スクール特集(獨協中学校の特色のある教育 #1)
生徒一人ひとりを丁寧に導き、可能性を伸ばす学習指導
徹底したノート指導、自らスケジュール管理を行うための獨協手帳、独自の教材や講習・宿題などが充実している獨協中学校の学習指導とは?
獨協中学校・高等学校の学習指導
獨協中学校・獨協高等学校では生徒一人ひとりを丁寧に導き、可能性を伸ばす指導に力を入れています。
男子の成長に合わせ、生徒個々にきめ細かく根気強く指導。それに応えるように、生徒も将来の目標達成に向けて頑張っています。
例年医歯薬系をはじめ、理系への進学者を多く輩出する伝統は変わることなく、さらに理系・文系ともに多くの生徒が国公立・私立難関大学に現役合格しています。
具体的にどのような学習指導を行っているのでしょう。その特色を取材しました。
中学段階でノート指導を徹底 /入試室長 坂東 広明 先生のお話
本校では中学1~2年生を第1ブロックとして、学習習慣を身につける基礎学力養成期と位置付けています。今後6年間で学力を伸ばしていくうえで、学習習慣は非常に大切です。本校はこの基礎学力養成期を重視し、男子の特徴に合わせたきめ細かい指導を行っています。
その一つがノート指導です。男子はどうもノートが苦手なのですね(笑)。小学校から上がってきたばかりの中学1年生は授業のポイントがつかめず、ノートが上手に取れない。ただ先生の板書だけを写す生徒が多いのです。これでは復習の助けにならない。そこで全教科でノート指導を行います。
まず生徒にノートの見本を示す。先輩のノートがいい見本になります。そして、ノートとは板書のみを写すものではなく、先生の話のなかにも手がかりがあるのだから、それをつかんでメモするよう教える。書くことに夢中になるのではなく、同時に先生の話に耳を傾けながら、ポイントをつかめなくてはいけません。
ノートは見開きで使用することを勧め、片面のページは板書を、もう片面はメモを書き込むようにする。
ノートチェックも中学3年間は継続して行います。教科担任が一人ひとり丁寧にチェックし、その生徒に応じて指導します。教科によっては高1もノートチェックを行います。こうした指導は根気がいります。生徒も地道にやらなくてはいけないし、教師のほうも地道に根気強く指導する必要があります。
入試室長 坂東 広明 先生
英語教育を重点強化・独自教材が充実
中学の英語の教科書は「プログレス21」です。本校ではこれに対応させる形で、独自の副教材や問題集を体系的につくっています。「プログレス21」と併せて活用し、確実に英語力を身につけさせます。以下にそれらを紹介しましょう。
「獨協単語リスト」は英単語の習得を目的とした副教材です。言語分野に苦手意識を持ちやすいという男子の特徴に配慮し、重要度をレベルに分け段階を追って覚えるなど、きめ細かい工夫が凝らされています。この副読本を使って単語テストも行います。
「獨協単語リスト」と併用する副教材が「実力錬成問題集」です。英語は週6時間、うち1時間は演習「EP(English Practice)」として「実力錬成問題集」を使用します。
これに加えて英会話の授業が週1時間。ネイティブ教員による少人数指導を行います。
副教材として「英文法」や「英文法問題集」も使用しています。これは授業だけでなく、自宅学習用の参考書としても使えますし、ここから宿題や小テストも行われます。自分が復習するときにもとても役立っています。
本校では以上のように副読本と問題集を積極的に活用します。中学の英語は自分で問題集などを買う必要はありません。
高校ではセンターレベルや難関国立大を意識したレベルのものなど、レベルごとに問題集が充実しています。
本校の生徒はリスニングや会話も上達します。生徒たちは自宅で「プログレス」専用のリスニング教材「SDリピーター」を使って会話の練習をしています。「SDリピーター」は自分の会話を何度でも録音して聞き直すことができるので自習用として優れています。
