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スクール特集(新渡戸文化中学校の特色のある教育 #1)

「枠」から飛び出し、「社会とつながる」新カリキュラム

2019年度から学校改革を進めている新渡戸文化中学校。「社会とつながる」新カリキュラムの特色とは?

2019年度から学校改革を進めている新渡戸文化中学校では、今年度から「社会とつながる」新カリキュラムが本格的にスタートした。その中心となるクロスカリキュラムについて、「教えない授業」と呼ばれる自律型学習者を育てる授業を実践している山本崇雄先生(統括校長補佐/中学校教育チーフデザイナー)と保健体育のアクティブラーニングで注目されている小林光一先生(プロジェクトデザインチーム・チーフ)に話を聞き、生徒2人にインタビューした。

「社会とのつながり」と「選択の機会」を実現

社会に出てから幸せになることを目標とするなら、それを達成させるための教育とはどんなものなのかと考えてつくられたのが「3Cカリキュラム」*だと、山本先生は語る。

*「Core Learning」「Cross Curriculum」「Challenge Based Learning」という、3つのCから名付けられた独自カリキュラム。

「テクノロジーの進化によって、人々は国境を超えてつながれるようになり、社会の多様化が進んでいます。変化の激しい時代の中で、SDGsの目標にもある気候変動や貧困など、様々な社会課題に取り組んでいかなければなりません。そのような社会に子どもたちを送り出していくためには、社会の変化と学校がシームレスにつながらなければならないのです。そのために必要なことは、子どもたちの学びを社会につなげることであり、それが3Cカリキュラムの根幹となっています」(山本先生)

すべての学びの基本となる知識ベースの学習(Core Learning)には、ICTを活用。EdTechサービスのアプリや教材を使って個別最適化し、自分のペースで効率よく進める。ICTの活用により「余白」となる時間が生まれ、社会とのつながりを意識した学習にあてることが可能となるのだ。週1日は終日、クロスカリキュラム(Cross Curriculum)の授業を行い、テーマに沿って複数の教員が同時に関わり、教科を越えた学びを展開。クロスカリキュラムをさらに発展させたCBL(Challenge Based Learning)では、企業や外部団体と積極的に連携することで、“ごっこ”ではないリアルな社会課題に挑戦する。教科書の枠から飛び出した学びではあるが、学習指導要領に紐づけられているのが大きな特徴である。

「これらを生徒たちが主体的に行うために必要なことは、様々な選択の機会をつくることだと考えています。登校してから下校するまで、教員が決めたことをやるのではなく、様々な場面で選択する機会を作っています。よりよい未来を作るためによりよい選択をしていくという体験を、学校の中で積み重ねていってほしいのです。『学びを社会につなげること』と『様々な選択の機会をつくること』の2つが、3Cカリキュラムの大きなコンセプトになっています」(山本先生)

例えば、クラス担任も固定ではなく、チーム担任制となっている。相談したいことがあれば、話しやすい先生、その分野が得意な先生など、生徒が自分で選んで相談することができる。遠足や修学旅行などの行事も年間スケジュールや場所は決まっていない。学びの中で実際に見てみたいもの、体験したいことがでてきたら授業の中で行くことができるのだ。

▶︎山本崇雄先生(統括校長補佐/中学校教育チーフデザイナー)

▶︎小林光一先生(プロジェクトデザインチーム・チーフ)

枠からはみ出し、枠を超える学び

これまでのカリキュラムの中では、教科書からはみ出す学びは「教科の枠」や「学校の枠」に阻まれて実現することが難しかった。しかし、枠からはみ出す学びこそ、子どもたちが一番伸びるのだと小林先生は語る。

「例えば、英語で環境問題を扱うと、教科という枠で考えたらそれは英語の授業とはいえないかもしれません。テレビで取り上げられたニュースについて話したとき、子どもたちが『行ってみたい!』『見てみたい!』と言ってきても、これまでは学校から外へ出るには許可を取ったりするのがとてもたいへんでした。しかし本校では、それらがカリキュラムに組み込まれているのです。教科書という枠からはみ出した授業も可能であり、子どもたちが興味を持てば堂々と外へ出かけていくことができます。だからといって、教科書をおろそかにしているわけではありません。教科書があるから興味を持つこともありますし、外へ出て学んだあとに、また教科書に戻るとより理解が深まることもあります。教科書や校外学習がピラミッド状に順位が決まっているわけでもなく、それぞれがバラバラでもなく、少しずつ重なりあっているのです」(小林先生)

