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スクール特集(中村中学校の特色のある教育 #4)

中1へのミッション!失敗から学び成長する「プロジェクトアドベンチャー」

中村中学校では、中1の研修合宿でチームビルディングのためのプログラムとして「プロジェクトアドベンチャー」を実施。その狙いや成果を取材した。

中村中学校・高等学校では、中学1年次と高校1年次の6月に、宿泊行事として「研修合宿」を行っている。今年度の中1は、千葉で2泊3日の合宿を実施。合宿のメインとなるのが「プロジェクトアドベンチャー」(冒険教育プログラム)である。合宿中に実施された「プロジェクトアドベンチャー」について、1学年副主任の岩淵篤史先生と中1の生徒に話を聞いた。

非日常体験の中で行う対面でのコミュニケーション

「プロジェクトアドベンチャー」は、身体を仲間に委ねなければ達成できない課題の解決、身体の安全を仲間に委ねて行われる高所でのチャレンジなど、チームビルディングのためのプログラムとして学校教育や企業研修で広く活用されている。

「プロジェクトアドベンチャーは、他者と協力して目標やミッションをクリアしていく中で、人とのつながりや信頼関係を構築していくプログラムです。近年は、企業の採用試験にも用いられています。中1の生徒たちは、私立中学校に入学し、クラスメイトの顔も名前も知らない状態でスタートしました。入学して2~3ヶ月経ちましたが、まだ他クラスには話したことのない子もいます。そういった状況の中で、クラスだけでなく学年全体で、対面で何かを行う機会を作りたいと考えたのです。毎年、中1の研修合宿でプロジェクトアドベンチャーを実施してきましたが、今回初めて企業が提供するプログラムを導入しました。学校生活は集団で動くので、プログラムを通して協調性を養うことで今後の活動もしやすくなります。スマホなどの電子機器からも離れて、非日常体験の中で対面でのコミュニケーションに重きを置いて行うことが重要だと考えました」(岩淵先生)

生徒たちが行うアクティビティは、大人でも難しいものが多いという。例えば「ヒューマンチェア」は、全員で輪になって体を預けて信頼感を確認するアクティビティだ。前の人の背中を見るように円を作り、合図がかかったら全員が後ろの人の膝に座って、 全員が座れたらミッションクリアとなる。簡単そうに思えるが、クリアするためには全員で呼吸を合わせる必要があるので、想像以上に難しい。

「クラスを半分に分けて、14人を1つの班としてミッションに取り組みました。ミッションは一筋縄ではいかないものが多いので、取り組む様子を見ていると生徒たちの人間性が見えてきます。ミッションをクリアするためにやるべきことを考えてリーダーシップを発揮する生徒だけでなく、リーダーに協力するように呼びかけるなどしてみんなを促してくれる子もいました。一方で、みんなで考えて取り組みたい場で、一人の力で進めようとしてしまう生徒がいたり、暑かったせいもあり、失敗を重ねるとイライラして言葉が強くなってしまう生徒もいました。休憩時間になると、真っ先に水を飲みに行く子もいれば、道具を片付けてから飲みに行く生徒もいます。プログラムを通して、様々なタイプがいることが見えてきたので、非常に興味深かったです」(岩淵先生)

▶︎1学年副主任 岩淵篤史先生

「学び」のモチベーションにつながる「体験」

今回の成果は、これから様々な場面で見えてくるだろうと、岩淵先生は語る。

「2学期には清澄祭(文化祭)もあります。清澄祭の準備では、出し物を何にするか、誰がどの作業を担当するかなど、様々なことを話し合う必要がでてくるでしょう。そのような場面で、今回の経験が活かされることに期待しています。慣れ親しんでいる関係の方が意見を言いやすいですし、自分がやりたいことも素直に言えるはずです。お互いの性格がわかっている状態で話し合った方が、スムーズに進めることができるでしょう。今の子たちは、口頭でのやりとりより、スマホの文字でのやりとりが多くなりがちです。直接話をせずに終わってしまうこともあります。相手の顔を見て、表情や声、体調などから感じとり『今、大変そうだから私も手伝うね』などと言えるようになってくれたらいいなと思っています」(岩淵先生)

同校は、授業の中でもグループワークを取り入れたり、グループでプレゼンをしたりする機会が多く、生徒同士で役割分担をする機会も増えているという。

「今後は、中1、高1だけでなく、他の機会にもこのようなプログラムを取り入れていきたいと考えています。体験からの気づきは、勉強のモチベーションにもなるので、何回も実施した方がいいと思いました。たとえば、ミッションをクリアするグループの中に外国籍の子がいたとして、言葉が通じなかったら、もっと英語を話せるようになりたいと思うようになるかもしれません。教員が『勉強しなさい』と言っても『何のために?』と思う生徒もいるので、体験から学びへつなげていくことも必要だと思います。私は1年D組という28人の担任をしていますが、私個人としては、担任も含めてD組だと考えています。しかし日常生活だけでは、生徒たちとふれあう機会はそれほど多くはありません。2泊3日の宿泊行事は、私自身と生徒たちがふれあえる貴重な時間でもあったのです。ミッションを失敗してこそ成長できるので、すぐに成功してしまっては成長の機会が得られません。ですから、彼女たちが試行錯誤する様子を見守りながら、失敗するたびについニヤニヤしてしまいました。そんな私を見て『何ニヤニヤしているんですか!』とツッコミを入れる生徒もいて、距離を縮めることができたと感じています。そういった意味でも、チームビルディングとしてよいプログラムだったと思います」(岩淵先生) 

