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スクール特集(山脇学園中学校の特色のある教育 #8)

コンテストで成長を実感!アントレプレナーシップを英語で学ぶ「国際教養コース」

山脇学園中学校・高等学校では、アントレプレナーシップを英語で学ぶ「国際教養コース」を2025年度にスタート。これまでに実施したプログラムや生徒の成長について取材した。

山脇学園中学校・高等学校では、アントレプレナーシップを英語で学ぶことを大きな特徴とした「国際教養コース」(高校)を2025年度にスタートさせた。同コースの高校2年生が経験してきたプログラムや新たな海外研修、中学での英語教育について、グローバル教育部長の高瀬聡伸先生、グローバル教育部副部長の岩永洋輔先生、英語科主任の木村圭佑先生に話を聞いた。

外部コンテストで成長を実感

2025年度に高校でスタートした「国際教養コース」(IEP: Integrated Entrepreneurship Program)では、1期生が2年生となった。1年留学から6名が帰国し、2年生は現在34名が様々なプログラムに取り組んでいる。

「本コースでは、1年を通じて金曜日の放課後に90分、特別授業で英語を使いながらアントレプレナーシップを学んでいます。高校1年次は、課題発見・企画提案や試作・プレゼン・講評というサイクルを重ねてきました。2年次には、その積み重ねで培われた力が外部でどう評価されるかを確かめるために、ビジネスコンテストに挑戦します。今年度は6月下旬に香港のスタートアップ企業が主催する、超高齢化社会での課題解決をテーマにしたビジネスコンテストに出場しました。クラスを7チームに分けて学内選抜により3チームに絞り、他校のチームと合わせて7チームで、香港の7チームとプレゼンを競うコンテストです。そして本校の1チームが、日本サイドの2位に選ばれました」(高瀬先生)

日本サイドの上位2チームには、香港でのスタディツアーに参加して現地の大学で教授と交流したり、プレゼンの場に登壇する資格を得たという。香港サイドはプレゼンの段階で、3Dプリンターなどで作った試作品を出してきたチームも多く、日本チームも刺激を受けた。

「本校のチームは試作品を作るのではなく、既存のアプリなどを活用しています。アイデアの面白さや、実現の可能性の高さを感じました。また、本校では中1から総合知の授業などでもプレゼンの機会がたくさんあるので、どう表現したら人の心に響かせることができるかも学んでいます。外部講師にもビシバシと指摘されて、原稿を見ずに堂々と舞台を歩いてプレゼンできるようになっていました。今年3月に開催された『TEDxInnovationU』に、スピーカーとして登壇した生徒もいます。中学からの積み重ねもあり、プレゼンの力もしっかりと育まれていることが実感できました」(高瀬先生)

高2の1学期には、希望する大学の学部・学科とコンテストのテーマを連動させて、どんなコンテストが実施されているか調べる学習をしたという。

「1年次は世の中の課題解決に向かって動いていましたが、2年次は自分の将来を考え、大学で学びたいことと社会の課題解決をつなげて活動していきます。同じような学部・学科に関心がある生徒をグルーピングしてチームを作り、関連するコンテストに申し込むという動線ができました。本コースでは、総合型選抜などの年内入試に絞るのではなく、一般選抜との両輪で進路実現を目指します。アントレプレナーシップを大切にしているのは、大学卒業後は日本で働くのを当たり前と考えるのではなく、世界を見ていろいろな選択肢がある中で、どこで働くか考えてほしいからです。世界情勢や生涯賃金なども考えた上で、あえて日本を選ぶなら、そこでどんな社会貢献をしていくのかというマインドを持ってほしいと思っています」(高瀬先生)

▶︎グローバル教育部長 高瀬聡伸先生

▶︎香港日本ビジネスコンテストで入賞

英語のグレード別授業が5段階から3段階に

中学では英語の授業を5段階のグレード別で行っていたが、2027年度からは3段階で実施。週6時間ある英語の授業は、グレードによって日本人教員による授業と外国人講師による授業の比率が異なる。3段階への変更は、発展的解消だと木村先生は説明する。

