スクール特集(文化学園大学杉並中学校の特色のある教育 #8)
ネイティブ主導の英語教育で、初~上級者全員がレベルアップ!
豊富な時間数×ネイティブスピーカー主導の授業で、生徒の英語力を伸ばしている文化学園大学杉並中学・高等学校。進化し続ける英語教育について、入試広報部長の西田真志先生に話を聞いた。
年間200時間を超えるネイティブ教員の授業
この4月、文化学園大学杉並中学校に男子47名、女子63名、計110名の生徒が入学した。そのうち半数の55名は、日本英語検定(英検)の取得者だという。具体的には、準1級が4名、2級21名、準2級10名、3級6名、4級4名、5級10名で、約4人に1人が2級以上を取得している。以前から、「文大杉並の英語」には定評があるが、海外帰国生をはじめ英語既習者の割合が増えていることから、より教育に対する期待が高まっていることが伺える。
同校の英語教育の最大の特徴は、年間200時間を超えるネイティブスピーカー主導型の授業を展開していることだ。
「中1の英語の授業は週9時間、そのうち7時間をネイティブスピーカーの教員が受け持っています。クラスは習熟度別に設けていますが、英語を初めて本格的に学ぶ『スタータークラス』でも、ネイティブが主導します。
中2からは、中高一貫コースとカナダの教員の授業が受けられるダブルディプロマ(DD)準備コース*とに分かれます。中高一貫コースの英語の授業は週8時間、そのうち6時間をネイティブの教員が担当。DD準備コースは、週10時間の英語のほかに数学や理科の授業もネイティブの教員が行っています。授業数だけでも一般的な私立中学校より多いのですが、ネイティブ主導になると圧倒的な時間数を確保していると言えます」と西田真志先生は話す。
▶︎入試広報部長 西田真志先生
*ダブルディプロマ(DD)準備コース…週10時間の英語の授業のうち、8時間をカナダ・ブリティッシュコロンビア(BC)州の教員が担当。language Arts(言語技術)以外にも、理数系の学習を取り入れた教科横断型授業を実施している。高校から本格的にDDコースが開始し、日本とカナダの授業が同時進行で行われる。
中学卒業レベルの英語力を中2で習得
同校の英語教育の成果は、英検の取得実績で見ることができる。2020年に入学した生徒のうち、英検の級をもっていなかった生徒は63名いたが、中1の修了時には62名が取得。そのうち4級以上が43名、3級に合格した生徒も7名いた。既に級を取得していた生徒も、4級→準2級が2名、3級→準2級2名、準2級→2級5名、2級→準1級4名と、1年間でレベルを上げている。
また、中学2年生は中2を修了した時点で、中高一貫コース、DD準備コース合わせて全員が4級以上を取得。割合は、3級以上86%、準2級以上49%、2級以上が34%で、9割近い生徒が中学卒業レベルの英語力を中2の段階で獲得している*。
「昨年はコロナ禍で、1学期はオンラインの授業しかできませんでしたが、それでも生徒たちはしっかり学習をして力を付けてきましたね」と西田先生。
時にネイティブ主導型の授業は、初めて英語を学ぶ人には不安視される向きもあるが、同校では結果につながっていることが数字から見て取れる。
「一般的に日本の英語教育は“正確さ”を重視する傾向にありますが、ネイティブの教員は、まずはたくさん英語に触れて話して慣れていこう。論理が正しければ、多少の間違いは後で修正すれば良いという考え方で、4技能をバランスよく養っていきます。文法や語彙に関しては、日本人教員のフォローも入りますし、本校では、このスタイルが功を奏していると捉えています」
*日本英語検定協会では級の推奨目安として、3級を中学卒業程度、準2級を高校中級程度、2級を高校卒業程度と設定している。
国内外で高い進学実績を出しているDDコース
生徒たちの英語力向上は、2015年にBC Offshore School*と文化学園杉並高等学校の2つの学校の授業が受けられるダブルディプロマ(DD)コースを導入したことも大きく関わっている。
「2校分の単位取得が必要なので、授業数も1,5倍ぐらいあります。English language Artsの授業は、英字新聞を読んで英語を使わずに表現をするなど、クリエイティブな学びが多いですね。Scienceでは、日本なら高2の理系で行うバイオテクノロジーの分野を、高1で学習し、最後はプレゼンをする授業などが行われています」と西田先生。BC州の教育は、グループワークや生徒主体の探究型学習に特徴があるのだと言う。
「学校によっては、中長期の留学プログラムを取り入れているところもありますが、その間は日本の教育課程を履修することができません。その点DDは、日本とカナダの教育を3年間継続して受けることができ、卒業時には両方のディプロマ(卒業資格)が得られるので進路の選択肢も広がります。
たとえば、海外大学の進学を希望する場合、出願がスムーズに行えます。カナダの大学であれば試験を受けずに、高校時代のスコアで進学先を決めることも可能です。国内大学は、通常の入試以外に海外生の枠でも受験ができます。つまり受験のチャンスが2倍あるということです」
これまでのDDコースの卒業生(1~4期生)は84名。そのうち国外大学に22名、国公立や早慶上智などの難関私立大学に25名が合格し、進学先の割合で見ると、海外大学と難関大学がそれぞれ4分の1、約7割の生徒がGMARCH以上の大学に進学をしている。ちなみに昨年度、国内大学に進学した4期生の半数は、学校推薦型選抜(旧推薦入試)や総合型選抜(旧AO入試)、帰国生枠で合格を手にした。
*BC Offshore School…カナダBC州教育省によって認定された、BC州のカリキュラムを提供することができる海外校で、文化学園杉並高等学校は日本初の認定校となる。
英語で理数科目を学ぶ授業を中1に導入
2019年には、DDコースの基礎的な学びを中学でも実践しようとDD準備コース(中2、3年対象)を開設した。
「現在、高1生のDD準備コース1期生は56名でした。そのうち半分の28名は、中学に入学してから英語を学習し、1年間で力を伸ばして審査基準をクリアした生徒です。DDコースや準備コースに進むには、英語の初心者は難しいと思われがちですが、全くそのようなことはありません。先程述べたように、本校の英語の授業で、確実に力を身に付けていくことができます」と西田先生。
また、DD準備コースの中には、カナダの教員からたくさん英語を学んだうえで、高校では特進コースに進む生徒もいるそうだ。
昨年度から、入学時に英検2級以上の英語力をもつ希望者を対象に、週10時間、カナダの教員から英語の授業を受けられるアドバンストクラスを新設。また現在、中3でDD9という理数科目の授業を英語で行う取り組みをしている。
このように英語教育を強化している同校だが、外部模試等の結果を見ると、英語のみならず国語や数学の力も向上しているという。今の時代に不可欠な英語力を高めながら個々の可能性を伸ばし、進路実現を目指す教育が実践されている。
<取材を終えて>
同校は、DDコースをはじめ画期的な英語教育を行い、成果を上げている。英語に強い学校の中には、上級者だけを特化しているところもあるが、英語を1から学ぶ生徒から、入学時に英検準1級を取得している生徒まで、全体の力を伸ばしているところに、「文大杉並の英語」の特色がある。英語力を1つの強みにして、進路の選択肢を広げていけることも魅力的だ。
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