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スクール特集(昭和学院中学校の特色のある教育 #6)

校長インタビュー「生徒が主体! 授業が魅力の昭和学院をつくる」

昭和学院中学校・高等学校で今年度、新しい校長に山本良和先生が就任した。「主体的に学び、自分で決めて行動する生徒を育てたい」と話す山本校長に、教育活動の抱負などを聞いた。

自分で決める力が、進路を切り拓く力につながる

山本良和先生は過去20年以上にわたり、筑波大学附属小学校において算数教育の研究に従事し、2022年から2年間、昭和学院小学校の校長を務め、今年4月、同校校長に就任した。この間に算数教育や授業づくりに関する著書も多数執筆している。

—— 新校長に着任し、学校や生徒に対してどんな印象を持ちましたか?

まず生徒たちが、とても素直だという印象を受けました。挨拶もよくしますし、何事にも真面目に取り組む生徒が多いですね。部活動もさかんで、女子バスケットボール部が中高とも全国3位に入賞するなど、全国レベルで活躍するクラブもあり、文武両道を確立しています。学びの面では、1人ひとりの生徒がやりたいことや得意分野を伸ばしていけるよう、5つのコース*を設置し、それぞれに特色あるカリキュラムを展開しています。整った学習環境のもと、生徒たちは真面目に授業を受けていますが、反面、自分から質問をしたり、意見を発したりすることが少なく、もっと主体的になってもよいのではないかと思いました。

*5つのコース…国際社会で活躍する人材を育てる「インターナショナルアカデミー(IA)」、最難関国立大学を目指す「トップグレードアカデミー(TA)」、文武両道を貫き、難関大進学を目指す「アドバンストアカデミー(AA)」、目指す道とそのための学びを自分で選び取る「ジェネラルアカデミー(GA)」、知的好奇心を研究に向け、科学で遊びつくす「サイエンスアカデミー(SA)」の5コース。なお、TAは中3から設置。

校長 山本良和先生

—— 主体的になるとは?

自分で決めるということです。自分で考えて判断し、さらに追い求めていくという姿勢ですね。これは勉強だけでなく、部活動や進路にも言えることです。主体性がなければ、大学受験も受け身になり、困難を乗り越えることや、自分の将来を切り拓いていくこともできません。もちろん人間なので、情報や出会う人などによって世界の見え方が変わり、一度決めたことが変わることもありますが、それでよいのです。次の選択も自分の意思で決めればいい。本校はコース制をとっているので、入学後すぐにどのコースに進むか、決めなくてはなりません。その後、中3と高2に進級する時にコース変更が可能で、そこでもう一度、自分自身を振り返り、進路を考え直すことができます。授業や部活動、行事など教育活動の中でさまざまな体験をし、自分で決める機会を保障することが、学校の役割だと考えています。

生徒同士で教え合い、間違いも価値があることを全員で共有

—— 生徒の主体性を育てるには、何が必要ですか?

授業に関して言えば、枠組みはできているので、次は生徒が受け身にならないように中身を組み立てる必要があります。たとえば、ある問いに対して、解決法がわかっている生徒とわからない生徒が混在しているとします。わからない生徒は、どこがわからないかを質問するべきなのですが、その前に先生が教えている。それでは受け身になってしまうので、そういう時は、隣の生徒同士で教え合いをしてみるとよいのです。わからない相手に対してわかるように伝えるのは、とても難しいものです。教える側が言葉だけでは伝わらないと思えば、ビジュアルやモノを使うなど工夫をします。相手を意識して伝えることが本当の表現です。相手に伝えたいから、こういう方法をとる、相手に合わせて表現を変えていく。これがアクティブ・ラーニングの本質だと思います。

—— 自分の考えを表現するのは、そう簡単ではないと思うのですが…。

そこは積み重ねをしていくしかありませんね。まずは「わかりません」が普通に言える授業の雰囲気をつくり、双方向のやり取りをすることから始めます。また、間違いや失敗は恥ずかしいことでも格好悪いことでもなく、反対によい経験になることを生徒に伝えたいですね。彼らが将来、社会に出た時に求められるのは、失敗を乗り越えていける強い精神力と、次、成功するには何をしたらよいかを考え、行動する力です。よって私は、中学・高校の授業の中でたくさんの失敗体験をしてくれたらいいと思っています。

また教師が、間違った答えを当人に言わせない工夫をするのも一案です。今はタブレットを使って、生徒全員の考えを集約することができます。先生はそれを見て「以前、こういう考え方をした生徒がいたのだけれど、この子の気持ちがわかる人がいる?」と、生徒の名前を伏せて聞いてみるのです。間違えに共感した他の生徒が「こういう理由で考えたと思うよ」と説明し、当人が納得できたら、次は絶対に間違えません。他にも同じような考え方をした生徒がいるだろうし、間違いはみんなの財産になることを共有し、自分の考えを表現することを続けていくことが重要ですね。

現在、U18日清トップリーグに参加している高校女子バスケットボール部は、インターナショナルチャリティーバスケットボール大会(台湾)で優勝するなど強豪として知られている。

先生も生徒も笑顔になれる授業づくりを目指す

—— 生徒主体の授業をつくるには、先生の意識改革も必要ですね。

この半年間、全ての先生の授業を見学し、面談もしてきました。面談では、授業の改善についても話をしています。本校は公開授業研究会を行っており、先生にはなるべく他教科の授業を見に行くように言っています。自教科で常識だと思っていたことが、他教科ではそうでなかったり、同じクラスでも他教科の授業のほうが、生徒がイキイキとしていたら、そこには何か生徒を惹きつける要因があるわけで、それを見つけて参考にすることができます。

また先生には「笑顔で授業をしていますか?」と聞いています。さらに言えば「生徒がニコニコしている授業をしていますか?」ということが大事なのです。それは面白い話をするというのではなく、まぁそれもOKですが、間違えても大丈夫という安心感や、自分の考えを伝えられたという達成感、わからなかったことが理解できた瞬間は、自然と笑顔になれます。この体験がたくさんあるほど豊かな学びとなり、主体性も育っていきます。

—— 先生たちの意識は変わってきましたか?

先生との面談では「働きやすいですか?」ということも聞いています。以前と比べて、先生同士がコミュニケーションをよく取るようになり、若手と管理職の間でも話がしやすくなったと言われます。私自身も管理職として、若手の先生の質問にきちんと応えるようにしています。先生も主体性を持って、楽しみながら授業改善に取り組んでほしいですし、そうした前向きな姿は必ず生徒にも伝わります。“授業が魅力”の昭和学院にしたいのです。

—— 6年間の教育活動を通して、どのような生徒を育てたいですか?

オーストラリア語学研修

打たれ強い人間を育てたいですね。これから生徒たちは、正解のない時代を生きていきます。それには自分で問題を解決し、失敗をしても、また自分で考えて立ち上がっていかなくてはなりません。ですから、学校の中でたくさんの失敗体験をして、打たれ強さを身につけてほしいのです。それに、自分が本当に好きだと思うものを見つけてほしい。これを持っている人は、たくましく生きていくことができます。本校は、「好き」を発見する場面をたくさん用意しています。好きなことは、自ずと究めていくでしょうし、確実に力を伸ばしていくことができると考えています。


<取材を終えて>
生徒主体の学び、いわゆるアクティブ・ラーニングは、考える力や協働する力、表現力などを養うといわれているが、山本校長先生はそれに加えて「失敗体験を通して打たれ強くなる」ことを挙げる。同校が目指す授業の在り方は、学力の形成とともに、生きる力を育てることも含まれるのだろう。

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