スクール特集(仁川学院中学校の特色のある教育 #8)

中学校3年生が語る!リーダーの責任感と、仲間との深い絆
先輩と後輩が、共に学び成長する仁川学院中学校の「縦割り班」活動の醍醐味とは!?
班長を務めた中学生3名が語る、「チームの楽しさ」と「自分らしさ」
仁川学院中学校では、中学1年生から3年生までが学年を越えて活動する「縦割り班」を基盤に、多彩な学校行事の取り組みが行われている。野外活動、ダンスフェスティバル、そして一年を通して行われる園芸プロジェクト「仁川の森」など、どれもこの縦割り班をベースとして、生徒たちが主体的に運営・参加するスタイルだ。今回の取材では、各班で班長を務めた中学校3年生の、秋田さん、小野さん、古林さんの3名と、中学教頭の辻野先生に話を聞いた。異なる個性とリーダーシップをもつ3人の言葉からは、仲間と一緒に何かを作り上げる楽しさと、先輩としての責任、そして自身の成長への実感がにじみ出ていた。
秋田葉音さん(中3)アカデミアコース(写真左)
古林天清さん(中3)カルティベーションコース(写真中央)
小野瑞來さん(中3)カルティベーションコース(写真右)
「全員で乗り越えた」野外活動
5月に実施された野外活動では、2泊3日で、福井県の若狭の地へ。カッター研修(全長9mの手漕ぎ船を24名の漕ぎ手が息を合わせて進ませていく)や険しい山道のハイキングなど、体力とチームワークが求められるプログラムに挑戦した。班単位での活動となり、1年生から3年生までの約25名から成る「縦割り班」で構成されている。下級生と寝食を共にしながら活動を進める中で、3年生がリーダーとして「頼られる立場」としての責任を実感したという。
「最初のうちは、荷物の準備から時間管理まで、全部3年生が1・2年生をリードしていました。下級生の様子を見ながら、積極的に声をかけるよう努めました」と語るのは古林さん。
小野さんは、「正直最初はバラバラでした。気づいたら僕のベッドに1年生が寝ている時もあって(笑)」と笑いながらも、「集合時間を守らせたり、部屋の行動をまとめたりするのは、けっこうプレッシャーがありました」と、リーダーとしての難しさも語る。
実際、活動中は天候にも恵まれず、雨の中で急な斜面を登るハイキングや、波の高い海でカッター研修など、決して楽なプログラムではなかったようだ。
「カッター研修は本当にきつかったです。艇長さんの指導も本格的で、息が合わないと前に進まないので、声を出し合って漕ぐのが本当に大変でした。でも、その分終わった後の達成感はすごかったです」と秋田さん。
この2泊3日の経験を通して、班のメンバー同士の距離は一気に縮まり、「班の空気がガラッと変わった」と小野さんは語る。
想いを一つに、ダンスフェスティバル
7月に開催されたダンスフェスティバルは、仁川学院の大きな行事の一つ。野外活動と同じ縦割り班にてオリジナルのダンスを披露する。3年生が振付を覚え、1、2年生に教える立場。日々の練習では、班ごとの工夫が光った。
「最初は3年生だけで踊りを覚えて、そこから後輩に教えるので、結構時間がかかりました。統制をとるのも難しくて、役割分担をしながら毎週練習を重ねていきました」と古林さん。
小野さんの班では、「主張が強い子が多くて、全体練習だと話が脱線してしまって(笑)なかなか練習が進まず、1対1で教える個人レッスンに切り替えました。」
秋田さんは最初なかなか後輩が話を聞いてくれないこともあり、困ったが、関係づくりを丁寧に進めたそうだ。「最初は、後輩たちにどう教えよう…と悩みました。でも、少しずつ話しかけたり、相談に乗ったりする中で、信頼関係ができて。最後のほうは自然とまとまってくれて、嬉しかったです」と振り返る。
本番当日は、班ごとに個性豊かなメンバーが一体となり、音楽とフォーメーションで観客を魅了。保護者が見守る中でのパフォーマンスは、緊張と興奮が入り混じる特別な時間となった。惜しくも賞は逃したものの、古林さんは「チームワークでは優勝だと思います!」と笑顔で語り、小野さんは「悔しいけど、みんなが楽しそうに踊っていたし、後輩と仲良くなれて楽しく終われました」と達成感をにじませた。
「仁川の森」で育てる野菜と心
「仁川の森」は、学校内にある畑を舞台に1年を通して行われる園芸プログラム。季節の野菜を育てる。ここでの活動も同じ縦割り班で進められ、3年生はリーダーとして班員をサポートする。
「今年はキュウリが大成功でした!」と小野さん。「週一回の授業での活動となるので、収穫のタイミングが難しくて。雨の後はとんでもない大きさになったりもしました(笑)」
