私立中学

女子校

とうきょうかせいだいがくふぞくじょし

東京家政大学附属女子中学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(東京家政大学附属女子中学校の特色のある教育 #1)

アドミッションスタッフが活躍!「自分の言葉」で伝える力を磨き大きく成長

東京家政大学附属女子中学校の学校説明会では、有志によるアドミッションスタッフが活躍。2023年12月に開催された「在校生による説明会」を取材した。

東京家政大学附属女子中学校の学校説明会では、中・高生の有志によるアドミッションスタッフが活躍している。受付、誘導、発表、個別相談、施設案内などを生徒が行い、保護者や小学生からの質問にも生徒が対応。建学の精神「自主自律」を体現し、生徒目線で学校生活や受験勉強での経験談などが語られる説明会は毎回好評を博している。2023年8月には、企画や構成も生徒たちが考えた「在校生による説明会」を初めて開催。12月24日に開催された「第2回 在校生による説明会」を取材し、入試広報部部長の渡邉健先生とアドミッションスタッフの生徒に話を聞いた。

中学生が伝えたい「家政の魅力」

「第2回 在校生による説明会」はクリスマスイブに開催されたこともあり、オープニングは生徒たちがクリスマスメドレーをハンドベルで演奏。部活動でハンドベルを演奏している生徒ではなく、アドミッションスタッフのメンバーがこの日のために練習したという。続いて、生徒目線で語られたのは「家政の魅力」。1つ目の魅力としてスクールランチ(完全給食)について、3年生が1週間の献立や写真を紹介しながら説明した。

「東京家政のランチは、1年間、同じメニューが出ることはありません。節分やひな祭り、七夕などには行事に関連するメニューが出ます。毎日必ず乳製品が出たり、金曜日は玄米入りご飯と魚料理の日と決まっているなど、とても健康的なランチです。月に1回、『食べ残し0(ゼロ)day』という日が設けられています。この日は苦手な食べ物がある人も、一口でも食べられるように頑張っているので、中学3年生になると嫌いな食べ物がなくなっている人もいます。1・2学期に開催される食育教室では、栄養バランスの良い食事や正しい食生活、正しいダイエットの知識などについて学ぶことができます」(中3)

ランチの説明に続き、「家政の魅力」2つ目と3つ目として「先輩が優しい」「先生が優しい」ことについて、それぞれの体験談を交えて語られた。

ステージ上で社会科の授業を再現

授業紹介では、1年生が授業の進め方や雰囲気などを説明し、3年生は社会科の授業で行った発表を再現した。

「国語や数学などの授業では、友達と教え合うこともあり、自分の考えと友達の考えを照らし合わせることができます。また、iPadを使ってスライドを作り、プロジェクターなどを使用して発表する場面もあります。先生方が積極的に教えてくれたり質問に答えてくれるなど、学ぶ環境が整っているため、楽しく学ぶことができ、学んだことがしっかりと身につきます」(中1)

同校は、MYP(国際バカロレア中等教育プログラム)の候補校になっており、各教科でMYPによる表現力を活かした授業を展開。MYPは国際的な視野を育み、プログラム終了は海外大学への入学資格にもなっている。中3・社会科のMYPでは、生徒たちが「家政党」と「十条党」という2つの党から立候補したという設定で、それぞれの公約を考えて発表し、実際に生徒たちが投票を行ったという。今回の説明会ではその一部を再現し、選挙公約とは何かという説明から始め、2人の候補者が来校者の前で演説を行った。

家政党・Hさん(中3)の公約は、「幼児教育・保育の無償化」「(待機児童50人以上で受け皿拡大に積極的に取り組んでいる市区町村にある)保育施設への補助や支援」「国公立大学の授業無償化」。Hさんは「皆さん、待機児童って聞いたことがありますか?」と会場に語りかけたりしながら、具体的な政策について語った。一方、十条党・Sさん(中3)の公約は、女性の社会進出に関わる「出産したら奨学金免除」「女性ならではの職をキープ」「NOハイヒールビズ」という3つ。奨学金の返済と少子化対策を関連づけた公約については、「奨学金と言う言葉を聞いたことがある人、どれくらいいますか?」と会場の反応を見たりしながら、中学生目線で日本の課題などが語られた。発表後、来校者の挙手により今回は十条党が勝利。説明会に参加した小学生たちにとっては、MYPがどのようなものか体験から知る機会となった。

