学校詳細
建学の精神、教育理念
他者を思いやれる「自由」
創立時から音楽学校として個性を尊重してきた。個性を発揮するには自由な環境が必要である。しかし、集団生活において自分勝手な行動は「わがまま」になる。他者を思いやり、自分の言動が他者を傷つけないかなどに配慮し、「自分は何がしたいのか」「どうすればできるのか」「そのためには何をすべきか」ということを考えて行動することが求められる。自由だからこそ他者を尊重し、自分を律しながら自主的に行動することを日々の生活の中で体験し身につけていく。生徒はこの「自由・自主・自律」の教育理念のもと、自由の意味を考えながら、お互いの個性を尊重し合って、のびのびと大らかに学校生活を過ごしている。
教育の特色
音楽と勉強のバランスがとれた教育
「演奏・創作コース」と「総合表現コース」の2コースあるが、クラスは両コース混合で編成され、一部の授業を除いて同じカリキュラムで学ぶ。音楽だけ、勉強だけではなく、バランスよく音楽と他の教科を学習。「総合表現コース」の生徒からは勉強の仕方、「演奏・創作コース」の生徒からは感性などの刺激を受け、それぞれが切磋琢磨しながら成長していく。音楽は軸としてあるが、様々な可能性に対応。1年次と2年次の終わり、高校入学時にコースや楽器の変更ができる。
「演奏・創作コース」では、通常の教育課程にプラスする形で、レッスン、ソルフェージュ、創作の授業があり、専門的な音楽の基礎教育が行われる。1年次から国語の授業で詩の作り方、ソルフェージュの授業で作曲に必要な技術を学び、3年次には創作の授業で全員が合唱曲を作る。その中から選ばれた優秀曲は、卒業演奏会で披露される。生徒たちの夢や目標が詞に込められた合唱曲が、毎年誕生している。3年次には、校内演奏会という授業がある。5~6人のグループに分かれて企画、運営、演奏、裏方などを担当して演奏会を作り上げる。奏者としての立場だけでなく、奏者を支える裏方の大変さなども体験する機会となり、アクティブラーニングや進路指導の一つにもなっている重要な授業である。
「総合表現コース」では、「演奏・創作コース」の生徒と共に週1時間「合唱」の時間があり、クラスや学年でその成果を披露し、音楽的なアンサンブルを体験する機会が年に3回ある。その他にも本校の音楽的な環境を活かし、音楽を教養として身につけられるよう多様な音楽を鑑賞したり、様々な楽器の演奏を体験したりする「音楽・器楽」の授業がある。また、グローバル化が進む今日、自分で考え、自分の言葉で表現することを重視した「英語表現」の授業がある。この授業では、writingやspeakingに力を入れて発表したり、ALTの外国人教師やオンライン英会話、TGGへの校外学習などでネイティブスピーカーと話したりすることで、コミュニケーション能力の向上を目指していく。
そして「総合」の授業では、自己理解や他者理解に関するものや、SDGsなど社会的なものなど様々な課題に個人またはグループで取り組む。一般教科で習得した知識やICT機器を活用して得た必要な情報などをもとに発表内容をまとめて分かりやすく伝えるという経験を積むことで、柔軟な思考力や豊かな表現力を培っていく。3年次には個々のテーマに基づき「卒論」のようなものをまとめ上げたりする。
施設設備
朝から音楽が響く音楽棟
2023年度新築の2号館は、生徒の安心安全と環境に配慮した免震構造であり、屋上には太陽光発電を設置した校舎である。
