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山脇学園中学校

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スクール特集(山脇学園中学校の特色のある教育 #2)

「探究サイエンス入試」第1期生、入学!

2019年度、初めて実施した「探究サイエンス入試」で合格した第1期生が入学した。新しい入試で、どのような生徒が入学したのだろうか。

2019年度、初めての「探究サイエンス入試」を終えた山脇学園。入試前の取材では「ワクワクする問題を作りたい」と言っていたが、実際にどのような試験だったのだろうか。大島先生、井上先生、そして第1期生、2人に聞いた。

受験して「楽しかった!」と思える新しい形の入試制度

探究サイエンス入試の受験者数は32名。合格者11名のうち7名が入学した。初めての入試が無事終了し、ホッとした表情の先生方。

「安堵としか言いようがありません。受験だけでなく、教育が大きく変わっていく中で、すごくマッチしたタイミングで実施できたと思っています。これからは知識をインプットしてそれを使っていくことが重要です。生徒自身がきちんと物事について考え、考えていることが表現できて、人に伝えることで認められていく入試というのが、もっともっと増えていけばよいと思います」(大島先生)

今回の試験は今までにない、活気のある試験だったと大島先生は言う。課題研究(60分)はサイコロを使った問題だったが、試験中に全員がサイコロを転がす風景は、これまでの試験とは大きく異なる。また、前日の入試ですでに合格している生徒が「受けてみたいけどよいですか」と聞いてきたり、試験終了後、「楽しかった!」と親に報告する生徒がいたりと、受験を楽しんでいた様子もうかがえる。問題の作成にあたっても新たな試みだけに、先生方の思い入れは強かった。「山脇で学びたいと思う子に入ってきてほしい」という思いと、入学後、その子たちを受け持つ覚悟をいつも以上に持ち、どんな子が入ってくるのかワクワクしながら問題作成に挑んだという。結果、やりたいことがあって同校を選択し、しっかりした思考と意思を持った生徒が入学した。

採点に関してもこれまでとはまったく異なるものとなった。論理的に考えられているかどうかを見る試験の評価は難しい。しかし、自由な表現でまとめられ、生徒の特徴がにじみ出る個性的な解答に、先生方は苦心しながらも楽しみながら採点していたという。汚い字でごちゃごちゃに書かれたもの、きれいに整理されてまとめられたもの、伝えたいという思いがあふれているもの、中には「こんな考えもあったか!」と驚かされる答案もあったという。

「入学した生徒はいずれも理科に興味があって、理科が好き、理科が得意という子たちです。これから本当にやりたいことが見つかって、高校でコース選択をする際に、迷わず理系を選んでくれたらうれしいですね。」(井上先生)

一方で課題もあった。試験当日の持ち物の中に「ハサミ」「物差し」とあったため、工作入試と勘違いされてしまったという。そのため、受験を敬遠されてしまうケースがあった。確かに、今回の試験はサイコロを作りはしたが、サイコロを作ることが目的ではない。あくまでも、自分で予測を立て、検証し、結果からどうだったのかを考える試験なのだ。

【探究サイエンス入試とは】理科(30分)、課題研究(60分)で行われる。理科の試験は小学生の理科の基礎知識を問う問題。読解力、計算力なども必要で、基本的な学力を見る。課題研究の試験では「観察→仮説→検証→結果→考察→発表」といった思考プロセスを見る。解答用紙(ポスター)だけでなく、その答を出すまでのプロセスを書いたシートも提出。2つの試験を通して、通常の学習能力と探究力の両方が問われる試験となっている。

▶︎左:井上先生 右:大島先生

▶︎探究サイエンス入試

探究サイエンス入試には、「まとめる」練習と説明会への参加が重要

探究サイエンス入試の対策としては、「まとめる」練習をするのがよいという。なぜなら、60分という時間の中で、仮説を立て、検証し、結果をまとめ、考察を書くには、時間配分も重要になってくる。そのため、自分がまとめるのにどのくらいの時間がかかるのか、事前に知っておく必要がある。どんなテーマでもよい。小学校でやったことを自分なりに紙にまとめる練習をしておこう。

また、学校説明会などで、試験の内容について知ることも大切だ。昨年は学校説明会で探究サイエンス入試体験会が6回ほど行われている。2020年8月に開催されるオープンキャンパスでは回答用紙であるポスターの作成体験を行う。実際の試験同様、「観察→仮説→検証→結果→考察→発表」のプロセスで作成したポスターに対し、先生方がアドバイス。足りない部分はどこか、より論理的に考えるにはどうしたらよいかなど、まとめるコツがわかる。「サイエンティストの時間」に近い内容だといい、実際の授業を垣間見るよい機会になりそうだ。

「説明会に参加していただき、ここにしかない授業を体験して、ここでならさらに自分を高めることができるということを実感し、山脇ファンになってもらえればと思います。そして、そういう生徒たちに入学してもらいたいと思っています。山脇で学びたいと思えるような面白い仕掛けを2020年も作っていく予定です」(大島先生)

▶休校期間中の「サイエンティストの時間」課題

「やってみる」ことからすべてが始まる、山脇の探究学習

「何ごとも実際にやってみることからすべてが始まると思います。やってみたからこそ、足りないところに気付き、それを改善するにはどうしたらよいか予測を立て、やってみる。それを繰り返しできる場が、本校にはたくさんあります。そういった機会を利用して、自分が何をやりたいのか、見つけてほしいと思います」(大島先生)