「入学前に英語を学んでいる生徒が増えてきたので、初歩から学ぶ必要のある生徒も減ってきました。入学後の英語力向上を考えても、3段階の方が柔軟に対応できます。3段階にしたことで、すべてのグレードで日本人教員による文法の授業が可能になりました。これまで最上位グレードはすべての授業を外国人講師が担当していましたが、英語力の高い生徒であっても大学受験を考えると文法の弱さが見えてきます。3段階にしたことで、G3グレードでも日本人教員による授業を週1~2時間組み込むことができるので、中学生のうちから文法の強化ができるようになりました」(木村先生)

同校では中学段階で、「総合知」(将来どのような分野で活躍するにしても必要となる力)を身につけるための独自科目を全員が履修。人文・社会・自然科学のどの分野でも活躍できるスキルとマインドを育む「総合知カリキュラム」には、4技能5領域をバランスよく習得する「イングリッシュアイランドステイ(EIS)」も含まれている。

「週6時間ある英語の授業には、週1時間のEISが含まれています。イングリッシュアイランド(EI)エリアも活用しながら、英語をツールとして使うPBL型(課題ベース学習)の授業です。週1時間は、どのグレードの生徒も英語をツールとして使って活動します。ですから本気で頑張れば、入学してから本格的に英語を学び始めた生徒でも、国際教養コースに進むことが可能です。実際、現在の高2にも入学後に頑張って国際教養コースに進んだ生徒がいます。逆に、英語が得意でも国際教養コースに進むとは限らず、総合知の授業でいろいろな分野を学ぶうちに、研究した内容を英語で発表したいとサイエンスコースに進んだ生徒もいました」(木村先生)

▶︎英語科主任 木村圭佑先生

ハイレベルな海外研修プログラムを導入

同校ではこれまでも様々な海外研修を実施してきたが、英語入試で入学する生徒や帰国生が増えてきたことに伴い、中級や上級のプログラムを新たに用意した。

「アメリカ研修(高1 希望制)は、英語でコミュニケーションが取れる生徒を対象にした約1週間のプログラムです。ワシントン大学の寮に滞在し、現地の大学で教授の講義を受けたり、マイクロソフト社や街頭でインタビューを行い、集めた声をまとめてポスター発表をするなど、アントレプレナーシップとも連動しています。沖縄の国際バカロレア校と連携して行う約1週間のOIS沖縄IB研修は、中1~中3が参加できるように対象者を広げました」(高瀬先生)

イギリスのボーディングスクール寮に約2週間滞在するイギリス中級研修(高1 希望制)は、多国籍生約300人とともに現地のサマースクールに参加するプログラムだ。

▶︎アメリカ研修でマイクロソフト社を訪問

「今回は私も同行しましたが、様々な国から英語を学びに来ている生徒たちと過ごすので、文化の違いで苦労することが多かったようです。自分は当然だと思っていることが相手にとっては当然ではないということも多々あります。英語が話せても解決できないこともあり、苦労も多かったようですが、その分成長も大きいと感じました」(岩永先生)

▶︎グローバル教育部副部長 岩永洋輔先生

「学生ユニオン」としての活動への準備

海外大学への関心も高まる中、「国際教養コース」の生徒が主体的に海外大学進学への情報などを集めて発信する「学生ユニオン」の準備活動が始まった。このような活動を高校生が行うことは、まだ日本では珍しいと岩永先生は語る。

「海外大学の進学説明会を開催すると100名を超える生徒・保護者が参加するなど、興味のある生徒はたくさんいます。しかし、ハードルが高いと感じている生徒も多く、実際に進学する生徒はまだそれほど多くはありません。そこで、国際教養コースの生徒が管理・運営をする学生ユニオンの準備活動を今年4月にスタートさせました。海外大学の情報やカレッジカウンセラーとの接続、海外大学への奨学金、ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアの留学事情を勉強する会を開くなど、生徒たちが主体的に行う活動です。海外大学に関する勉強の場としてだけでなく、生徒たちの交流の場としての役割も果たします。国際教養コースは来年度には3学年が揃うので、活動が下の学年に引き継がれていくことを目指しています」(岩永先生)

