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スクール特集(中村中学校の特色のある教育 #7)

経験ゼロからでも大きく成長! 中高合同で技術と自主性を高め合うテニス部

2026年度、各大会で好成績を収めている中村中学校のテニス部。練習の様子を取材し、日頃の練習や活動方針について話を聞いた。

中村中学校のテニス部は、2026年8月に開催された「中体連新人戦本戦」にダブルスで出場した2年生ペアがベスト4入りし、都大会への出場権を獲得。各大会で好成績を収めているテニス部の活動について、テニス部顧問の長野裕樹先生(中学3年主任)と3年生の生徒に話を聞いた。

中高合同での練習を通して大きく成長

同校のテニス部は、学校から徒歩2分ほどのところにある同校のテニスコート(グラウンド・さくらの庭)を拠点に中高合同で週4日(+試合があるときは日曜日)活動している。6月には、「第52回東京都中学校テニス選手権 第5ブロック(団体の部)」で準優勝、7月には同校を会場として開催された「第6支部大会*」に出場して準優勝するなど、今年度に入ってからも各大会で好成績を収めている。
*第6支部は、東京都の私立学校が地域ごとに編成する支部の1つで、墨田区・江東区・足立区・葛飾区・江戸川区の私立学校が参加して行われる大会。

「その時の生徒たちのレベルや出場した大会での様子を見て、最低限やろうという練習メニューは顧問の教員が話し合って決めています。しかし、すべてのメニューを顧問が決めているわけではありません。部長や大会が近い生徒にも、何をしたいか聞くようにしています。例えば、サーブやボレーの練習をしようと思っていても、生徒たちからラリーをして調整したいとか、ロブの練習がしたいという意見があれば、本人たちのやりたいメニューをやらせています。自分たちで作った時間の方が、より集中して、一生懸命に取り組むことができるからです。部長をはじめとする上級生は、他の部員のこともよく見ています。弱点や上達した部分など、私たちとの会話の中でもちゃんとわかっていることが伝わるので、とても頼もしいです」(長野先生)

以前は、団体戦に出場するメンバーは顧問が決めていたが、ここ数年は上級生たちの意見も参考にしながら決めるようになったという。

「これは、とてもいい変化だと思っています。つい先日も、上級生になって成長したなと感じることがありました。1、2年生の試合に、3年生のNさんが応援に来てくれたときのことです。ある生徒が、本来はもっとできるはずなのに思うように力を出し切れていませんでした。いつも試合が終わると、顧問のところにきて振り返りをするのですが、試合を見ていたNさんは、私のところに来る前に自分でその生徒を呼び止めたのです。近くで聞いていたら、私が言いたいことを全部言ってくれていました。後輩への伝え方も、頭ごなしの説教ではなく、いつも見ているからこそできるアドバイスができています。入部当初は初心者だったNさんが、2年数か月でここまで後輩のことを見られるようになったのだと、成長を感じました」(長野先生)

▶︎長野裕樹先生(テニス部顧問・中学3年学年主任)

目標は「自分で判断して行動できる集団」

昨年度から、中高合同で夏合宿を実施している。今年度は千葉県白子町にて3泊4日の日程で行い、中高約30人が参加。部の親睦を深めるために、部屋割は中学1年から高校2年の縦割りで、多い部屋は8人が同部屋で過ごした。練習以外にも、海水浴場に行って足元で海を感じたり、バーベキューや花火なども一緒に楽しみ、先輩と後輩との親睦も深まったという。

「初心者も経験者も歓迎の部活ですが、やる気がある生徒が楽しめたり、頑張れる環境であってほしいと思っています。楽な方に流されやすい年頃でもあるので、ダラダラと練習していたら、そんな練習では勝てないよねと指導はします。一方で、『ライブのチケットが当たったので、明日は練習を休みたいです』などと、正直に言える環境です。家族旅行に行ったり、プライベートの楽しみもあっていいと思っています。大会が近い時期は練習を頑張って、大会まで時間があく時期を利用して家族や友達と楽しむなど、自分たちで判断できる集団になってほしいです」(長野先生)