既存の3号館と合わせるとレッスン室が約40室あり、「演奏・創作コース」のレッスンで使用するほか、朝や放課後に生徒たちが自主練習をする場所としても貸し出している。音楽室は5室、コンサートや各種行事で300人が一堂に会すことのできる2号館のスタジオ、コンサートなどに使える3号館Aスタジオ(パイプオルガン設置)、リトミックやダンス用のBスタジオとスタジオが計3室ある。3号館の図書館には音楽関連図書や楽譜などが充実しており、国立音楽大学図書館の蔵書や楽譜なども借りることができるほか、提携している一橋大学の図書館を利用することもできる。視聴室には、オペラ、オーケストラなどのCDやDVDが充実している。また、2020年度より「KUNION Digital Library」という電子図書館も開設し、休日でも利用が可能である。
学校行事
生徒が作り上げる校内演奏会
同校の特色は、生徒の発表の場になる音楽的な行事が多いことである。
4月下旬頃に大学の講堂で行われる新入生歓迎演奏会では、学年末の実技試験で優秀な成績を修めた上級生が新1年生を演奏で歓迎する。6月にはクラス単位で参加する「合唱コンクール」があり、7月には中学3年生の弦管打楽器の生徒も参加している高校音楽科オーケストラの「ソリステンコンサート」が大学の講堂で行われる。9月に開催される芸術祭(文化祭)では、講堂、スタジオ、音楽室など、校内の至る所で音楽系の発表が行われる。演奏されるジャンルは、クラシックだけでなく、軽音楽からK-POPまで様々。講堂以外にも発表の場が多数あるので、クラブや有志など多くの生徒が発表できる。12月には1953年から続く「くにたち音楽会」がある。高校普通科3年生を除く中学と高校の各学年が合唱の授業の成果を披露する「合唱の部」と、中学と高校音楽科の実技試験結果やオーディションで選ばれた生徒による「ソロ・アンサンブルの部」の演奏会を2日間に分けて開催している。2月にはオーケストラの「定期演奏会」があり、3月には3年生によるソロの演奏の部と優秀な創作作品を発表する合唱の部による「卒業演奏会」がある。このような大きな行事の他に、年数回ランチコンサートが開かれ、オーディションで選ばれた生徒がアンサンブルの演奏を披露する。
そして年1~2回は芸術鑑賞があり、主に観劇に出かけている。
また、2年生では2泊3日で奈良・京都方面に、3年生では3泊4日で北海道に修学旅行に行っている。
部活動
音楽系は校外のイベントでも活躍
合唱部やブラスバンド部は国立市主催の「LINKくにたち」に参加するなど、校外のイベントでも活躍。どの部も基本的には、中学と高校は別々に活動するが、校外の演奏会などには中高合同で参加することもある。軽音楽部やglee&ダンス部も芸術祭で発表し、家庭科部もある。運動部は、テニス部、フットサル部、バスケットボール部、バドミントン部がある。放課後の活動は週2~3回で、自宅での勉強や楽器などの練習時間を確保するため、中学生は17時15分が最終下校時刻である。
進路指導
奏者以外にも様々な進路
「演奏・創作コース」は高校の音楽科の「演奏・創作コース」、「総合表現コース」は高校の音楽科の「総合音楽コース」または普通科の「特別進学コース」か「総合進学コース」に進む生徒が多いが、専攻実技の能力などに応じて音楽科の「演奏・創作コース」に進むこともできる。また「演奏・創作コース」から普通科へ進むこともできる。音楽で培った集中力や継続力が活かされ成績の優秀な生徒も多く、普通科からは毎年、国公立や早慶上智などの難関大学に複数合格。高校、大学の先にある道も、トッププレイヤーを目指すだけでなく、幅広い選択肢が広がっている。近年は、集中力や豊かな感性などが高く評価され、音大出身者の採用枠を設けている企業も増えてきた。音楽の分野でも、プレイヤー以外に様々な職種があることを校内演奏会などで体験し、選択肢を広げている。プロデューサーやステージスタッフとして、音楽分野で活躍する卒業生も多数いる。
制服
くにおんは私服
制服はなく、私服で登校する。日々の服装を考えることも「自由・自主・自律」の実践の1つ。入学式や卒業式などの式典や演奏会など様々な場面に合わせた服装を生徒自身が考える。生徒一人ひとりが互いに個性を認め合う環境で、個性を伸ばすことができる。