参加希望者を募集したところ高2の生徒は14人も集まったが、海外大学への進学を視野に入れている生徒ばかりではないという。

「海外大学への関心より、学生ユニオンという枠組みを自分たちで作り上げることに対して、やってみたいという気持ちがあって参加した生徒もいるようです。これも、アントレプレナーシップを学んできた成果の1つだと思います。定期的にミーティングを重ねながら、今年中には本格的に動き出すことを目標としています。失敗もあると思いますが、アントレプレナーシップではゼロからアイデアを形にしたり、何かを生み出すためのマインドが必要です。トライアルとして動き出して、失敗を重ねながら進んでいくことが大事だと考えています。教員は、うまくいかないときに支えられるように伴走していきます。車の運転に例えるなら、教員は助手席に座ってナビをしたり危ないときにはアドバイスをしますが、ハンドルを握るのは生徒であり、そのバランスが重要です。生徒たちが調べる中で、海外大学はそれほどハードルが高くないと思う生徒が出てくることにも期待しています」(岩永先生)

▶︎学生ユニオン検討会中の様子

先輩たちの姿を見て後に続く後輩たち

同校では、先輩たちが取り組む姿を見て、後輩が自然にそれを受け継ぐ流れができているという。例えば、オープンキャンパスや学校説明会で案内などを手伝う生徒を募集すると、毎回多くの生徒が集まるのも先輩からの影響が大きい。

「自分たちも受験生のとき、説明会で先輩と話せてよかったからやりたいとか、入試当日にお手洗いに誘導してもらったことが嬉しかったから自分も手伝いたいという生徒が多いです。説明会以外でも、先輩たちが様々なチャレンジをして成果を報告すると、それを見て後輩もまた後に続いていきます」(木村先生)

「国際教養コース」はまだ2年目だが、すでに前年を踏まえてステップアップし、それを見た後輩が続いていくというよいサイクルが生まれていると岩永先生は語る。

「昨年度は高1が、東京ビッグサイトで開催された『SusHi Tech Tokyo』という国際的なイベントに参加しました。出展者のブースに立ち寄って話を聞き、スタートアップやビジネスの最前線を学んだり、アントレプレナーシップのヒントを得ることが目的です。今年度も高1が参加したのですが、高2の生徒2名は、運営を支えるボランティアとして参加していました。それを見た高1が、来年は自分たちもボランティアとして参加したいと意気込んでいたのです。総合知の授業などを通して、様々な角度から非認知スキルを磨いていくことと、多様なイベントへの参加を取捨選択できる環境の合わせ技が、生徒たちを成長させているのだと実感しています」(岩永先生)

「国際教養コース」の生徒からは、自分が過去に体験したことを次世代につなげたい、困っている人を助けたいという気持ちがより強く感じられるという。

「誰かと協働したり、傾聴や共感、課題発見する力など、非認知スキルを中高時代にどれだけ育めるかで、社会に出てからどんな働きができるか変わってきます。本校では、非認知スキルを育む独自プログラムを通して、受け身で待つのではなく、前のめりに動ける人材を育成していきます。特に国際教養コースの生徒には、AIなどによって変化していく社会で、新たな問題やニーズに対して課題解決を提案できるマインドを育んでほしいです。そこに向かう学びが、高校からスタートできることが本コースの大きな強みだと考えています」(高瀬先生)

<取材を終えて>
海外大学への進学を目指しているわけではないのに、学生ユニオンに参加している生徒がいることが非常に興味深かった。意見も活発に飛び交って、どんな仕組みにするか、どんなイベントで生徒を集めるかなどが話し合われているという。今後、本格的に活動をスタートさせる学生ユニオンにも注目していきたい。

▶︎国際教養コースの沖縄修学旅行

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