生徒たちの自主性が育まれてきたことが、様々な場面で実感できていると長野先生は語る。

「まず、引退した前の部長(現・高校3年生)がとても良い雰囲気をつくってくれました。その流れを大切にしつつ、今の高校2年生が新しいテニス部をつくってくれています。今の部長(高校2年生)は中村に入学してからテニスを始めた初心者です。本校のテニス部はテニスの技量で部長を決めるわけではありません。同学年の中で個性を大切にしながら自分たちで話しあい決めてくれました。リーダーシップのある部長、3歳・5歳からテニスを始めたテニス技量のある2人の副部長が良さを出しあいながら部を引っ張ってくれています。テニスに対する頑張りだけでなく、先輩と後輩との関係や部活をどのようにしていきたいという思いもしっかり持ってくれているように思えます。教員たちからの縛りがあまりないので、自分たちで考えられるようになっていると感じられます。3年生も1、2年生の大会が近いときなどは、その場の状況を見て『私たちが教えます』とか『球出しやります』などと自主的に行動できるようになってきました。今自分が何をすべきか考えられる関係性ができてきて、それが大会での成果にもつながっていると思います」(長野先生)

3年生の生徒にインタビュー

Nさん(3年生 テニス経験ゼロからスタート)
Kさん(3年生 入学前にテニス経験あり)

――テニス部に入ろうと思った理由を教えてください。

Nさん 私は球技が苦手だったので、それを克服したいと思っていました。仮入部のときに友達とテニス部に行ってみたら、部全体の雰囲気がとてもよかったんです。当時高校1年生だった副部長の先輩が私に1対1で教えてくれて、とても優しかったので、この部活で頑張りたいと思いました。入部後も教えてもらっていたので、今、都大会に行けるまで上手になれたのは、その先輩のおかげだと思っています。

Kさん 私はテニスをやっていたのですが、受験のためにお休みしていました。中学で何をやろうかテニス以外も含めて考えていく中で、テニス部に仮入部してみました。そのときに歓迎してくれている感じが伝わり、いい雰囲気だなと感じたことを覚えています。まだ大会に出た経験がなかったので、大会に出てみたいという気持ちもありました。練習はきついメニューもありますが、休憩時間などに先輩たちと話をしたりするのが楽しいです。

▶︎Nさん

――入部して最初に出た大会について教えてください。

Kさん 1年生のときに出場した、1、2年生対象の新人戦です。予選のときは、初心者もたくさんいるんだなという印象でした。本選に進めたのですが、予選とはレベルが全然違っていて、1回戦で負けてしまいました。負けたとき、戻れるなら予選でちょっと安心してしまった自分に、「もっと頑張らないとダメだよ」と言いたかったです。

Nさん 私はダブルスで新人戦に出ましたが、予選の1回戦で点数が取れないまま負けてしまいました。経験ゼロからのスタートだったので打てないのはしょうがないですが、できることを最大限に出せなかったことが悔しかったです。長野先生から、普段の練習から試合だと思ってやるようにと言われて、それを意識して練習するようになったら上達しました。初試合では、緊張して足が動いていなかったので、打てるボールも打てなかったんです。今は少し緊張することもありますが、試合を楽しめるようになりました。自分が持っている力を最大限に出せたら楽しめるし、それでもし負けても最大限やれたことには変わらないので、とにかく楽しもうという気持ちで試合に臨んでいます。

▶︎Kさん

――大会で力を発揮できなかった後輩を見て、どんな思いでアドバイスしましたか?

