スクール特集(三輪田学園中学校の特色のある教育 #3)
国公立大へ15名! 理科系進学者47%!進学実績を伸ばす教育と進路指導
中高一貫の少人数制によるきめ細かい進路指導に加えて、実験を体験することで興味を持たせる授業によって理数系を希望する生徒が増加。さらに、理数系が必須の国公立大学への進学者も急増。その背景にはどんな教育と進路指導があるのでしょうか。
2017年、創立130周年を迎えた三輪田学園。「女子に学問を」という創立者三輪田眞佐子先生の志に基づき、「知育」「徳育」「体育」「美育」を教育の骨子とし、知的で誠実、精神的に自立した女性を育て続けてきました。
近年は「理数系」を選択する学生が増加。2016年卒業生においては47%もの生徒が理数系に進みました。それにつれて、文系でも入試に理数系が必要とされる国公立大学の合格者も15名という成果を生みました。
今回は、進学実績の伸びで注目される進路指導室長と、東邦大学医学部に進学した生徒さんにお話しを伺いました。
進路指導室長/加納克也教諭
6年間の完全中高一貫校で全方位の学力を身に付ける
三輪田学園は、完全中高一貫校です。6年間という長い期間だからこそ、長期的な視点でカリキュラムを用意しています。入門期(中1・中2)・充実期(中3・高1)・発展期(高2・高3)の3つの段階を経て、しっかり学力を身に付けてもらいます。生徒には、変化のスピードが早い今の時代に応じて、人間として、女性として自立した生き方をしてほしいと考えています。その基礎を築くのが中高の6年間。6年あるからこそ、単なるキャリア教育としてだけでなく、生き方そのものを考えさせる進路指導が行えるのです。
本校では、中1から高1まで全生徒が同じカリキュラムで学びます。高2で文系・理系を選択。選択科目を数多く設置していますので、生徒のニーズと希望に沿った履修ができます。センター試験に対応する基本の5教科7科目は、文系・理系どちらでも履修することが可能です。
中高一貫校として6年間生徒をお預かりする以上、中だるみを起こさないよう、進学に向けて学力の向上を維持することは私たち教師の責任です。その具体的な施策として行っているのが、5教科・各60分間の「総復習テスト」です。中3の3学期に行われるこのテストは、中学の学習内容を全て網羅したもので、一定レベル以上の成績をとらなければ、再試や補習が行われます。この「総復習テスト」に備えるため、中学の定期考査では前の学年で学んだ事項も出題し、学力をむらなく積み上げられるのです。
生物、地学、化学、物理の4つの実験室を活用
国公立大、早慶上智などの難関私立大にチャレンジする生徒が増えました。とくに今春の卒業生は、文系・理系がほぼ5対5の割合で、例年に比べて理系志向が強く、東京医科歯科大や東邦大、北里大や東京農業大などにも多くの合格者を出しています。国公立大学の合格者も7割が理系でした。今後も理系をめざす生徒が一定数いることが見込まれます。
このように理系志向が比較的高いことの理由としては「生物」、「地学」、「化学」、「物理」のそれぞれに特化した4つの実験室を活用した、実験・観察を重視した授業を行っていることがあげられます。自ら実験結果を出し、考察することによって主体的に学習することで、論理的思考力を身につけているようです。
卒業生による進路相談も学年に応じて開催
本校では高1になった際に「進路のしおり」を配付。生徒達の進路に対する意識を高め、さらには卒業生を招いて話を聞く機会を設けています。たとえば高1では「10年後の私を考える」をテーマに、20代半ばの社会人から話を聞き、その後大学訪問を行います。さらに進路を具体化する高2の秋には、大学を卒業したばかりの卒業生が来訪。そして、受験勉強もピークを迎える高3の春には、入試を終えたばかりの1つ上の先輩が話をしてくれます。
また中3以上の希望者を対象に、難関大に合格した卒業生数人を招いてのシンポジウム、国際的に活躍する女性を招いての講演会も行われています。身近な先輩たちの体験を聞くことで、自らの進路に具体的なイメージを持つことができ、生徒自らが自分の進路を考えることができます。うれしいことに、多くの卒業生が快く協力してくれます。本校の良き伝統だと自負している点です。
