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スクール特集(明治学院中学校の特色のある教育 #2)

聖書ゲームや賛美バンドも企画。 キリスト教理解への生徒主体の活動

「キリスト教に基づく人格教育」を教育理念に掲げる明治学院中学校・東村山高等学校では、生徒主体でキリスト教をテーマにした懇親会が開催されている。その活動内容とは?

明治学院中学校・東村山高等学校では、礼拝や聖書の授業といったキリスト教教育を行っているが、2018年からキリスト教をテーマにした生徒主体の懇親会が開催されるようになった。先輩から引き継ぎ、今年度から主要メンバーとなった高校3年生4人と、生徒たちをサポートしている曽武川道子先生(キリスト教活動主任)に話を聞いた。

キリスト教懇親会は生徒同士がつながる機会

同校では、「キリスト教に基づく人格教育」を教育理念に掲げ、毎朝全生徒が参加する礼拝や聖書の授業(週1時間)、教会暦による行事などを実施している。しかし、クリスチャンの生徒はそれほど多くはないという。

「これまで、クリスチャンや教会と関係のある生徒同士がつながりを持つ機会がほとんどありませんでした。懇親会のようなものを開いたらどうかと生徒に声をかけてみたら、『やりたい!』という声が出たので去年の秋に初めて開催してみたのです。やってみたら生徒たちの反応もよかったので、昨年度は3回ほど開催しました。当時の高校3年生が卒業して、2年生だった今の主要メンバーに引き継がれて、今年度はすでに2回開催しています」(曽武川先生)

懇親会といっても堅苦しいものではなく、放課後にお菓子をつまみながら自由な雰囲気で、讃美歌を歌ったり、聖書をテーマにしたゲームなどを楽しみながらキリスト教に触れていく。クリスチャンに限らず、キリスト教について聞いてみたいことなどがあれば、気軽に参加できる。

「その時によって参加人数は違いますが、10人~20人が参加しています。企画や運営はすべて生徒に任せて、私はお菓子を差し入れしたり、場所を提供したりする程度です。プログラムの立案や開催のアナウンスなども生徒たちがやっています。生徒主体だからこそ自由にできるのだと思うので、今後もこの活動をオフィシャルなものにはせず、裏方としてサポートしていきたいです」(曽武川先生)

■高校3年生の主要メンバー4人にインタビュー

▶︎写真左から Mさん、Sくん、Hさん、Oさん

――キリスト教と出会ったきっかけは?

Sくん 僕の場合は父が牧師で、家族が全員クリスチャンなので洗礼も受けています。

Hさん 私の家もクリスチャンファミリーなので、母のお腹の中にいるときから教会に通っていました。日曜日に教会へ行くのは当たり前で、この学校を受験したのもキリスト教学校だったからです。キリスト教学校でも毎日礼拝がある学校は少ないので、毎日礼拝があるのがよかったと思っています。

Mさん 私は高校に入るまで、キリスト教とは無縁でした。クリスチャンは全員外国人と思っていたほどです(笑)。毎朝の礼拝は、堅い感じで遠い存在のように思っていましたが、同世代の人とキリスト教について話すようになって身近に感じるようになりました。都立が第1志望だったのですが、ふり返ってみると第1志望の学校へ行っていたら選択肢としてなかったような将来が広がっていて、神様が導いてくれたのだと感じています。自分のやりたいことができるようになり、この学校に来て正解だったと思えたのも、キリスト教との出会いがあったからだと思います。

Oさん 私もこの学校に入ってからキリスト教を知りました。入学式のとき校長先生から、「君たちがこの学校に入学したのは、神様が君たちを選んだからです」と言われて、選ばれたなんて思ってもいなかったので驚きました。キリスト教は「みんなで分かち合う」という精神がベースにあり、パーティーなどの集まりもあり、いろいろな相談もしやすいのがよいと思います。毎朝の礼拝で先生の人生観などが聞けるのも、公立の学校ではない体験です。読書月間のときは、面白い本なども紹介してくれます。この学校に入るまでは、キリスト教の大学はなんとなく入りにくいと思っていましたが、そのような先入観も消えて、将来の選択肢も広がりました。

曽武川先生 本校が第1志望だった生徒ばかりではないので、劣等感を持って入ってくる生徒もいます。ですから、「仕方なくこの学校へ来た」のではなく「神様に選ばれてきた」ということを知ってほしいという思いがあり、校長先生からの最初のメッセージとして新入生に贈っています。自分が導かれていることを知り、卒業するときには、この学校で学んでよかったと思えるようになってほしいです。 

――懇親会ではどのようなことをしていますか?