古林さんは、過去の失敗を語ってくれた。「当時、班内の意見がまとまらなくて、野菜を全滅させてしまって…。その反省を活かして、今年は班員とのコミュニケーションをすごく意識しています。水やりの声かけなどもこまめに行っています」
秋田さんの班は、先生から「丁寧に育てている」とお墨付きをもらうほど。「種まきの時からきっちり等間隔に植えて、芽が出る時点でうまくいくかどうかだいたいわかる」と自信をのぞかせる。
また、毎年定番の野菜に加え、地域の伝統野菜である「大市なす」も育てている。西宮市大市(おおいち)地区の名がつけられた。中学教頭の辻野先生は、「このなすは、江戸時代から栽培されており、普通のなすよりも色が薄く、皮も厚く、とげが鋭く、電球のような形をしているのが特徴です。今や栽培している農家が一軒のみとなり、農家の方は80代。あと数年で幻の野菜になってしまうかもしれないと言われるほど、非常に希少な存在のなすを仁川学院が受け継ぎ、毎年栽培しています。品種改良される前の原種なので、とても育てづらい点もあり、毎年生徒と一緒に考えながら育てています」と教えてくださった。
さらに、この活動はオープンスクールでも紹介されており、小学生に向けた体験授業も行っている。
「小学生と一緒に植木鉢に種を植えて、家に持ち帰って育ててもらいました。最初は緊張しながら、僕たちと接していた小学生も、話しかけるうちに打ち解け、色々と話してくれるようになり、最後は手を振ってくれるほど馴染んでもらえて嬉しかったです」と小野さんは語る。
縦割り班で育つリーダーシップと優しさ
3人とも、縦割り班の活動を通して大きな学びと共に、自分自身の変化があったと感じている。
「1年、2年、3年と見える景色が変わっていくのがよくわかりました。今は後輩を引っ張っていく立場。みんなが失敗しないように、自分が先回りをしている部分が多少なりともあるので、後輩にも失敗させる経験も必要かなと、活動をしていく中でそう思えるようになりました」と語る小野さん。
古林さんは「1年生の時にはなかった責任感が自然と身についてきました。2年生では、先輩としての立場と、後輩としての立場の両局面がありましたが、3年生になると見本となる先輩がいないので、後輩への指導の難しさを感じる面も正直あります。今年は班員と丁寧に向き合いコミュニケーションを大切にしたいと思います」と話す。
秋田さんも「私は、後輩へ注意するのが苦手で、放置してしまいがちだったけど、後悔することもあります。これからは積極的に声をかけて、より良い方向へ導いていきたいと思います」と、自らの変化を語ってくれた。
未来の後輩たちへ
最後に、これから仁川学院を目指す小学生へのメッセージを尋ねると、次のように語ってくれた。
「積極的に自分から話しかけることが大事。きっと素敵な仲間ができるはずなので、ぜひこの学校に来てください!」(小野さん)
「私の中で、私立の学校は静かで生徒が真面目な印象がありましたが、すごくワイワイしていて、先生と生徒、先輩と後輩といった垣根が関係なく楽しい学校だということを強く伝えたいです!」(秋田さん)
「受験勉強で今は不安だと思うけど、うちの学校はたくさんの行事を通してすぐに仲良くなれる機会が多く設けられています。安心して仁川学院を受験して欲しいなと思います」(古林さん)
最後に教頭の辻野先生はこう語ってくれた。
「本校では、タブレット(iPad)を 1人1台持って授業をしています。AIを使うのも当たり前となってきました。その中でも、仁川の森、野外活動、ダンスフェスティバルといった行事を通して、人と人とのコミュニケーションを取るなど、アナログの部分も大切にしています。植物の育て方なども、調べると方法はいっぱい出てくると思いますが、なかなかその通りにもいかないのも現実。そういった本物に触れる体験ができるのも本校の特色の一つです。縦割り班の中で、先輩から後輩へと受け継がれるものを、実体験を通して学び、段階を踏んで成長できるのが仁川学院の素晴らしいところだと自負しています」
<取材を終えて>
他学年と縦割りのコミュニケーションをとる活動がとても多いのが仁川学院の大きな特徴だ。取材中も、仲良くフォローし合いながらも自分の言葉でしっかり話してくれる姿が際立っていた。3年生でリーダーとなり、1、2年生と関わる中で、相手によって、言い方や接し方を変えるなど、お互いのことを思いながら関係を築いていることが、強く伝わってきた。3年間で、異学年との関わり、責任ある立場、自然との向き合い方など、生徒一人ひとりが「人としての成長」に本気で向き合う「成長の土壌」がしっかりと耕された学校だと感じた。
▶︎中学教頭 辻野先生
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