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実践女子学園中学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(実践女子学園中学校の特色のある教育 #4)

芝浦工業大学との高大連携プログラムで、大学での研究活動を8日間体験!

実践女子学園中学校・高等学校は、2023年に芝浦工業大学と連携協力についての協定を締結。夏休み中に実施したサマーインターンシップでの研究活動などについて取材した。

理系志望の生徒が年々増加している実践女子学園中学校・高等学校は、理数系教育のさらなる充実と強化を目指して芝浦工業大学と連携協力の協定を2023年12月に締結。キャリア教育部副部長の萩野朱美先生(数学科)と理科主任の鴇田篤先生、サマーインターンシップに参加した生徒に話を聞いた。

芝浦工業大学との連携により広がる可能性

芝浦工業大学との高大連携により、大学の設備を使った本格的な研究に触れる機会が得られるだけでなく、協定校推薦制度を利用して受験することも可能となる。

「近年、理系学部への進学を希望する生徒が増えていますが、本校の併設大学には理工系の学部がありません。芝浦工業大学との連携により、理系の生徒たちが進路選択しやすくなることが期待されます。夏休みに大学の研究室を訪問して研究活動を行うサマーインターンシップに参加した生徒は、成績等の条件をクリアしていれば参加した学部・学科に出願できる協定校推薦制度で受験することができるのも大きなメリットです」(萩野先生)
 
夏休みに実施されたサマーインターンシップは、芝浦工業大学の研究室に所属して8日間の研究活動を行う高大連携プログラムだ。同校からは高1が7人、高2が15人参加して、研究活動を行った。

「生徒たちは機械系、物質・化学系、電気電子情報系、建設系の中から希望する分野を選び、大学側が振り分けて各研究室に配属されました。選んだ分野から外れることはないので、希望とのミスマッチはありません。本校の参加枠は22人だったのですが、30人以上の応募があったので、志望理由などで選抜して22人に絞りました。今回は協定校入試を考慮して、高2を優先しています。生徒たちは豊洲か大宮のキャンパスに毎日通い、9時から16時ぐらいまで活動していました。高校での探究活動と大学での研究との違いを知り、求められることの高さも実感できたはずです。協定校入試も視野に入れて、受験までにやらなければならないことも見えてきたと思います」(萩野先生)

2024年度のサマーインターンシップには、女子高校9校から87人の女子高校生が集まり、38の研究室に分かれて研究体験を行った。

「他校の生徒たちとずっと一緒に研究を行いましたし、TA(Teaching Assistant)を務めてくれた女子学生からもいろいろと教えていただき、そういった交流もよい経験になったと思います。本校の生徒しか見ていないと気づかないこと、例えば自分たちの幼さに気づいたりすることもできたでしょう。本校は協定校なので22人も受け入れてもらえましたが、協定校ではない学校からは1人で参加している生徒もいます。1人で応募した生徒の本気度なども感じて、よい刺激になったはずです。生徒たちのアンケートを見ても、『貴重な経験ができた』『進路選択を考える上で役立った』などと書かれており、得られたものは大きかったことが伝わってきます」(萩野先生)

▶︎キャリア教育部副部長 数学科 萩野朱美先生

芝浦工業大学のサマーインターンシップに22名の生徒が参加

実践女子学園の理数教育

中学校での理科は実験や観察を中心とした授業を行っており、実験器具の扱い方もしっかり学んでいるという。

「例えば、ガスバーナーの使い方の実技試験も行っています。『私はやらない』と逃げてしまう生徒やマッチを触れない生徒、マッチに火を付けたまま実験台に落としてしまう生徒もいるからです。まずはマッチに火を付けたまま10秒持つことから始めて、全員が1人でガスバーナーを付けて消せるように仕組みを理解するので、事故防止にもつながります。昨年度から東京農業大学とも高大連携プログラムをスタートさせ、キャリア教育の一環として高2の生徒が生命科学部分子微生物学科と連携したインターンシップに参加しました。PCR技術を使って植物に感染した微生物のDNA検出を行うなど、高大連携により教科書で学んだことがどのような研究につながっていくかを知る機会になったと思います」(鴇田先生)

