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雲雀丘学園中学校

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スクール特集(雲雀丘学園中学校の特色のある教育 #9)

多彩な探究活動が育む自ら学ぶ姿勢。現役生の国公立大学合格率も4割を突破

2019年に「一貫探究」にコースを一本化した雲雀丘学園中学校。高校でも同年より探究活動に力を入れた結果、2022年大学入試では大幅に合格実績を伸ばした。学びの原動力を育む同校の探究活動とは?

関西で、今人気急上昇中の私立中学校のひとつである雲雀丘学園中学校。2022年に行われた入試では、全3回で1000名を超える志願者を集めた。この人気を支えるのは、充実した探究活動への期待と右肩上がりの大学合格実績だ。「自立型人間」の育成を目指す同校の教育について、入試広報部長の板倉宏明先生に話を聞いた。

大学推薦入試にもつながる探究活動

2019年以来、3桁を超える国公立大学の現役合格者を輩出する雲雀丘学園中学校。2022年の大学入試では、244名の卒業生のうち、111名が国公立大学に合格。現役生の国公立大学合格率は45.5%となった。2013年には同値が20%だったことを考えると驚異的な伸びだ。

この右肩上がりの実績の中でも特筆すべき点は、推薦入試で24名(含既卒1名)が合格を勝ち取っていること。内訳は京都大学・神戸大学各1名、大阪大学8名、大阪公立大学4名など。高知大学医学部医学科にも1名が推薦入試で合格している。推薦入試での実績について、板倉先生は「探究活動を通して子ども達が色々なことに関心を示し、調べ学習を行っていることが進路にもつながっている」と笑顔を見せる。

「本校では、生徒全員に自分が設定した課題についての探究論文を、高校1年生で書いてもらいます。この論文も書きっぱなしではありません。興味深い論文は、テーマを見て、OneDayCollegeなどでつながりのある大学の先生のもとに論文を送ります。すると、大学の先生がコメントを付けて返してくれるんですね。レスポンスをもらう機会があることで、子ども達はより考察を深めていけます。また、経済をテーマにした探究ゼミでの学びをまとめ、大阪大学経済学部の推薦入試に合格した卒業生もいます。様々な探究の経験を通して、自分が興味あることを知り、大学推薦入試での志望理由書につなげていくというサイクルが生まれています」

大きく伸びた現役生の国公立大学合格率と共に、板倉先生が注目しているのが現役進学率だ。
「2022年3月卒業生のうち、最終的に国公立大学に進学した生徒は38%、難関私大を含めて約7割、中堅私大まで含めると約8割と、進学率はいずれの数値も伸びています。一方で、今年は浪人した卒業生が25名と全体の約1割でした。現役で進学する子が9割というのは、よく頑張ってくれたと思います」(板倉先生)

▶︎入試広報部長 板倉宏明先生

起業体験などが評価され、文部科学大臣表彰を受ける

雲雀丘学園中学校の探究活動は、中2~高1で設定する授業としての「探究」、大学や企業など学外と連携して実施する課外活動「探究プロジェクト」、教員の専門性を生かしたゼミ形式の特別講座「探究ゼミ」の三本柱で構成されている。

これらの探究活動が評価され、同校は2022年1月に文部科学省「第14回キャリア教育優良学校文部科学大臣表彰」を受賞した。この制度は、キャリア教育の充実・発展に尽力し,顕著な功績が認められた教育委員会・学校・PTA団体等を文部科学大臣が表彰するもの。全国で119団体が受賞し、その中で学校は98校だが「小中や工業・商業高校が多く、高等学校普通科で表彰されたのはあまりない」そうだ。

表彰理由のひとつとなった取り組みが、探究プロジェクトとして行われた起業体験プログラムだ。この起業体験プログラムは、色々な企業のOBが集うNPO法人と連携して行われた。まず生徒は4つの班に分かれ、班ごとに会社を設立し、会社のオリジナル商品を企画・製作する。出来上がった商品を学内で生徒や保護者に販売し、最終の収支決算書を作成する所までを行った。

このプログラムに参加した高校2年生の生徒に、板倉先生が普通の授業との違いについて質問したところ「商売について学ぶことによって、各教科の授業がそれぞれ社会にこういう形でつながっているのだ、とストンと私の心の中に落ちた」という答えが返ってきたという。