教科それぞれを1つの輪に例えると、それがバラバラにあるのではなく、オリンピックの輪のように重なっているのだと、小林先生は語る。教科横断型の学びを進めていくと、生徒たちの頭の中でその重なりが見えくるようになる。その瞬間が面白く、学びの意味や深みを感じるのだという。教科横断型の学びとは、どのように進められるのだろうか。

「例えば、ゴールデンウィーク中にはこんな課題を出しました。Web上に公開されていた世界のレシピを参考にして、『自分で世界の料理をつくり、教科とのつながりを考えて紹介しよう』という課題です。マケドニアのチーズインハンバーグを作った中1の生徒は、国語では『チーズインハンバーグを漢字で書くとどうなるか?』を考えたり、理科では『なぜハンバーグを焼くと膨らむのか?』を探ったり、社会では『マケドニアの歴史』について調べるなど、自分なりに5教科に絡めた学習を行っていました。『教科とのつながりを考えよう』というテーマを決めただけで、ここまで考えることができたのです」(小林先生)

生徒の中には、自身で気づくことができる子もいれば、なかなか気づけない子もいる。教員の中にも、このような「気づき」をじっくり待つタイプと、ヒントを与えて引き出すタイプなど、様々なタイプがいる。そのような多様性の中で、多様な学びが生まれる。

「先ほどの例だと、さらにそこから、玉ねぎとひき肉の組み合わせから栄養について考えて、『そういえば、しょうが焼きも玉ねぎと組み合わせていることが多い。肉と玉ねぎの関係にはどんな意味があるのか?』というところまで発展させる子がでてきたらいいなと思います。私はわりとヒントを言ってしまうタイプですが、山本先生はとことん待つタイプです。生徒もいろいろなタイプがいますし、教員もいろいろなタイプがいるからこそ、コミュニケーションも活発になります。それぞれの個性が混ざり合うことで、生徒だけでなく私たち教員も学ぶことが多いです」(小林先生)

多様であることが「社会」

「社会につながる学び」という大きな目標は共有しているが、どのような手法で教えるかは各教員に任されているという。

「アクティブラーニングでなければならない、などということは決まっていません。『社会につなげる』ことと『選択の機会をつくる』ことが共有できていれば、手法や教員のタイプは多様な方がよいと思います。例えば、ルールに対して厳しい先生がいる一方で、細かいことは気にしない先生がいたとしても、そういった価値観が多様であることが社会そのものなのです。様々な価値観に合わせて、自分の行動を変えていくことが社会につながるということだと思います。校長先生に会うときはきちんとした服装にしようとか、猛暑の日にグループワークをするだけなら少しルーズな服装でも暑さがやわらぐ方がいいとか、教員が指示するのではなく、自分でコントロールしていくことが大切です」(山本先生)

100人の大人との対話を目指す「Happiness Bridge」

クロスカリキュラムでは、100人の大人との対話を目指す「Happiness Bridge」を実施。教員たちの人脈から様々な経験、価値観をもった大人を集め、オンラインで対話をする。
すでに4回実施されているが、プロのスポーツトレーナー、シェフ、劇団四季の元団員、元Jリーガー、ドイツの銀行員、カナダの理学療法士など、バラエティに富んだ職業の大人が集まり、他校の教員や校長先生も多数参加している。

「料理好きな子がいればシェフを探したり、看護に興味のある子がいれば看護師を探すなど、生徒たちの興味に合わせた職業の人をマッチングさせるケースもありますが、様々な出会いのパターンを考えています。どのような職業の人にあたっても、生徒たちは聞きたいこと聞いて話したいことを話します。1回目のときは、生徒たちもどのようにして始めればよいかわからず、沈黙もありましたが2回目はまったく違いました。一般的に0から1回目までは怖さがありますが、2回目には経験値が上がり、違ってくるものです」(小林先生)