部活動紹介と行事紹介

これまでの説明会や個別相談で質問が多かったという部活動について、文化部と運動部それぞれの人気ランキングや活動中の写真などが紹介された。文化部の多くは週1日から週2日の活動で、人気ランキングは、1位が調理部、2位が合唱部、3位がイラスト部。運動部は週4日活動する部が多く、人気ランキングは、1位がドリルチーム部、2位がバスケットボール部、3位がバドミントン部だという。

「私はバトミントン部に所属していますが、中学生の人数が高校生よりも少ないので、高校生と一緒にコートを使っています。そのため、高校生と一緒に合同で練習することもあり、自分たちでは気づけないところをアドバイスしてもらえたり、指摘してもらうことができます。夏休みや冬休みには合宿があり、今年は東京家政大学の狭山キャンパスで2泊3日の合宿を行いました。ほかの部活は、地方で合宿を行ったりすることもあります」(中2)

行事紹介では、運動会や文化祭のほか、1年次に実施される「5月の生活」という同校独自の行事について説明。

「5月の生活とは、入学してから一番初めの宿泊行事です。2泊3日で千葉へ行き、カレー作りや田植え体験、学校の創設者である渡辺辰五郎が生まれた長南町の散策など、いろいろなことを体験できます。入学してからまだ1ヶ月も経たない中で行くので最初は緊張しましたが、カレー作りや班行動を通してすぐにクラスのみんなと打ち解けることができました」(中1)

その後、「将来の目標」「家政の1日」「入試直前アドバイス」、オブザーバーとして参加していた「高校生による講評」と続き、最後はアドミッションスタッフによるクリスマスダンスで締めくくられた。

アドミッションスタッフによる合同会見

ステージ上での説明後には、生徒たちによる個別相談と施設案内を実施。その後、合同会見が行われ、司会を務めた中3生やオブザーバーとして参加した高3生に話を聞いた。

――アドミッションスタッフになったきっかけを教えてください。

Sさん(中3) 小学生の時に来た説明会で、受験アドバイスをしている先輩を実際に見て、このような活動がしたいと思ってアドミッションスタッフになりました。

――アドミッションスタッフの活動で、どのようなときにやりがいを感じますか?

Sさん(中3) 個別相談などで、受験生からの質問に答えたときに「ありがとうございます」と感謝の言葉をいただけた時です。

――アドミッションスタッフの活動を通して、成長したと感じることを教えてください。

Sさん(中3) 中学1年生のとき、アドミッションスタッフになって間もない頃に、初めて受験アドバイスをさせていただく機会がありました。そのときは、あまりうまく話せなくて、言葉につまってしまう場面もあったのですが、今は自分の言葉ではっきりと話すことができるようになったと思います。

――8月に初めて在校生による説明会が行われましたが、今回は1回目の反省点をどのように活かしましたか?

Sさん(中3) 前回は、「女子校の魅力」が中心となり、東京家政自体の魅力を発信しきれなかったことが反省点としてありました。今回は「家政の魅力」や「家政の1日」などの部分で、女子校全般ではなく、「東京家政」のよいところをお伝えできたと思っています。授業紹介などの説明だけでは魅力を十分に伝えきれないと思ったので、ハンドベルやダンスを通して学校の雰囲気なども伝えたいと考えました。部活や試験もあったので、前回に比べて全員で集まれる時間は少なかったですが、部活の前に少しだけでも集まるなどして準備しました。

――高校生から見て、今回の説明会はどうでしたか?

Kさん(高3) ハンドベルやダンスは季節にあった発表だったので、来校者の方にも楽しんでいただけたのではないかと思います。前回は合唱でしたが、今回はクリスマスということを考えていて、工夫や企画力があると感じました。 ハンドベルのときは緊張して表情が硬かったので、にこやかにできたらより楽しい説明会になったと思います。ダンスのときは楽しそうな表情も見られたので、最後の方は緊張がほぐれてきたと感じました。