同校では2022年から、夏休みに中学生を対象とした「The Science English Camp」も行っている。ネイティブ教員と理科教員のコラボによる企画で、「干潟の環境」「火山の科学」といった毎年異なるテーマに基づいたアクティビティを英語で行うオリジナルのプログラムだ。2024年のテーマは「宇宙」。初日は、ネイティブ教員による宇宙に関する講義を英語で受講し、バルーンカー作りにチャレンジした。2日目はJAXAや地質標本館、サイエンス・スクエアつくばなどの研究施設を見学し、最終日は筑波大学にて英語で活動発表会を行った。

「昨今、高校生の探究活動において、校内に限らずさまざまな機会でプレゼンテーションをする機会が増えています。本校の生徒も、外部でのプレゼンテーションに積極的にチャレンジしてほしいという思いもあり、そのような機会があれば、参加をうながしているところです。いずれにしても、このようなプログラムをきっかけに、海外大学で理系を学ぶ生徒や、理工学部や医学部にチャレンジする生徒がもっと増えてほしいと願っています」(鴇田先生)

数学に関しては、朝テストの結果によって早い段階で苦手分野を克服できるようにサポートしていることが、苦手意識の軽減につながっているという。

「数学科の教員としては、文系の生徒も数学を頑張ってほしいという思いがあります。経済や経営を学ぶなら、数学の知識がないと大学に入ってからも大変でしょう。文系・理系に関わらず、基礎の教養として数学を学べる生徒が育っていってほしいです。今年度は、順天堂大学とも高大連携に関する協定を締結しました。今後は、推薦枠の認定や大学教員による出張授業の実施をはじめ、教育に関する情報交換や生徒・学生・教員の交流などを計画しています。今後も、本校の併設大学にはない学部・学科への進学につながる大学との連携を深めていきたいです」(萩野先生)

▶︎理科主任 鴇田篤先生

芝浦工業大学のサマーインターンシップに参加した生徒にインタビュー

Mさん(左)とRさん(右)

Mさん(高2 有機電気化学研究室に配属)
Rさん(高2 建築・都市計画研究室に配属)

――芝浦工業大学のサマーインターンシップに参加した理由を教えてください。

Mさん 理系に進みたいと思っても、インターネット上の情報からは理学部と工学部の違いがよくわかりませんでした。キャンパスツアーで研究室などを見て機械について説明されても、何のために使うものかよくわかりません。どのように使うのか、実際に体験した方が進路を決めやすくなると思ったので参加しました。

Rさん 母が建築関係の仕事をしていることもあり、以前から建築に興味がありました。母が仕事をしている姿も楽しそうですし、ものづくりや絵を描くのも好きなので、デザインなどに携わる仕事もいいなと思って参加しました。

――研究室ではどんなことしましたか?

Mさん 世界初の発光化合物の合成に取り組みました。しっかりと反応しきったものを使うために、1週間ずっと機械に混ぜてもらって、前半は地味な作業でしたが最後の方はUVライトを当てると青く発光したので、色の変化が印象に残っています。他の2人も同じ物質を使いましたが、割合が違うと濃い青や水色、黄緑っぽい色になったりして違いがありました。

Rさん 「10年後の自分を想定して部屋をリメイクする」という課題に取り組み、設計図の書き方はTAの方たちが教えてくれました。どこに何を置くか、そこにどんな意味があり、どんな暮らしをしたいか考えることも課題です。私は、父の部屋まで自分の部屋にするという設定で間取りを考えました。勉強などで集中できるスペースを分ける仕切りや、ヌックという秘密基地のようなくつろげるスペースを作ったのがポイントです。

世界初の発光化合物を合成

10年後の自分を想定して部屋をリメイク

――大変だったことや楽しかったことを教えてください。

Mさん 初日の午前中に教授から実験に関する説明を受けたのですが、大学で学ぶ内容なので全然わかりませんでした。電子の移動についての説明などがありましたが、電子の世界は目では見えないので実感がわきません。それでも、テレビの液晶などの寿命は青色発光材料が関係しているので、なるべく長く発光する青色発光材料を開発するための研究が必要だということなどはわかりました。 

