スクール特集(武蔵野中学校の特色のある教育 #2)

月1ペースの旅が魅力! 乗り鉄も撮り鉄も音鉄も楽しめる「鉄道研究会」
武蔵野中学校の「鉄道研究会」は、月1回程度のペースで「校外学習会」を実施。これまでの旅行先や旅の行程、現地での楽しみ方などについて取材した。
武蔵野中学校の「鉄道研究会」は、月1回程度のペースで「校外学習会」を実施。鉄道に興味のある生徒が集まって旅を楽しむことを主な目的として活動している同部について、顧問の蔵元啓介先生と部員6名に話を聞いた。
様々な角度から好奇心を刺激する「校外学習会」
同校の「鉄道研究会」は、中高合同で活動している。月1回程度のペースで「校外学習会」を実施し、関東近郊は日帰りで訪れ、夏休みと春休みには1泊2日で全国の名所を巡る旅を企画。2025年度は、新入部員の歓迎会を兼ねた横浜への旅(原鉄道模型博物館・日産自動車ショールーム・中華街など)から始まり、「スペーシアXで行く日光の旅」、夏休み中の「JR特急で巡る四国横断の旅」、そして9月には千葉県で毎年恒例のぶどう狩りを楽しんだ。このぶどう狩りには「鉄道研究会」の部員だけでなく、同校の教員が家族同伴で参加できる恒例行事になっている。
「ぶどう狩りには、若手教員が子どもを連れて参加することもあります。校外学習会は、11月の秩父が81回目になりますが、これまで47都道府県中30県を訪れました。全国を目標に、これから北海道や九州にも積極的に行こうと考えているところです。長期休暇中には家族旅行の予定がある生徒もいると思いますが、参加は必須ではないのでそのような場合は家族との時間を優先してかまいません。部内には鉄道だけでなく、他の乗り物にも詳しい生徒がいます。79回目に初めて四国を訪れましたが、飛行機が好きな部員から『現地まで鉄道でいくと時間のロスがあるから、飛行機も活用して現地でたくさん列車に乗りませんか?』という提案を受けてプランを組みました。今後も、飛行機のルートでも費用を抑えられる時期に、空路も利用していきたいと考えています」(蔵元先生)
第79回「JR特急で巡る四国横断の旅」では、1日目に松山城、坊ちゃん列車ミュージアム、伊予鉄道市内電車、道後温泉本館を訪問。2日目には特急「しおかぜ」や特急「南風」を乗り継ぎながら鉄道歴史パークin SAIJO、丸亀城などの名所巡りをした。
「部員一人ひとりに、乗り鉄、撮り鉄、音鉄といった鉄道に対する興味に幅があるので、泊まりで行くときは1日目か2日目のどちらかを班行動にして、それぞれの興味に合わせて行動できるプランになっています。生徒たちから出た乗りたい列車などの希望を取り入れ、現地までのルートは生徒たちが考え、細かい乗り継ぎなどは教員が調整するという感じです。鉄道以外にも興味や関心を広げ、探究のきっかけになるようにお城や博物館、重要文化財の見学なども組み込むようにしています。また現地では、必ずその土地の名物を食べるなど、様々な角度から好奇心を刺激できるようにプランを考えています」(蔵元先生)