名言だと板倉先生は目を細めた後「教科の勉強をただやみくもにするのではなく、世の中にどう生かしていくかという視点で捉えて欲しい。それが我々の考える本物の学びです」と熱く語る。

サントリーの支援のもと、一歩踏み込んだNIE教育を実践

続いて、板倉先生は、表彰理由となったもうひとつの取り組み、NIE(Newspaper in Education)教育について言及する。これは新聞を教材として活用する教育活動で、同校では産経新聞社の協力のもと、中学3年生が社会総合の授業で取り組んだ。授業日の朝刊をテーマにした新聞記者と岡村学園長(当時)との討論や記者との意見交換を通して、生徒は質問力を磨き、自分の考えをまとめる経験を積んだという。その上で、夏休みの宿題として設けられたのが雲雀新聞作りだ。

これは「愛鳥活動」「育休復職100%」「サントリーSUNBIRDS」など、サントリーの企業活動から8つのテーマを設け、各担当部署の社員に取材を行い、記事にまとめるというもの。生徒は自分の興味があるテーマを選び、テーマごとに班に分かれて取材や記事制作に取り組んだ。「新聞作りの経験は、社会への興味を育むよい機会になった」と話す板倉先生は、この活動を通して育まれる力について以下のように続けた。

「サントリーSUNBIRDS以外は、Zoomでの取材となってしまいましたが、どの生徒も熱心に質疑応答にのぞみ、的を射た質問をしていました。前半の時事討論を通して、質問力がついたのでしょう。ほかにも、新聞記事は見出しが大事、言いたいことは簡潔にまとめるなど、記事を書く上でのポイントも丁寧に教えてもらっていました。出来上がってきた新聞には『推しラベル 思わぬ収穫』など、中学生らしい目を引くキャッチが並び、記事も面白かった。また、育休など、将来にとって大切だが中学生にとって縁遠いテーマに、今回の取材で触れられたのも良かったです」

また、同校ならではの探究活動という点から今回の新聞作りを見ると、サントリーの全面協力があったことがあげられる。同校の初代理事長はサントリー創業者・鳥井信治郎であり、同校は創立以来サントリーの支援を受けている。現在でも、同校にはサントリーから出向してきている職員も多く、今回の取り組みでもその職員が担当部署との調整を行うことで、より踏み込んだ取材ができたという。日本を代表する企業の協力が得られるというのも、同校の強みのひとつだ。

3年間の探究の集大成となる「自分たちで作る研修旅行」

10年以上前から探究活動に力を入れてきた雲雀丘学園中学校は、2019年度の「一貫探究」へのコース一本化で、その姿勢をより明確に打ち出した。この一本化に伴い、3年間の探究の集大成として新たに設けられた取り組みが「自分たちで作る研修旅行」だ。この取り組みでは、生徒は研修旅行の目的地や行き帰りの交通手段、現地に行ってから何をするかなど、各自が一から研修旅行のプランを練っていく。作り上げたプランは、各クラスでのプレゼン発表や講堂での探究発表会を経て、最終的に6コースにまで絞られる。

板倉先生はこの研修旅行について「お仕着せでなく、生徒達で考えさせるにはどうしたらいいか」を重視して進めていると語る。実際に教員は段取りだけして、ほとんど口を出さないという。
「自由にさせた方が、生徒は力を発揮するし、それだけの能力を持っている生徒ばかりだと僕は思っています。そこは教員と生徒との信頼関係だと思います。任せられた生徒たちは、本当にイキイキとしています。発表を見ていても皆楽しそうですし、発表を終えた生徒は良い表情をしています。自分は立派に発表が出来たという達成感は、何事にも代えがたいのではないでしょうか」(板倉先生)

2021年10月には、無事初の『自分たちで作る研修旅行』を実施することが出来た。研修旅行にのぞむ生徒の姿について、「自分たちで企画して、しおりも自分たちで作っているので、それは充実感満載で、とても楽しそうに回っていました。そもそも1コース20人ほどの少人数だから、色々と融通が利きます。参加者が決まってから、参加者同士で話し合って、プランを修正したコースもありました。研修旅行を皆でより良いプランに変えていく経験はなかなか出来ることではありません。また帰校後も、それぞれのコースのお土産話で盛り上がったようです」と板倉先生は満面の笑みを浮かべる。