「縦のチーム」での活動の大切さ

アドミッションスタッフの活動を通して、縦のチーム作りをしていきたいと渡邉先生は語る。

「本校は中高一貫教育を行っていますが、高校は外部から入ってくる生徒もいるので融合性が重要となります。ですから、アドミッションスタッフの活動を通して、縦のチーム作りをしたいと考えています。女子は横のチームを作るのは得意ですが、男子と比べると縦の関係に苦手意識があるようです。大人になってからは、住んでいる地域でのつながりなどでも、男女差があるように思います。横のチームだけでなく、縦社会もしっかり理解できるようになれば、あらゆる面でうまくいくようになるでしょう」(渡邉先生)

アドミッションスタッフとして大切なことは、保護者や小学生からの質問に「自分の言葉」で答えることだという。

「来校者から質問されたら、生徒たちは自分の言葉で答えます。どのように答えるか、台本があるわけではありません。どのような質問が来ても自分の言葉で即答できるようになるためには、受験生に向けて何を話したらいいか自分で考えて、常にそれを意識して学校生活を送ることが大切です。相手から「ありがとうございました」と笑顔で言われたら、答えが的確だったとわかるでしょう。もし「えっ?」という顔をされたら、答えがよくなかったということです。アドミッションスタッフになると、そういった経験を中学1年生からずっと積み重ねていきます。まず人の話を聞いてから、自分の意見を言う習慣をつけてほしいです。それができるようになれば、人から愛される女性になれると思います」(渡邉先生)

説明会の本番までには、高校生からの鋭い指摘などもあったという。しかし、どんなアドバイスをするかは高校生たちに任せていたと、渡邉先生は説明する。

「年内入試で進路が決まっている高校生たちが『私たちにもやらせてください』と言って、参加してくれました。練習や前日のリハーサルではかなり厳しいことも言っていて、私より厳しいです(笑)。アドミッションスタッフとして経験を積み重ねてきた高校生は、『やるなら褒めてもらえるように頑張る』という習慣を身につけています。彼女たちのアドバイスは、そういった積み重ねがあるからこそ出てくる言葉なのです。高校生がどんなアドバイスをするかについて、私はノータッチでした。本番の講評も、何を言うかの事前チェックはしていません。あれが、『自分の言葉で話す』という習慣が完成した姿なのです。前もって準備する言葉よりも、その場で出てくる『思いを込めた言葉』の方が相手に伝わると思っています」(渡邉先生)

▶︎入試広報部部長 渡邉健先生

アドミッションスタッフの活動を通した成長

説明会では、中学1年生も堂々とした発表を行っていたが、アドミッションスタッフの活動に参加している生徒は、勉強が得意な生徒ばかりではないという。

「どの学年も、様々なタイプの生徒が参加しています。学校説明会でアドミッションスタッフが話している姿を見て、アドミッションスタッフをやりたいと希望する小学生もいますし、保護者の皆さんに『我が子にもやらせたい』と思っていただくことも多いです。本校では、アドミッションスタッフの活動を通して、人間としての偏差値(人間力)を伸ばしたいと考えています。縦のつながりの中で鍛え抜き、先輩を敬う気持ちなどを自分の言葉できちんと表せる力を育みたいのです。『目を見ればわかる』と言われることがありますが、私はちゃんと言葉で表すことが大切だと考えています。説明会で発せられる彼女たちの言葉を聞けば、その思いは小学生や保護者にも伝わっていると感じられます」(渡邉先生)

今年度は2回、在校生による説明会が開催された。企画・構成も生徒たちが考えた説明会には、これまでの説明会とどのような違いがあったのだろうか。

「教員にはない創意工夫がありました。彼女たちが『受験生だったら何を知りたいか』という視点に立って考えて、あの形になったのです。部活動や委員会活動が優先で、ハンドベルやダンスを練習する時間もあまりなかったですが、本当によく頑張ったと思います。自分たちの好きなようにやっていいと言っているので、どんどん鍛えられていきます。活動に参加している生徒たちは成績が良くなってきていますし、『税の作文』で賞を取る生徒が増えてくるなど、様々な形で成長を感じています」(渡邉先生)

<取材を終えて>
アドミッションスタッフの仕事ぶりは、中学生とは思えないほどしっかりとしていた。例えば、受付から会場内の席へ誘導する際に、「段差があるので気をつけてください」など、来校者への気遣いの言葉を自然にかけることができている。来年度はどのような説明会を開催するのか、今後の活動も注目したい。

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