スクール特集(城北中学校の特色のある教育 #2)

夢だったセスナ機の操縦も実現! 学校選びから主体的に動く「ターム留学」
城北中学校では、4か国から留学先を選択できるターム留学(希望制)を高校1年次に実施。2026年にカナダとニュージーランドへ留学した生徒を取材した。
城北中学校では、中高一貫教育の特性を活かして、オリジナルのプログラムでグローバル人材を育成。中心となってグローバル教育を進めている国際教育委員会の大重俊太先生と、ターム留学を経験した高2の生徒に話を聞いた。
4か国から留学先を選べる「ターム留学」
同校では、世界に通用するグローバルな人材の育成を目指し、「オーストラリア語学研修」(中3・高1 希望制)や「イングリッシュ・シャワー(国内留学)」(中1~高1 希望制)などのグローバル教育をオリジナルのプログラムで行っている。2018年度からスタートした「ターム留学」(高1 希望制)は、アメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの4か国から留学先を選択。3学期の約3か月間、ホームステイをしながら現地校に通う。
「ターム留学をスタートさせたのは、前任の国際教育委員長が日本の若者に危機感を持ったことがきっかけでした。企業の方から話を聞く中で、日本の若者は世界に出てやっていけているのか、ちゃんとコミュニケーションを取って前に出て闘っていけるのか心配になったのです。その対策として始めたのが、3か月間のターム留学です。本校ではオーストラリア語学研修やこの春から始まったシンガポールグローバル研修なども実施していますが、約2週間だと『楽しかったね』で終わってしまうことも多いと思います。3か月間あると、ホストファミリーに言いたいことが伝わらない、なかなか友達ができないなど、うまくいかないことも多いと思うので、そこから学びを得ることに期待しています」(大重先生)
「ターム留学」には、例年、希望者の中から選抜された10名ほどが参加。応募者には書類審査や作文で動機を確認するなど、本人の意思を重視している。留学先を4か国から選べるだけでなく、候補となっている現地校の中から、自分の目的に合った学校を選ぶことができる。行き先を決めるところから現地での生活まで主体的に行動するのが、同校が実施する「ターム留学」の特徴といえる。
「それぞれの国や現地校で、生徒たちは多様な経験をしていると感じています。大人しく従うだけだった状態から一歩踏み出し、自立や主体性が芽生えた感じの変化も見られます。例えば、受け身になりがちだった生徒が、自分の意見を言うようになったなど、積極性が増すというイメージです。今回インタビューに応えてくれた2人からも、そのような変化が感じられ、現地でよい刺激を受けたことが伝わってきました」(大重先生)

▶︎大重俊太先生
2026年1月~3月に「ターム留学」を経験した生徒にインタビュー
Hさん 高2(留学先:カナダ)
Sさん 高2(留学先:ニュージーランド)
――「ターム留学」をしようと思った理由を教えてください。
Hさん 小学生の頃、3年ぐらいベルギーに住んでいたことがあります。高校生なら小学生の頃とは違う海外体験ができると思ったことと、大学でも留学してみたいと思っているので、高校生で1度経験しておくのもいいなと中1から考えていました。ベルギーではインターナショナルスクールに通っていたので、当時身につけた英語力を活かしてみたいという思いもありました。
Sさん 小さい頃から、両親が海外旅行に連れて行ってくれました。旅先では、両親は英語が話せて自分は話せない状況で、横でただ頷くしかできないもどかしさがあったんです。そのような経験もあり、留学を通して自分で直接、英語でやりとりをするという憧れを実現したいと思いました。

▶︎Hさん
――それぞれの国を選んだ理由を教えてください。
Hさん カナダは移民大国で、多様性やいろいろな文化を受け入れて共生しています。そこにどんなよさがあり、不便なことはあるかなどを学んでみたいと思いました。いくつか候補がある中で選んだのは、カナダのビクトリアにある学校です。学校によって大事にしていることがそれぞれあり、自己責任を重視している学校だったので、それを感じてみたいと思って選びました。
Sさん オーストラリアに親しい家族がいて、何度か訪れていますが、ニュージーランドには行ったことがなかったので気になっていたからです。マオリ族との共生についても、生活の中で取り入られていることなどを肌で感じたいと思いました。