Hさん キリスト教の懇親会と聞くと堅苦しいイメージを持つ人が多いので、ゴスペルを多めにしたり、はじめにゲームをしたりして打ち解けてから、フリートークをしています。

Mさん 堅苦しい会だと思っていたので、私も最初は抵抗がありましたが、お菓子を食べながら気軽に参加できる会です。

Oさん イントロダクションとして、聖書を絡めたゲームなどもやっています。

Sくん たとえば、バベルの塔ゲームは、新聞紙を使ってバベルの塔を積み上げていくゲームです。昨日の懇親会では、初めて会う人もいましたが、ペアになって相手の「いいところ探し」などもしてみました。

――懇親会のフリートークではどのようなことを話しますか?

Sくん クリスチャンとしての悩みなどを打ち明ける機会にもなっています。洗礼を受ける時に家族の理解を得られないなど、クリスチャンだからこその悩みがあります。僕はクリスチャンファミリーなので洗礼への障害はなかったですが、懇親会に参加している人の中には同じような環境の人もいるので、悩みを口に出せる場にしていきたいです。

Hさん 校内にクリスチャンはそれほど多くないですし、洗礼を受けている人も少ないです。私はクリスチャンファミリーなので、教会へ行くのは当たり前でしたが、洗礼を受けるには壁があったので、懇親会はそういった悩みを話せるいい機会でした。懇親会に参加して、自分と同じ気持ちの人がいるとわかり、洗礼を受ける決心がつきました。

――今後は、どのような会にしていきたいですか?

Sくん 部活動がない日など、みんなが参加しやすい日時を選んで、月に1回は開きたいと思っています。ゲームなどのいろいろな企画も考えていきたいです。讃美歌はいい曲ですが、堅苦しい曲が多いので、明るいポップな曲を選んでいきます。7月の礼拝でも、「詩編51」をバンドで演奏する予定です。クリスマスやイースターなど、イベントとして浸透しているものもキリスト教と関係していたり、様々な場所で耳にしている曲が実は讃美歌だったりと、気づかないうちにキリスト教に触れているケースも多くあります。そういったことも全校生徒に知ってもらえるように活動を続けて、来年も後輩に受けついでいってほしいです。

――この活動での経験を今後どのように活かしていきたいですか?

Mさん その人が信じるか信じないかは別として、まずはキリスト教がどのようなものなのか知ってほしいと思っています。家族はクリスチャンではないので、私が洗礼を受けることに対しても理解を得るのが難しいです。「お墓はどうするの?」「初詣はどうするの?」などと心配しています。私が信じているのは神様だけだと自覚しているので、そういった意志を持っていれば初詣に行っても大丈夫だと牧師さんからも助言をいただきました。キリスト教系の大学に進んで、同じ世代の人だけでなく、保護者世代にもキリスト教について伝えていきたいです。

Oさん 最近、進路について考えていますが、大学へ行くと留学するという選択肢もでてきます。1年間留学するのは少し怖いなという思いがありましたが、留学先で教会に行けば友達もできるだろうと考えたら怖さも薄れて、留学も含めた選択肢も広がってきました。

Hさん 私が去年アメリカのアイオワ州へホームステイに行ったときが、まさにそうでした。1人で40日間ホームステイをしましたが、毎週教会へ行くと、言葉は通じなくてもみんな迎え入れてくれるので安心できました。そのような経験もあり、今は国際系の進路を目指したいと思っています。今通っている教会に若い人が少なかった時期があったのですが、最近は増えてきたので、そこをもっと盛り上げていきたいとも思っています。

Sくん 高校生に影響を与えられるのは、同世代だと思うので、若いうちに高校生への伝道に関わりたいと思っています。大学もキリスト教系の大学に行って、大学でも社会人になってからも、キリスト教関係の青少年団体に関わっていきたいです。

――この活動に期待することは?

曽武川先生 校内には、自分がクリスチャンであることを言えない生徒もいます。そのような生徒が恥ずかしがらずに、普通に言える環境にしていきたいと考えています。また、クリスチャンでなくても、礼拝や讃美歌など、教会につながることを自然なことだと思えるようになってほしいです。この活動を通して、そのような生徒たちが増えることを期待しています。 

<取材を終えて>
生徒たちへのインタビューから、「キリスト教のことを知ってもらいたい」という純粋な思いが伝わってきた。懇親会の存在を知ってもらうためにはどうしたらいいか、参加しやすくするためにはどうしたらいいか考えることを楽しんでいるのが印象的だった。ゲームを企画したり、ポスターを作ったり、参加しやすい日時を考えるなど、彼らの活動は企業の広報担当が行う仕事と重なる。後からふり返れば、この活動を通した経験は、社会に出てからの大きな力となっていることだろう。

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