教師全員で生徒全員を見守るきめ細かい指導
例えば「国際系に進学したい」という生徒に志望大学・学部を聞くと「グローバル」とか「国際」と名前がついている学部をあげるケースが大半です。でも、じっくり話を聞くと、実は別の学部の方が生徒のやりたいことを実現できる場合も多々あります。ですので、生徒たち自らは気づきにくい可能性を提示するのも私たちの役割。実際に生徒たちはそうしたアドバイスには、素直に耳を傾けてくれる場合が多いと感じています。
本校は、各学年4クラスという少人数制の学校だけに、教科や担任の先生を越えて、全生徒を全教師が見守ることが可能です。また先輩、友人、保護者など、本校では周囲の人との触れ合いが多く、それが生徒たちの未来を切り拓く機会になると思っています。本校の生徒は素直で真面目で前向き。加えて周りと協調しながら地道に自分を成長させていくこととができます。入試改革に留まらず、今後も求められる生徒像は変化していくことでしょう。いろいろな可能性を生徒たちに提示し、自らが選び取っていくことが、これからの時代を生き抜く力となってほしいとと思っています。
東邦大学医学部に進学した卒業生にインタビュー
「医師になりたい」という強い意志の元、今年から東邦大学医学部で学んでいるAさんに三輪田学園について聞きました。
―この学校を選んだ理由は?
Aさん 小学生のときから本を読むのが好きで、男子と一緒の環境でにぎやかに勉強するよりも、女子校でじっくり勉強をしたいと思っていました。三輪田学園は先生も生徒もあたたかく、しっかり見守ってくれる学校だと思い選びました。
―どうして医師になりたいと思いましたか?
Aさん 三輪田学園では、中2と高1でボランティア活動をすることになっているのですが、中2のときに家の近くのデイサービスのボランティアに参加したことが最初のきっかけとなりました。介護の場面を経験したときに、私も人の役に立つ仕事がしたいと思ったのです。
高1では、聖路加国際病院の産科病棟にボランティアに行き、赤ちゃんのベッドシーツの交換や哺乳瓶の調整など、実際の仕事をサポートさせていただきました。例えば、出産が終わった後のシーツ交換のときも、家族の方が集まっていらっしゃるような場合は、邪魔しないように気を配ったりしている姿を見て、私もこういう現場で仕事をしたいと心から思うようになりました。
―大学受験に向けての勉強方法は?
Aさん 少しずつでも、必ず毎日勉強することにしていました。模試でできなかった科目などは、職員室の前に相談コーナーがあるので、気軽に先生たちに教えていただきました。
また卒業した先輩たちも進路指導のために来てくれることがあり、定期テストの勉強の仕方を指導してくれました。中には医学部に進学した先輩もいて、学校の勉強以外にどんな勉強をプラスアルファすればいいかも相談でき、とても参考になりました。年齢の近い身近な先輩が親身になってくれるので、とてもうれしかったです。
―三輪田学園の生活はどうでしたか?
Aさん 4クラスで6年間一緒に勉強するので、学年全員がみんな仲良しです。ここでの生活が「一生の友だち」といえる仲間をつくってくれました。みんなそれぞれ大学に進み、進路もさまざまですが、卒業しても頻繁に会っています。
運動会も本気で取り組み、学年対抗でしたが、競技によっては先輩たちに勝つこともでき、チームワークが大切だということを感じました。また先生や先輩たちも温かく見守ってくれているという思いがいつもありました。
―将来の夢はなんですか?
Aさん 今は外科を志望しています。テレビ番組などで医師たちが人の命を助けようと一生懸命に頑張る姿を見て、刺激を受けました。多くの人の命、健康に役に立てるよう、大変なことがあっても頑張っていきたいと思っています。
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