあたる50人ほどが、公募推薦やAO入試、指定校推薦で進路を決める。指定校の枠が豊富なのは、伝統校の信頼ゆえ。
残りの2/3が、一般入試に挑む。GMARCHでいえば、青山学院大と立教大が多い傾向にあるのは、キリスト教系というベースが同じため。また、女子大の落ち着いた環境で学びたい生徒や、芸術系や海外に進む生徒も一定数いる。ここ数年は、都市開発や建築、まちづくりなどの理系を志望する生徒が増えてきたのが特徴。
職業としては、「他者のために」という教えを受け、看護師など、人と関わる仕事を志向する生徒が多い。
その他
キリスト教教育が生み出す深い信頼関係
週2回クラス礼拝では、生徒が年1~2回担当となり、自らの思いを語る。中学生は、「電車の中で席を譲れなかった」などの実体験が多く、高校生ともなれば、世界の矛盾を追究しはじめる。高3では「私の欠点にも、何か意味がある」など、深い自己受容を示すまでに成長。クラスメートの前でありのままを語り、受け入れあうことで、信頼関係が深まっていく。お互いの個性を認め合うため、どんな子にも居場所がある学校だと言える。
毎年の自然教室でも、静かに講演を聞いたり、仲間と語ったりしながら、人生について考える。これを6年間繰り返すことで、成長が顕著に見える。
福島の被災地支援のほか、各クラスでフィリピンの子ども1人をサポートする活動を続けている。キリスト教の精神を、実践で伝えている。