ネイティブ教員による会話の授業も「プログレス」に対応して進めます。
こうした手厚い英語教育の成果は出ています。その一つが英検の合格率で、確実に向上しています。今までは、中3の1学期までに全員が3級を取得することを目標にしてきましたが、最近では準2級以上の級に合格する生徒も多くなってきました。そこで今年の中2からは、中2で3級、中3で準2級の取得を目指すように、受験級の基準を見直しました。
さらに、中学では自宅学習として「NHK基礎英語」にも取り組ませています。
本校の英語は「読む・聞く・話す・書く」すべての力を伸ばす指導を行います。長文の読解力を強化するために、今年から全学年で長期休暇中の課題として英書を読ませる取り組みも始めました。
英語の教科書「プログレス21」と独自の副教材や問題集
国語もオリジナル問題集を使用
国語はすべての教科の基本です。問題集も本校独自のものを使用し、力を養います。国語は英語とは異なり、教科書に対応するというより、いろいろな文章に触れることが大切です。そこで教科書にはないバリエーション豊かな文章を問題文に取り入れています。
本校では古文を中1から学びます。古文も言語分野であり、男子には苦手科目になりやすい。そこで早い段階から丁寧にくり返し行う。古典文法も中1から教えていきます。直線的にどんどん進むのではなく、らせん状に繰り返し学びます。問題集もそれを意識して繰り返し学べるようになっています。
休暇中の講習・朝講習、宿題など充実
春・夏・冬の休暇中には中3以上で希望制の講習を実施します。
中3および高1は英・数。高2は国・数・英で国語は古典問題演習も行います。いずれの学年も、英・数は標準と発展の2講座を設置します。
高3は国・社・数(理系、文系別)・理・英。それぞれ大学入試対応の講座を多数設置し、入試直前まで行います。
高校ではほとんどの生徒がいずれかの講座を取っています。本校の生徒たちは学校で勉強するのが好きなようです(笑)。通常の学校生活でも、放課後学校に残って勉強する生徒が多い。そうすればすぐに先生に質問できるから、便利ですね(笑)。よく質問に来ますよ。
高2~高3では希望者対象に、朝講習も実施しています。7:30~8:20で英・数・国を中心に行いますが、生徒の要望に応じて他教科も行います。
定期試験の成績や授業の理解度に応じて、指名制の補習も行います。分からなところを教えるだけでなく、ノート指導や学習習慣の見直し、予習・復習の仕方など、ここでもきめ細かく丁寧に対応します。
中1から毎日2時間の自主学習を奨励し、英・数・国を中心に毎日宿題を出します。国語、英語以外にも教科ごとに問題集などを持たせ、宿題に利用しています。
選抜クラスの設置
学習指導と関連したシステムとして、選抜クラスを設けています。中1~高1は各学年5クラス編成で、中3から選抜クラスを1クラス設置します。
中3の選抜クラスのメンバーは、中2の英語・数学の成績によって決めます。英・数は差が出やすい教科です。一般クラスでは基礎に重点を置き、選抜クラスでは演習の時間を多くとり、応用的な内容を学びます。センター入試の問題なども扱っていきます。
ただし、高1でまたクラス分けを行うので、どちらのクラスにも入れるよう、一般・選抜の学習進度は同じです。男の子はこの時期に肉体的にも精神的にも大きく成長します。成績を大きく伸ばしてくれる生徒も少なくありません。従って、成績の変化に応じてクラスを入れ替えられるようにしてあるのです。
その後高2では、文理に分かれ、それぞれに選抜クラスを1クラス設けます。メンバーは高1の成績と外部模試の成績によって決めます。
クラス編成は高1までは5クラスだったのが、高2以降は6クラス編成とします。文理の割合は毎年の生徒の志望により変動しますが、本校は伝統的に医学系をはじめ理系の生徒が多い。各クラスの人数は、文理とも選抜クラスを多く、一般クラスを少なく配分しています。一般クラスの生徒はよりきめ細かく指導し、高3になるまでにしっかりと力を養います。