▶︎松山 四国縦断の旅
鉄道を通じて大学生や社会人とのコラボも計画中
今後は、大学で鉄研に入っていたり、鉄道会社に就職した卒業生とのコラボも考えているという。
「進学した大学で鉄研に入っている卒業生もいるので、今後は大学生とのコラボにも力を入れていきたいです。鉄道研究を通じていろいろな大学を訪れる機会を作れば、受験のモチベーションにもつながるでしょう。鉄道会社に就職した卒業生から話を聞く機会を作ることも、仕事や社会について考えるきっかけになると思います。活動のメインは旅という点は変わりませんが、模型製作のリクエストもあるので、今後、模型製作に取り組むことも検討中です」(蔵元先生)
「鉄道研究会」での活動は、「人間力」が育まれる場でありたいと蔵元先生は語る。
「個人ではなく部として旅を重ねていくので、部員同士の気遣いや思いやりを育むことを大切にしています。また、鉄道などの公共交通機関を利用するので、マナーを学んだり、部員以外の他者への気遣いや思いやりを育むことにもつながる経験になるでしょう。電車に乗ることが好きなら大歓迎ですし、旅行が好きなら楽しめる部活動です。最初は鉄道にそれほど興味がなくても、仲間と一緒に話しているうちに詳しくなっていき、楽しくなっていくものです。特に入りたい部活がなくて、なんとなく面白そうだから入ってみたという生徒もいますが、知識を深めながら楽しく活動しています」(蔵元先生)

▶︎伊賀上野 紀伊半島縦断の旅
中学生の部員にインタビュー
Tさん(中1)
Kさん(中3)
Iさん(中3)
Nさん(中3)
Aさん(中2)
Hさん(中3)

▶︎写真左からKさん(中3)、Nさん(中3)、Iさん(中3)、Hさん(中3)、Aさん(中2)、Tさん(中1)
――「鉄道研究会」に入ろうと思った理由を教えてください。
Tさん もともと旅行と模型が大好きなので、鉄研がある学校がいいなと思って受験して入部しました。
Kさん 鉄道が好きというわけではなかったのですが、面白そうだと思って入部しました。他の学校では見たことがない部活動でしたが、いろいろな場所に行けるので楽しいです。
Iさん もともと電車が好きだったので、鉄研がある学校に通いたいなと思っていました。学校説明会の個別相談で担当になったのが、たまたま顧問の蔵元先生だったんです。旅行も好きだったし、先生にも誘われたので入部しましたが、月に1回ペースで「校外学習会」があるのでとても楽しい部活だと思っています。
Nさん 電車が大好きで、電車に乗って学校に通いたいと思っていました。通学に1時間ちょっとかかりますが、電車に乗れるので大変とは思いません。旅行の回数も多く、電車にたくさん乗れるので入部しましたが、とても楽しいです。
Aさん 鉄道が好きなので、鉄研がある学校に通いたかったです。小学生のときは鉄道のことを話せる友達があまりいなかったので、みんなと鉄道の話がしたいと思って入部しました。
Hさん 旅行が好きで、家族旅行もよく行きます。部活紹介で旅行する部活だと聞いたので、いいなと思って入部しました。