「プロジェクトアドベンチャー」を体験した中1の生徒にインタビュー

――中学受験でこの学校を選んだ理由を教えてください。

Nさん 学校説明会に来たときに、先生方やお手伝いをしている中村アンバサダーの方(在校生)が優しく接してくれました。校内を見学していたときに、細かくいろいろと説明してくれたことが印象に残っています。他校もいくつか見学しましたが、母も説明会の資料は中村が一番わかりやすかったと言っていました。アンバサダーは中1だったので、とても身近に感じられましたし、入学したばかりであまりわかっていないこともあったと思いますが、できるだけ頑張ろうという気持ちが伝わりました。見学してみて、校舎が綺麗なのもよかったです。

▶︎Nさん(中1)

――「プロジェクトアドベンチャー」ではどのような体験をしましたか?

Nさん 人を持ち上げて輪をくぐり抜けたり、制限時間が決められた中で順番に紙をタッチしていくなど、ちょっと怖いなと思ったり、時間内にできるかなと思うようなミッションです。最初はうまくいきませんでしたが、みんなで話し合いながら進めていくうちに、みんなの気持ちが1つになってきたと感じました。

――「プロジェクトアドベンチャー」に参加して、気持ちはどのように変わりましたか?

Nさん 同じ班にあまり話したことのない子もいたので、最初は不安もありました。一緒に取り組むうちに「こんなこともできるんだ!」などと相手のことがわかってきて、いろいろなことを分かち合える存在になれたと思います。協力することで、心が1つになれてよかったです。あまり話したことがなかった子も私の話を聴いてくれたので、相手を信じる気持ちが生まれました。

――「プロジェクトアドベンチャー」に取り組む前と後で、クラスにはどのような変化がありましたか?

Nさん 取り組む前は、一人で本を読んでいる子もいて、団結しているという感じではなかったです。合宿が終わってからは、みんなで遊んだり、あまり話したことがなかった子とも昼休みに遊んだりするようになり、みんなで一緒に楽しめるようになりました。

――「ヒューマンチェア」のミッションはどのように達成しましたか?

Nさん まず、円を作るのが難しかったです。説明をちゃんと聞いていない子もいたりして、円の形が崩れてしまって時間もかかりました。なかなかうまく円が作れないので、強い口調になってしまった子もいて、1回目は失敗してしまったんです。もうだめかなとも思いましたが、2回目は失敗を活かしてそれぞれが自分でしっかりと考えて動き、成功できました。それまでいろいろなアクティビティをやってきたから、相手を信じる気持ちができていたことも成功につながったと思います。

――将来についてどのように考えていますか?

Nさん 医師になりたいと思っているので、大学では医学の道に進みたいです。私は幼稚園の年中から、競技エアロビック*をやっています。体操とダンスを混ぜたような競技なので、柔軟性や筋力が必要です。ハードな技もあり、手で着地する技で手首を痛めてしまったこともあります。そのときに、医師に優しく丁寧に治療してもらい、誰かを助ける仕事はかっこいいなと感じ、私もそのような仕事がしたいと思うようになりました。

*「競技エアロビック」とは、健康のために行う「エアロビクス」がスポーツ種目として発展したもの。音楽に合わせて動作を行い、芸術性、技術、難易度などが採点の対象となる。

――競技エアロビックの活動について教えてください。

Nさん クラブチームに参加していて、個人とチームで大会に出場します。個人では、東京代表として関東大会に出場することが決まりました。チーム競技は、中1が2人、中2が1人のチームで練習していて、昨年は全国大会で7位だったので嬉しかったです。学校も学年も違うメンバーとも、練習を重ねるうちにわかり合えてきます。チーム競技での活動があったから、プロジェクトアドベンチャーでもリーダーシップを自然に発揮できたのかもしれません。今年も、個人戦の前にチームで全国大会に出場するので頑張りたいです。

――この学校のいいなと思うところを教えてください。

Nさん 先輩も先生方も優しいです。部活はバトン部に入っていて、中学生と高校生が合同で練習していて、中学生の先輩も高校生の先輩も優しく接してくれます。クラスには、担任の先生が言い間違いなどをしたときに鋭いツッコミを入れる子がいたりして、それを先生も楽しんでいて、賑やかで楽しいです。体育の授業では、時間が余るとみんなドッジボールをやりたがります(笑)。小学生のときは男子が一緒だったので、当たるのが怖くて楽しめなかった子もいたと思いますが、今は女子だけなので楽しいです。先生も混ざって本気を出してくるときもあり、みんなで盛り上がります。

<取材を終えて>
「プロジェクトアドベンチャー」を経験することで、誰がどのような役割をするとスムーズに進めることができるか見えてくる。入学して3ヶ月ほどでこのような機会があると、授業の中でのグループワークや文化祭の準備などもやりやすくなるだろう。以前、授業を取材したこともあるが、発言しやすい雰囲気でとても活気があると感じていた。そういったことも、中1でこのようなプログラムを体験している成果なのだろう。

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