Rさん パソコンを使って図面を書くと思っていたのですが、一級建築士試験の設計製図試験が手書きなので手書きで図面を作成できなければならないと知りました。部屋の間取りを考えたり、模型を作ることは楽しかったのですが、9時から6時ぐらいまでずっと定規で線を引いて間取り図を書くのが辛かったです。考えた間取りについての発表もしましたが、他の2人も家族の部屋まで自分の部屋にしていたので、それでは他の人に迷惑がかかると指摘されました。限られたスペースの中で考えなければならないという、建築学の難しさも学びました。

Rさんが製作した模型と図面

――研究室の女子学生や他校の生徒について印象に残っていることを教えてください。

Mさん 思っていた以上に、研究に励んでいる女子学生が多かったです。男女の割合は8:2ぐらいかなと想像していましたが、私が配属された研究室は5:5ぐらいでした。3人配属されて、私以外は2人とも高1だったので、リーダーとして頑張ろうと思いました。授業について話していたら、豚の目の解剖をしている学校があったので羨ましかったです。2人は年下だったので、物理と生物のどちらを選択したらいいかなど、進路選択の悩み相談に乗ったりもしました。

Rさん 私が配属された研究室も、学生の男女比は半々でした。上下関係があまり厳しくない感じで、大学は学生同士もフレンドリーだと感じます。学びたいことを学ぶために高校時代に勉強を頑張り、努力して研究室に入ったことが伝わってきました。配属された3人は同じ学年だったので、連絡先の交換などもしてコミュニケーションを取りました。

――インターンシップを経験して変わったと感じることはありますか?

Mさん 実際に体験したので、何のために使う機械かわかってよかったです。化学に興味があるけれど、学部・学科が多すぎて選択が難しいと教授に相談したら、「本当に化学が好きそうだから、理学部でも工学部でも楽しめるよ」というアドバイスをいただきました。今までは学科の選択で後悔したくないという思いから気が重かったのですが、どの学科を選んでもそれほど外れないとわかったので、気持ちが軽くなりました。

Rさん 図面を書いたり、デザインするのが仕事だと思っていた建築学への認識が変わりました。デザインのセンスや才能も必要ですが、環境に配慮したり、生活しづらさはないかなど、様々な視点で考えるのが建築学だと、今は理解しています。定規を使って線を書く作業が自分には辛かったので、入学前に知ることができてよかったです。実は、初対面の人と交流するのがあまり得意ではないので、最初は参加したくないなと思っていました。終わってみたら楽しかったですし、将来のことを考えたら自分から行動しないとダメだと実感しました。建築の仕事は思っていたものと違っていましたが、この体験は無駄ではなかったと思えます。

――進路についてはどのように考えていますか?

Mさん 新しいものを発明したいというより、なぜそうなるのかを調べるような基礎研究をしたいです。理学部の化学科に行って大学院に進み、研究職に就きたいと思っています。化学反応したときの電子の動きなどが見られたら楽しそうですが、それは物理の分野のような気もするし、境目が曖昧なので学部・学科を決めるのが難しそうです。

Rさん 建築の仕事は魅力的なのですが、今回の体験をさせていただく中で、少しイメージと違うところもありました。それがわかっただけでも、とてもいい経験だったと感じています。今は、他の分野も見てみたいという気持ちです。どんな道にも進めるよう、可能性を広げておきたいと思い、今やるべきことをしっかりとやっておこうと毎日、取り組んでいます。

<取材を終えて>
サマーインターンシップに参加した2人の話から、非常に有意義な8日間だったことが伝わってきた。Mさんの言うように文章の説明だけで学部・学科を決めるのは難しいので、高大連携により実際に体験できる機会が得られることは大きなメリットである。今年度からは順天堂大学との連携もスタートし、協定校としてのプログラムや推薦枠など、理系の大学との高大連携から広がる可能性にも注目していただきたい。

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