高3は文理それぞれ志望別に国公立コース、私立難関大コース、私立コースに分かれ、大学進学に的を絞って学びます。
中1から段階的に進路指導
学習指導と進路指導は両輪です。将来の進路選択に向け、中1から進路指導をしていきます。中学生のためのOBによる体験談では若い卒業生に来てもらい、仕事のことや中高時代のすごし方などについて語ってもらいます。
中学3年間のまとめの学習活動となるのが、中3の研究論文です。これは進路指導とも大いに関連しています。
自分の興味があるテーマを決め、担当教員の指導の下で 1年間かけて取り組む。実地調査なども行いながら原稿用紙30枚以上でまとめ、発表会も行います。自分の好きなテーマを掘り下げることは、将来の進路について考えるきっかけになる。本校ではこの活動をすでに30年以上続けています。
高1は高2の文理選択に向けてさらに具体的な進路指導を行っていきます。進路適性試験や職場体験、オープンキャンパスレポートなどを実施し、自分が将来どのように社会に貢献していくかを考えさせていきます。
また高1~高2では大学見学会や医学部進学ガイダンス、国公立大学進学ガイダンス、センター試験と同日にセンター試験と同じ問題を体験する機会などを設けています。
医歯薬系進学者を輩出する土壌
2014年度の医歯薬学部合格者数は37名、獨協医科大推薦合格者は5名となっています。これは本校が伝統的に医療系志望者が集まる学校として、長い歳月をかけて土壌が培われたためでしょう。医療系をめざす仲間が多く、勉強しやすい風土があることが大きい。友だちと情報交換できるし、励まし合えます。
医歯薬系進学に特化した特別なカリキュラムは設けていませんが、高3の理系クラスでは選択科目で医系小論文を設置しており、医学部志望者などが受講しています。
獨協手帳で自らスケジュール管理
本校オリジナルの手帳である獨協手帳は中学生全員が活用しています。導入から今年で6年目になりました。
月間スケジュールに宿題などの予定を書き入れていったあと、それを見ながら毎日2時間の学習時間を前提に週のスケジュールを立てる。そして毎週振り返ります。
これも担任が使い方を指導し、毎週チェックも行います。気になることがあれば、すぐに声かけすることもできますから、この手帳は担任と生徒とのコミュニケーションツールにもなっていますよ。
高校生はシステム手帳を持ちます。使い方も身についています。高1までは担任がチェックしますが、中学ほどには細かく指導しません。もう大人ですから、あまり口を出すと「うるさい」ということになる(笑)。高2以降も生徒たちはそれぞれ手帳を使っています。
こうした手帳の習慣づけは効果が出ています。たとえば高2は6年間で最も忙しく充実するとき。文化祭や部活の中心的存在です。このなかでどうスケジューリングし、学習時間を確保するか。生徒たちはこちらが思っている以上に上手に手帳を使って時間管理できるようになってきています。
スケジュールや時間配分は大学受験にもぜひ必要です。それこそ自ら計画を立て、自ら勉強しなくてはいけない。何をどの順で行うのか、いつまでに何を終わらせるのか。丁寧な手帳指導によって、そうしたスケジュールも上手に立てられるようになってきているように感じます。
中学生全員が活用の獨協手帳
丁寧な指導から課題を発見、素早い対応
本校では丁寧な指導を基本にしているため、生徒たちの学習の課題も発見しやすい。
それをふまえ、各教科で年間目標を毎年定めます。目標達成のためにどこに課題があるのか、それにどう対応するか。つねに指導の見直しを行う。やってみてどうも成果が出ないというときもある。そういうときは各教員、各教科の判断ですぐに見直します。
大きな動きではなく、小さな動きから始め、それを全体に広げていく。
本校ではこれからもフットワーク軽く、生徒の課題に合わせて柔軟に、丁寧に指導していきます。
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