▶︎Sさん
――留学中の経験で、一番印象に残っていることを教えてください。
Hさん まず、現地校が単位制ということに驚きました。化学の授業では月に1回テストがありますが、テストのやり方も日本とは違っています。日本のように50分ずっと問題を解くわけではなく、早く解けたら他のことをやっていいのです。僕は20~30分で終わらせて、いつも持ち歩いていたUNO(カードゲーム)を友達としていました。最初の頃は、化学の専門用語が英語だったので苦労はしましたが、テスト問題は日本より簡単だと感じます。テスト中に周期表を見ていいので、テストではそれほど苦労しなかったです。
Sさん 追加費用を払って受講したAviation(航空学)コースで、セスナ機を操縦したことです。昔から飛行機が好きで、ずっと操縦してみたかったので、留学する学校を決めるとき、このコースがあるからここに決めました。教官と一緒に乗って、離着陸は教官が操縦しますが、上空では初回から自分で操縦桿を握ったり、ペダルを踏んだりします。1回30分ぐらいを3回体験しましたが、全然怖さはなくてとにかく楽しかったです。

――留学中、苦労したことはありましたか?
Hさん ホストファザーがいつもイヤホンで音楽を聴いていたので、話しかけても気づいてもらえないことが多かったです。3回ぐらい声をかけたら、やっと聞き返してくれるという感じでした。あまり気にかけてくれるタイプではなかったので、こちらからしてほしいことなどを言わないと動いてもらえませんでした。
Sさん 現地校に南アフリカ出身で、ジョークが好きな先生がいたのですが、どう返したらいいかわからないジョークを言われて、返答に困りました(笑)。慣れている人は適当に返しているようでしたが、真顔でジョークを言われて凍りつく体験を何度かしたので、その時はちょっと辛かったです。

▶︎Sさんの思い出の品々
――滞在中、英語力やコミュニケーション力に関する変化を感じましたか?
Hさん 留学前はあまり外交的ではなく、人見知りするタイプでした。カナダでは、店員さんが積極的に話しかけてくれるので、自分も店で流れている音楽が気になったら「この音楽は何?」と質問したり、「悲しそうな顔をしているけど、何かあったの?」などと初対面の人にも話しかけられるようになりました。たぶん、初日にショッピングモールで買い物をした時、店員さんが「疲れてそうだけど、どこから来たの?」と話しかけてきて、1分ぐらい話をしたのがきっかけです。初対面でも会話ができると思えて、そこからどんどん話そうとするようになったと思います。相手が話しかけてくるのが自然な感じなので、こちらも苦ではなく楽しく会話ができました。帰国後も、高2から内進生と高入生の混合クラスになったのですが、高入生に自分から話しかけられるようになりました。相手のことを知りたいという気持ちもでてきましたが、留学しなかったら話しかけられなかったと思います。
Sさん ホストファミリーとのつながりで、新しい人との出会いが300~400人ありました。教会などでたくさん自己紹介をするうちに、自分とは何者かということもわかってきた感じです。例えば、僕は水球部に入っていますが、自己紹介でそれを言うと「君は水球が好きか? 嫌いか?」と聞かれます。日本にいるときは、練習がきつくて、正直やめたい時期もあったので、どう答えるか迷う質問です。ニュージーランドで水球について考え直してみると、やっぱりやっていてよかったのだと改めて思い直すことができました。日本だと窮屈に思っていたものが、自分の中で大事なものになっていたことを再確認できたのです。出会う人から質問されることで、自分の好き嫌いがはっきりしてきて、自分は何が好きか明確になってきました。

――帰国後に学校生活で変わったなと感じる面はありますか?
Hさん 先生に対して冗談でブーイングするなど、留学前ならしなかったような反応を自然にするようになり、先生との距離が近くなったと感じます。
Sさん 留学前は、自分の意見を求められたら周りがどう思うか考えたりしていましたが、今は相手が誰でも自分の思ったことをストレートに言えるようになったと思います。ニュージーランドでは、対立する意見を言って対立したまま終わっても、気まずくはならなかったので、悪いことにはならないと実感しました。周りを気にしていては、いろんな意見をつぶすことになり、それはもったいないので、「意見は違ってもいい」というニュージーランド式を貫こうと思っています。