対話の相手となる大人には、「もし生徒が戸惑っていても無理に話さず、沈黙を楽しんでください」とお願いしている。すると、生徒たちも沈黙は嫌なので、「なんとかしなくちゃ!」という心理が働き、「自己紹介をしてみよう」「次は自己紹介の資料も作ってみよう」というように、自分なりにコミュニケ―ションを学んでいく。使う場面のない中でやり方を教えるのではなく、使う場面の中で自ら学んでいくことに大きな意味があると小林先生は語る。さらに、大人との対話は、キャリア教育の視点からも重要な役割を果たしているという。

「子どもたちは、知っていることとやったことのあることからしか、将来の夢やなりたい職業を決めることができません。自己肯定感が低いとか、やりたいことが見つからないのは、知っていることとやってきたことが少ないだけなのです。それならば、できるだけたくさん出会わせてあげたい。しかし、教室の中だけでは、教員と教材、そして他の生徒としかつながれません。オンラインを活用すれば、様々なバックグラウンドを持った大人たちと簡単につながることができます。そして、そのつながりは海外へと広がり、他校の生徒など、同世代にもつなげることができます。教科書や教室の枠を飛び越えて、社会と子どもたちをシームレスにつなげていくのが学校の役割です。そういった経験を積み重ねていく中で、子どもたちがやりたいことやなりたい職業を見つけていくためのサポートやコーチングをしていきたいと考えています」(小林先生)

オンラインと対面によるハイブリッド教育を目指す

新型コロナウイルスの影響で休校になっていた間、同校でもオンライン授業が実施された。例えば、国語の授業では、「自粛」をテーマにしたポスターをグループで制作するという課題をオンラインで実施。パチンコ店へ行く人に自粛を促すポスターや予防を呼び掛けるポスターなどが作られ、いくつかの作品は2020年5月31日付の朝日新聞でも紹介された。

「ポスターをどこかに貼ったわけではありませんが、子どもが主体的に学ぶためには目的と対象(他者)が必要です。ポスターを作って誰かに伝えるというように、目的が明確であるほど発信しようとする力が強まり、伝わる言葉を選ぶようになります。例えば、遠足に行って事後学習として模造紙にまとめたり、感想文を書かせたりすることがありますが、その活動自体が目的になってしまっていることが多いのではないでしょうか。そうではなく、『鎌倉の魅力を海外の人に伝えよう』とか『旅行会社と組んで新たなツアーを開発しよう』などという目的と対象がはっきりしていてこそ、その活動をする意味があるのです。本校はリアルな社会につながる活動をとことんやれる学校を目指したいと思っています」(山本先生)

伝える相手が自分の中で具体的に見えているほど、より効果的なアウトプットができるのだと小林先生は語る。

「伝える相手がどこの誰かわからない“ジャガイモの顔”では、ダメなのです。『もしインドに住む人に会ったらどんな自己紹介をするか』ではなく、インドに住む人に本当に会わせる場面を用意した上で、自己紹介を考えさせなければリアリティがありません。アウトプットするためには、対象となる相手がはっきりと見えることが重要なのです。例えば、自分たちの校則を自分たちで変えるために校長にプレゼンをするとなれば、圧倒的にやる気が出て真剣度も増すでしょう」(小林先生)

インドに住んでいる人と会う場面を作ることも、オンラインなら対面よりはるかに簡単だ。オンライン授業と対面による授業、それぞれの「できること」と「できないこと」を考えることが大切だと山本先生は語る。学校が再開された後も、すべてを対面の授業に戻すのではなく、オンライン授業と対面による授業、それぞれのよさを活かしてハイブリッド教育を目指す。

中3の生徒2人にインタビュー

――100人の大人との対話を目指す「Happiness Bridge」で、印象に残っているのはどんな人ですか?