先日、一貫探究コース2期生による催行コースを決定するための探究発表会が講堂で行われたという。2期生のプレゼン発表を見て「今年も千葉や埼玉、熊本など、ここを研修旅行の目的地にするのかとびっくりさせられるようなプランが集まりました。中には、他の生徒のプレゼン発表を見て、当日発表の仕方を変更した生徒もいたと聞いています。教員が模範を示すのではなく、生徒がお互いで見合って学ぶことの意義は大きいと思います。良いものは学んでいったら良いし、その中でさらにオリジナリティを出していったらいいわけです。その機会を我々も提供していきます。本校はコースが一本だから生徒に垣根もありません。皆が平等に頑張れるというのは、本校の良い所だと思います」と板倉先生は胸を張る。

新たな探究の空間として、新文化館『道しるべ』が完成

コース1本化からの3年を振り返って、板倉先生は「自分たちで考える力や発表力が抜群に伸びた」と話す。この春、それらの力をより高めていける空間として新たに作られたのが新文化館、通称『道しるべ』だ。この通称には、「学園を巣立つ子どもたちが目的地へ自ら進むための道標」「小・中・高のひとつの結び目」「先頭に立って指し示す」などの意味が込められているそうだ。『道しるべ』内で中高生が主に使う施設は、1階のHibari ColLab・多目的室、2・3階の図書室、6階の70ホールだ。

2フロアに分かれた図書室のコンセプトは「本と人、人と人が出会う図書館」。2階には探究活動で使う専門書、3階には雑誌や一般の文芸書が並び、蔵書数は図書室に並んでいるものだけで3万冊弱。研究室や書架を含めると4万5000冊ほどが揃う。人気作家の新作は発売日後すぐに入荷するようにしているほか、最近は「探究で色んな分野を調べるので、後手に回らないよう幅広い分野の専門書を揃える」ことに注力しているそうだ。

図書室には普段本を読まない生徒にも来てほしいと、様々な工夫が凝らされている。そのひとつが「ここにしかない椅子」だ。司書の南竹洋子先生は「特別な一脚を用意したいと設計士さん達にお願いした時に、取り合いになりますよと言われました。それが狙いです。あの椅子に座ってみたいと来てもらいたいのです。本をあまり読まない子も、これをきっかけに図書室に入って、雑誌や話題の本が並んでいるのを見てもらえたら」と期待をのぞかせる。

探究活動で活用が期待されている部屋が1階のHibari ColLabだ。約80人が入れるスペースには、可動式の机と複数のプロジェクターを揃え、様々な規模のグループワークに対応できる設えとなっている。板倉先生は「図書室を2つに分けて調べ学習の空間を作り、その下のHibari ColLabでプレゼン発表などを行うという形で、探究活動をより充実させていこうというのが我々の考えです。また、320人収容できる70ホールも、探究発表の場として活用していく予定です」と展望を語る。

【取材を終えて】
今回紹介した探究活動以外にも、探究ゼミ「手作りみその商品化」や探究ゼミ「経済」で実施した日経STOCKリーグなど、様々な取り組みについて話を聞いた。これらの取り組みについて「本校としては当たり前にやっている」と板倉先生は話すが、これほど柔軟に多彩な探究活動を進めていける学校はそう多くはない。

この背景には、従来から探究活動に力を入れてきたことはもちろん、人的にも環境的にもサントリーという企業のサポートが得られているという大きなアドバンテージがある。記事内で紹介した雲雀新聞作りもその一例だ。前述のオリジナル味噌づくりでも、サントリー出身の副校長(当時)のマーケティング講座で「売れる商品とは何か」を学んだ生徒のアイデアから「みそらひばり」というインパクトのある名前が生まれたという。このように、学校内に日本を代表する企業の一線で活躍してきた人材が多数いることは、学びと社会がリンクした「生きる力」に直結する教育が展開できる理由につながっている。

板倉先生は「大学の合格実績を追うのも悪い事ではありませんが、あくまでそれは付いてくることであって、大切なのは何のために学ぶかということ。キャリア教育や探究といったことを基本に据える教育が大切です」と話す。様々な探究活動を通して学びの意義を見出した生徒が、自ら学びを深めていくことで大学合格実績が伸びていく。理想的な上昇スパイラルが、今雲雀丘学園には存在する。

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