――家庭ではどのような変化がありましたか?
Hさん 家族からは、「明るくなったね」「よく遊ぶようになったね」などと言われます。留学前は、誘われたら出かけていく感じでしたが、今は自分から誘うようになり、友達と遊ぶ機会が増えました。自分では、生活リズムが改善したことも感じています。カナダでは、夜更かしした翌日に遅刻するなど、生活リズムが崩れるとろくなことが起きなかったんです。行動のすべてが自分の責任だったので、自分の失敗パターンなどがわかってきました。そこから、翌日の予定を見て「今日は早く寝ないと翌日困る」などと思えるようになれたのだと思います。
Sさん ステイ先では、身の回りのことは自分でやらなければなりませんでした。食事の後に洗い物はすぐ食洗器に入れたり、洗濯物を畳んだりもしていたので、帰国後も身の回りのことを前よりやるようになったと思います。現地校で「ホスピタリティ(調理実習)」の授業を受けて、たくさん料理を学んできました。まだ時間がなくて実現できていないのですが、早く家族に作ってあげたいです。粉からパンを作ったりもして、パンは自信があるので家族の反応が楽しみです。意見を言うときだけでなく、行動するときも周りを気にしなくなった面もあるようで、後ろの人への配慮などを家族から指摘されることもあり、そこは気を付けなければと思っています。

――中学受験でこの学校を選んだ理由を教えてください。
Hさん 中学受験のときは、あまり勉強が得意と思っていなかったので、記念受験に近い感じで受験しました。選んだ理由は、先生との距離が近いことや、のびのび過ごせそうな環境がいいなと思ったからです。
Sさん 友達のお父さんから、「城北いいよ!」と聞いていたことが一番の理由です。第一志望は別の学校でしたが、入学してみたら自分のやりたいことを好きにできる環境が整っていると感じています。水球部は練習が厳しく、週6日、生活の中で大きな軸となっています。辛いと感じることも多いですが、余った時間でどうやって勉強や自由時間をつくるかを考えるので、時間の使い方がうまくなりました。大学受験では第一志望に合格できるように、中1から勉強スケジュールをExcelで管理しています。中学受験での悔しさが、大学受験への原動力になっています。水球部に入部したのも、泳ぎが苦手だったから、その悔しさから自分を鍛えてみようと思ったからです。最初は何度も溺れかけましたが(笑)、中1からずっと頑張っています。
――男子校を選んだ理由を教えてください。
Hさん マイペースでのびのび過ごしたいタイプなので、男子だけの方が変に気を使わずに、気楽に過ごせると思いました。男子校には、共学にはできない青春があります(笑)。
Sさん 父が男子校出身で、男子校ならではの部活に専念して熱い青春を送ったと言っていたので(笑)、僕もそんな青春を過ごしたいと思いました。
――将来についてはどのように考えていますか?
Hさん まだはっきり決めていませんが、情報系やIT系に関心があります。数字を扱うのが楽しそうです。工学系や情報系の学部に進むことも考えていますが、外国人と話していると気が合うと感じることも多いので、海外で働くなど、英語を使って何かできる仕事がないかなと調べています。
Sさん 航空系に興味があるので、航空宇宙工学を学べる国立の大学に進みたいと考えています。飛行機の構造を研究して、後々はエアバスやボーイングなどの航空機メーカーに就職したいです。乗る方も興味がありますが、自分としては技術職の方が楽しいかなと思っています。

<取材を終えて>
いくつかの候補から、自分で現地校を選べるのは大きな魅力だと感じた。Sさんのセスナ機を操縦するという夢は、日本ではなかなか叶えられないので、本当によい経験になっただろう。しかし、選ぶには主体性が必要となる。行き先が決められているのではなく、自分で選ぶことからこのプログラムが始まっているからこそ、帰国後の成長にもつながっていくのだろう。
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