Iくん:企業でコンサルティングをしている方です。僕は地理が好きで、国を調べる上で地理がどう関わっているか考えたりします。相手の方の仕事と関係がある話題がよいと思ったので、コンビニエンスストアに関する話を聞きました。コンビニが売り上げを伸ばすために一番大切なことは、立地なんだそうです。僕は、かわいい店員さんがいることだと思ったのですが(笑)、それが一番ではありませんでした。そこから話が広がり、駅前なら駐車場はなくてもあまり関係ないとか、十字路のどこが一番いいかとか、いろいろ知ることができて面白かったです。そのような話の中で、お客様の視点で考えて、どんな印象を与えるかが重要なのだということにも気づきました。そういったことを知っていると、生活にも活かしていけると思います。

Tさん:ナレーターをされている方です。「本質を見ることが大事」など、言葉が素敵だなと思いました。私は小学生の頃から環境問題に関心があるのですが、今までは本質を見ていなかったと思います。例えば、クロスカリキュラムの探究で、海洋プラスチック問題について調べているのですが、海に流すゴミの量は圧倒的にアジアの国が多いのです。そこには貧困も関係していることが見えてきたので、環境問題だけを考えていても解決できないのかなと思います。少しずついろいろなことが見えてきて、環境と経済がつながってきました。

▶︎Iくん

▶︎Tさん

――休校中に「自粛」をテーマにした課題が出ましたが、どんなポスターを作りましたか?

Iくん:まず誰を対象にして、何を自粛させるかを考えました。たまたまニュースでパチンコ屋さんが話題になっていた頃だったので、パチンコ屋さんに行く人を対象にしました。うちのグループは過激だったので(笑)、ドクロの絵を使おうとか、燃えている日本と輝いている日本の対比にしようなどの意見が出て、だんだんパチンコが関係なくなって迷走してしまいました。テーマを確認しながら、軌道修正していくことが大切だと反省しています。キャッチフレーズを考えるのが得意な人、絵を描くのが得意な人など、役割分担しながら、なんとか完成させることができました。

Tさん:私のグループは「予防」に関するポスターでしたが、やはり迷走しました(笑)。「もっとこうした方がいい」という意見が出ると、「いや、こうした方がいい」というように、別の意見が出てきてしまい、それをまとめることが難しかったです。最終的には、それぞれが作ってきたものから1つを選んで、そこにみんなのアイデアを入れて完成させました。

――ゴールデンウィークに出された「世界の料理を作って各教科と関連させる」という課題では何を作りましたか?

Iくん:ギョーザを作りました。作るのは初めてでしたが、面白かったです。母はギョーザの皮から作っていたので、僕は材料を混ぜ、皮で具材を包む作業をやってみました。その後も何度か作ってみましたが、だんだん上達したと思ったら、慣れたことで雑になってしまい、きれいに包めなかったりもしています。教科と絡めた学習では、ギョーザの歴史について調べました。

Tさん:私はドイツの料理作って、歴史を調べました。この料理を選んだのは、美味しそうだったからです(笑)。「イェーガーシュニッツェル」という名前ですが、日本人にはわかりにくいので「とんかつのキノコソースがけ」と名付けました。この料理もそうですが、同じ名前の料理でも、旧東ドイツと旧西ドイツでは、まったく違うものがあると知りました。それは、かつて対立していたという歴史があるからかなと考えました。

――これまで受けた中で、印象に残っている授業はありますか?

Iくん:理科の授業で短大の臨床検査学科に行って、乳酸菌やがん細胞を顕微鏡で見たり、人間の臓器(標本)を見たりしたことが印象に残っています。タバコを吸うと肺の色が変わることも実物を見せていただき、「こんなに色がかわるんだ」と驚きました。

Tさん:私は国語の授業です。『走れメロス』を読んで、お城に行ったメロスがなぜナイフを持っていたかを話し合いました。「意図的に持っていった」と「たまたま持っていた」に分かれたのですが、私はたまたま派です。意図的派の意見を聞くと、文脈から「確かにそうかも」と思えて、自分で読んだだけでは気づかなかった視点を知ることができました。

――この学校のいいなと思うところを教えてください。

Iくん:給食がものすごく美味しいことと、先生と生徒の仲がよいことです。レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」についての授業をした後、先生の誕生日だったので、「最後の晩餐」と同じポーズをしてみんなで写真を撮ったことがあります。人数もちょうど同じで、先生がキリスト役です。学校説明会でも仲のよさを伝えたいと思ったので、説明用のスライドにその写真を使いました。