Nさん 絶対に勝てる試合だと思っていたのに、場の空気に流されて、自滅してしまったのです。2年前の自分を見ているようだったので、絶対に悔しいはずだと思って声をかけました。本人も、最大限の力を出せなかった悔しさを感じていたので、次の試合では出し切れるように頑張ってほしいです。

――夏合宿で印象に残っていることを教えてください。

Kさん 私は部長さんと同じ部屋だったので、普段の会話からは聞けないような、知らなかった部分を知ることができました。お題があってそれにみんなが答えるカードゲームをしたとき、部長さんが言う言葉やエピソードが普段の会話では聞いたことがなかったので、新たな面を知ることができて楽しかったです。

Nさん 一番印象に残っているのは、最終日に4チームに分かれてダブルス団体戦の形式で試合をしたときのことです。人数調整で私は2回出たのですが、あまり調子がよくなくてどちらも負けてしまい、悔しくて泣いてしまいました。他のメンバーが勝ったので勝ち進めたのですが、自分の結果が悔しかったことが思い出として強く残っています。

――合宿中に3年生に起きた出来事について教えてください。

Kさん 限られた時間の中で練習していたのですが、想定外のことが起きて、急きょ予定と違う練習をすることになりました。3年生は時間を決めて2グループでコートを使うことになったのですが、きちんと時間を計っていなかったので、片方のグループだけで練習時間が終わってしまったのです。

Nさん それで練習できなかった3年生から不満の声が出て、雰囲気が悪くなってしまったので話し合いをすることになりました。急な予定変更だったので仕方なかったのですが、状況を把握できていない人がいたりして、話がかみ合わず、みんな泣き出す事態になってしまったのです。なぜこうなってしまったのか改めて共有したところ、誰も悪くないと納得して、結果的に仲が深まったのでよい思い出になりました(笑)。もやもやしたまま終わらせず、きちんと話し合えたのがよかったと思います。

――今後の目標を教えてください。

Kさん 高校生の試合を見に行ったら、レベルが全然違うと感じました。その中で勝ち上がっていくためには、もっと強くならないとだめだと思います。前回は、団体戦で都大会に行けましたが、次は個人戦で、自分の力で都大会に行けるように頑張りたいです。高校生はみんなサーブが速いので、回転をつけたりして、まずはサーブを強化します。顧問の先生方からは、足が動いていないと言われるのでフットワークも鍛えなければと思っています。

Nさん 私の目標は、10月末にある「私学中高団体戦」の選手に選ばれることです。中高混ざって出場できるので、実力順にABCの3チームが出場します。各6人なのですが、一番強いAチームはすでに高校2年生の3人が決まっています。残り3人の枠に入ることが一番の目標で、もしAに入れなかったとしてもBチームには入りたいです。出場したら、東京都の私学でトップを目指します。試合に出る中で私の強みはボレーだと思っているので、ストロークを強化したいです。球は安定して入るようになったので、もっとスピードを上げたり、回転やスライスなどで緩急をつけた球を打てるように頑張ります。

――この学校を受験した決め手や学校生活について教えてください。

Kさん 私にとっては、テニス部があることと、食堂のメニューにポテトがあることがとても魅力的でした(笑)。最初から女子校を希望していたわけではなかったのですが、女子だからこそ自分をさらけ出せる環境で、いろいろなことを言い合えるのがいいなと思っています。男子がいるからできないなどと壁を感じることがないのが、女子校のよいところです。

Nさん 私は英語が苦手だったので、この学校は英語を強化しているところがいいなと思って受験しました。高校では、「先進コース」に進む予定です。今、公立中学の3年生は高校受験に向けて必死で頑張っているので、差を広げられないように頑張ります。目指している大学はレベルが高いので、もっと上を目指せるように、今から大学受験も視野に入れて勉強していきたいです。

<取材を終えて>
Kさんは6月に行われた団体戦のキャプテン、Nさんは6支部大会のキャプテンを務めたそうだ。Nさんは、後輩へのアドバイスなどからも、テニス経験ゼロからスタートしたとは思えないほど大きく成長していると感じられた。3年生は、合宿中に不満を抱えたままにせず、お互いの思いをしっかりと言葉にして伝え合ったからこそ、より仲が深まったのだろう。テニスコートでも、高校生も含めてよい雰囲気の中で練習できていることが伝わってきた。

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