▶︎会津→仙台 東北の旅
――今までの「校外学習会」で印象に残っている場所はどこですか?
Tさん 今年の夏に行った愛媛県で、「坊ちゃん列車ミュージアム」を訪れたことが印象に残っています。坊ちゃん列車(路面電車)が走る様子が見られたり、路面電車の仕組みなどを初めて知ることができて興味深かったです。
Kさん 中1のときに、新宿で待ち合わせをしてみんなで名古屋に行く予定でしたが、遅刻してしまって乗れなかったことがありました。みんなは新宿から松本へ行って、特急「しなの」で名古屋に行ったのですが、僕は新幹線で名古屋に行って合流しました。とても心細かったので、次からは遅刻しないように気をつけるようになり、その後は遅刻していません。
Iさん 僕も中1のときに訪れた松本と名古屋です。もともとお城に少し興味はあったのですが、松本城や犬山城を訪れて、説明してもらいながら見学できたのでお城の作りなどを詳しく知ることができました。とても楽しかったので、僕にとってはお城好きになったきっかけともいえる旅です。
Nさん 去年の夏に訪れた会津と仙台は、とても暑かったですが楽しかったです。会津で鶴ヶ城を訪れたり、只見線の只見川橋梁では鉄橋を渡る列車を撮影しました。磐越西線から見た景色も綺麗だったので、印象に残っています。仙台では伊達政宗公の像を見たり、みんなで食べた牛タンも美味しかったです。
Aさん 「スペーシアX」に乗ってみたかったので、日光が印象に残っています。コクピットラウンジは予約が取れなかったのですが、車両ごとに座席の雰囲気が違っていて、それぞれの内装がすごいなと感動しました。
Hさん 北陸新幹線が敦賀まで延伸した年に行った金沢や敦賀です。このときは北陸応援割を利用できたので、通常の半額でホテルに宿泊できました。最上階にサウナと露天風呂があったので嬉しかったです。みんなはサウナが苦手だったのですが、僕はサウナが好きなので1人で存分に楽しみました。
――「鉄道研究会」に入ってどんなところが成長したと感じますか?
Tさん 小学生の頃は友達が少なかったのですが、部活で先輩や同級生と話すようになって楽しいなと感じる時間が増えました。高校生も優しくて、頼りになる先輩が多いです。
Kさん 中1のときに失敗を経験して、遅刻しないように気をつけながら活動できるようになりました。
Iさん 「校外学習会」は仲間と一緒に鉄道に乗る楽しみがあるだけでなく、地理や歴史の勉強にもつながるなと感じています。例えば、お城と歴史上の人物との関連に関心を持つなど、実際に訪問した場所には興味が深まりました。
Nさん 小学生の頃は駅に電車を見に行ったり、休みの日に乗りに行ったりする程度でした。「校外学習会」に参加するようになり、たくさん電車に乗れて電車に乗る楽しさを再確認しています。
Aさん 車内アナウンスにも興味を持つようになり、埼玉高速鉄道のアナウンスは行き先も覚えました。
Hさん 特に成長したと感じる部分はありませんが、やっぱり旅行は楽しいなと感じています。

▶︎くぬぎ山 ぶどう狩りの旅
――今後、行ってみたい場所はありますか?
Tさん 飛行機、船、新幹線にも乗れるので、函館に行きたいです。
Kさん 沖縄で「ゆいレール」(モノレール)に乗ってみたいです。
Iさん 札幌に行って、ジンギスカンや海産物などの美味しいものを食べたいです。インドネシアのジャカルタで、日本の中古電車が走っているところも見てみたいです。
Nさん 東京から長時間電車に乗って行けるので、福岡に行きたいです。
Aさん 夏休みに家族で熱海に行ったので、部活のみんなとも一緒に行って自分のおすすめポイントを教えてあげたいです。
Hさん オランダは路面電車が発達しているので、みんなで乗りに行けたらいいなと思います。街も空気も綺麗で、とてもよいところでした。
――この学校の「鉄道研究会」の魅力を教えてください。
Tさん 月1回ペースで「校外学習会」があるので、いろいろなところに行けます。
Kさん 今年は夏休みに家族で旅行に行けなかったのですが、部活で行けたので楽しめました。部活でたくさん旅行できるのがいいなと思います。
Iさん 他校の文化祭で鉄研の展示を見たりしますが、模型がメインのところが多いです。 月1回も旅ができるのはうちの学校ぐらいだと思います。旅行好きな人は楽しく活動できる鉄研です。
Nさん 行きたかった栃木や茨城に行けて嬉しかったですし、旅行にたくさん行ける楽しい部活動です。
Aさん 旅をしながら、みんなといろいろな話ができるので楽しいです。宿泊先でも食事をしながら話したり、電車の中でゲームをしたりして、いろいろな楽しさがあります。
Hさん 家族旅行とのスケジュール調整が大変なぐらい、たくさん旅ができるので楽しいです。
<取材を終えて>
蔵元先生から細かい行程が書かれた資料を見せていただいたが、とても充実した内容だった。「校外学習会」の様子は毎回、学校のホームページで「部活情報」として公開されている。写真も掲載されているので、どのような旅を楽しんでいるかぜひ見ていただきたい。来年度以降に取り組む予定となっている、大学生や社会人とのコラボにも注目したい。
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