すでに、「マングローブと言えば山脇」とも言われるマングローブの研究では毎年学会に出場。今年の高3生は3年連続出場しました。他にもヌマエビの研究で日本甲殻類学会に参加したり、男子校の協力を得て作った車で「エコラン」に参加したり、学校の内外でさまざまな挑戦ができるのも山脇学園の特徴だろう。そして、そのような発表の場を先生方は積極的に提供してくれる。今後は、学校で行っている研究を学校内だけでなく、学会や大学の研究室、会社などに持ち込んで、意見を聞くことを考えているという。教師以外の大人にダメ出しをもらうことで、次へつながるモチベーションが高まるのでは、と期待する。いろいろな学びの機会があり、いろいろな分野につながるからこそ、ここでなら自分のやりたいことをみつけられるに違いない。

コロナ禍のピンチをチャンスに変え、オンラインを有効活用

コロナ禍の休校に伴って、同校でもあらゆることがこれまでのようにはいかなくなった。それでも、どうやったらこの状況をポジティブにとらえ、前を向いて進んでいくか、先生方は考えていた。

これまで学校で行っていた研究の拠点を家にシフト。一人でやれることに限界はあるが、逆に観察する時間が増え、探究学習の最初のステップである「観察」が存分にできるようになった。観察するからこそ、予測や疑問が出てくるという探究学習のメリットもあった。また、Web会議サービスZoomを使っての朝礼や動画を使っての解剖なども行ったという。

「オンラインの活用で、授業の手段が一つ増えました。今も授業中にスマートフォンを使って回答させることで全員が答えを共有できるようになり、人の考えを見たうえで、もう一度、自分の考えを再構築したりすることもできるようになりました。楽しみながら授業に参加したくなる仕掛けもできています。授業時間内に無理やり答えを出す必要もなくなり、生徒が自分でゆっくりと考える時間も持てるようになりました。答えは家についたころにクラスルーム(オンラインツール)にあげたりしています」(大島先生)

新しいツールが増えたことで、学びの幅も大きく進化しそうだ。

探究サイエンス入試で入学した2人にインタビュー

Q. 山脇学園を選んだ理由をおしえてください

Hさん:山脇学園は母の母校で、楽しいし、友達が増えると言われていました。理科が好きなので、実験施設が整っているのも魅力でした。

Tさん:国語の一科入試を受けようと思いましたが、ほかの試験と被ってしまって。他の時間に探究サイエンス入試があるのを知って、理科が好きだし、興味もあったので。理科の施設が充実しているのも入りたいと思った理由です。また、小学生の時に文化祭などにも行って、その時に研究発表を見て面白そうだと思いました。

Q. 実際に、探究サイエンス入試を受けてどうでしたか

Tさん:そんなに緊張しないでできました。楽しかったです。時間もぴったりで、多くも少なくもなかったです。

Hさん:サイエンス入試があることは前から知っていて、学校説明会のときに試験の体験会をやってみて楽しいと思いました。ちょっと難しいと感じるところもありましたが、自分のペースで時間配分も考えてまとめることができました。見直しをする余裕もありました。

Q. 難しかったところはありますか

Tさん:理科の問題はあまり難しくなく、基本的なものでした。課題研究は、考察を書くのが難しかったです。自分がどうしてそう予想したのかを書くのですが、どう書いてよいのか迷いました。

Hさん:私も理科の試験は簡単でした。課題研究は検証に時間をかけてやっていたので、操作をまとめるのに戸惑ってしまったところもありましたが、時間配分を考えながらやっていたので、うまくいきました。

Q.将来は何になりたいですか

Tさん:私は生物が好きで生き物の体の中や、生息場所などを知るのが好きなので、将来は生物学者になりたいと思っています。いろいろな山を歩き回り、珍しい生き物などを見て、その生き物のことを詳しく調べたいです。

Hさん:私は生物のつくりや人体のつくりに興味があります。将来は看護師さんになって、人体の仕組みを詳しく知りたいと思っています。また、人を助けることの重大さも知りたいです。

Q.探究サイエンス入試を受けたいと思っている人にアドバイスをお願いします

Tさん:探究サイエンス入試は理科や実験が好きな人におすすめだと思います。私の場合は特別な勉強はしていませんでしたが、よく、公園などで植物を見つけると植物の名前や作りを父に教えてもらったりしていました。普段からそういう「知りたい」という気持ちをもって勉強するとよいと思います。

Hさん:まとめることが好きな人、理科のどの分野でもよいので、興味のある人におすすめしたいです。私はA4の紙に今まで小学校でやった実験を工夫しながらまとめたりして、重点的に練習しました。練習をすると、まとめるのにどのくらい時間がかかるかもわかって、試験のときの時間配分に役に立ちます。

Q.最後に、学校が始まってどうですか

Tさん:今までは分散登校で知らない人もいましたが、やっと最近みんなに会えるようになって友達も増えました。私は本がたくさんある自学館が好きです。小学生の時に来て楽しかった文化祭を自分でやるのが楽しみです。

Hさん:リモート期間中、友達ができないことが不安でしたが、最近は友達もどんどん増えて、今は学校に行くのが楽しいです。私は体育祭が楽しみです。みんなでできるのできずなが強まって、より楽しくなると思います。山脇はすぐに友達もできるし、都会なのに緑も多く、設備も整っているので、ぜひ、入ってきてほしいと思います。

<取材を終えて>
中学1年生とは思えない、しっかりした受け答えに驚いた。すでに将来の目標も定まっており、これからが楽しみな生徒さんたちだった。それにしても、試験中に全員がサイコロを振る光景というのは、不思議な光景だ。きっと、夢中になってサイコロを振っていたに違いない。でも、夢中だったからこそ、終わって「楽しかった」という言葉が出るのだろう。理科に興味がある児童なら、探究サイエンス入試は、楽しみながら力を発揮することができるに違いない。

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