Tさん:先生とも仲がいいですし、学年を越えて生徒同士も仲がいいです。オーガニックコットンの活動などもでき、社会とつながれるので視野が広がり、よい刺激になります。オーガニックコットンは、企業から切れ端をもらってリメイクをしてイベントで売ったりしています。学園でもコットンを育てていますが、花が咲いた後に綿毛が出てきて、だんだん丸くなっていく様子が観察できて楽しかったです。小さい花壇でもたくさん綿がとれたので、何か作れたらいいなと、みんなで考えています。

見えてきた成果と今後への期待

2019年度の試行期間を経て、休校期間中のオンライン授業も経験。今年度に入ってからは、まだ対面の授業は少ないが、生徒たちのコミュニケーション能力が高まり、他者を意識した対話の経験値が上がってきていると、山本先生は手応えを感じている。

「自律型学習者へと育てるためには、『今、どんな状態なのか?』と『どうなりたいのか?』、そして『どんなサポートが必要か?』という問いかけが重要です。『世界中の100人と英語で話したい』と思えば、今の学力から必要なことを考えて、自分の学びをコントロールしていけるようになるでしょう。ターゲットに対して必要な学びを自分の力で進めていくのが、自律型学習者です。そして私たち教員は、その主体的な学びをサポートしていくというスタイルを目指しています。3Cカリキュラムはまだ動き出したばかりですが、勉強の目的を見つけられずにいた子も、目的を見つけはじめていると感じられます。全然興味を持っていなかった子に、それが芽生えたら最強です。そしてそのような子がポツポツと出てくると、クラスや学校全体がポジティブな空気に包まれて、どんどん他の子たちにも伝播していきます。その伝播力はすごいものなので、今後が楽しみです」(山本先生)

同校では、オーガニックコットンの切れ端をリメイクしてイベントなどで販売する活動も行っている。オーガニックコットン商品を扱う企業を取材した際に、加工の過程でどうしても出てしまう切れ端の扱いに困っていると聞いたことがきっかけだったという。このような活動は、放課後を中心に行われていることから、小林先生は「部活動参加率という考え方を、放課後活動参加率に変えていきたい」と語る。

「放課後=部活動か帰宅部、という考え方を変えていきたいと思っています。オーガニックコットンの活動に取り組んでいる生徒も、運動部で全国大会を目指している生徒と同じように頑張っていると思うのです。しかし、この活動はいわゆる部活動ではありません。学校説明会で『部活動は何がありますか?』と聞かれると困ってしまうので、放課後活動という新しい考え方を広めていきたいのです。本校では放課後を、クロスカリキュラムやCBL(Challenge Based Learning)など、教育課程内のことを深める場になるように、新たな選択肢としてデザインしなおしています」(小林先生)

同校の生徒に行ったアンケートを、日本財団が2019年にアジアや欧米で行った「18歳意識調査」と比較すると、「自分で国や社会を変えられると思う(日本18%、同校の中学生34%)」、「将来の夢を持っている(日本60%、同校の中学生77%)」など、すべての項目で調査対象となった日本の高校生より、同校の中学生の方が上回っていたという。

「まだまだ多いとは言えませんが、調査対象となった高校生より高い数字が出ています。学校が変われば社会が変わり、未来も変わると思うので、行動者となって自分で社会課題を変えていける生徒が増えていってほしいです」(山本先生)

<取材を終えて>
学校改革を進めている同校には、今回話を聞いた先生方をはじめ、各教科で新しい教育に挑戦している先生方が集まっている。企業と契約して社員教育を行っていたり、NPO法人を立ち上げたりと、2枚目、3枚目の名刺を持って学校の外でも活躍しているからこそ、「Happiness Bridge」をはじめとする「社会とつながる学び」が実現できるのだと思う。「Happiness Bridge」には他校の校長先生なども参加しているとのことで、そこから他校の生徒たちとの交流につながることも期待されている。2020年度から本格的に始動した3Cカリキュラムによって、生徒たちと社会がどのようにつながり、どのように学びを深めていくか注目したい。

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