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東海大学菅生高等学校中等部

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スクール特集(東海大学菅生高等学校中等部の特色のある教育 #4)

2023年度「一貫進学コース」始動! チアダンスクラブや吹奏楽部も新展開

2023年度から、内部推薦で東海大学に進学する力の育成に特化した「一貫進学コース」が始動。新コースのほか、チアダンスクラブと吹奏楽部の新たな展開について取材した。

東海大学菅生高等学校中等部では、従来の「総合進学クラス」を再編し、「一貫進学コース」が2023年度からスタートする。部活動では、2021年度にチアダンスクラブが発足。2022年度には、中等部の吹奏楽部に新たな指導者を迎えるなど、より充実した学校生活を送れる環境へと進化している。新たなコースや部活動について、校長の下平孝富先生、チアダンスクラブ顧問の高橋美紀先生、吹奏楽部顧問の佐久間綾先生に話を聞いた。

東海大学へ進みたい生徒に必要な力を育成するコース

同校では、2021年度に中高一貫カリキュラムの「医学・難関大コース」をスタートさせた。同コースでは、東海大学医学部をはじめ、国公私立大医学部および難関大への現役合格を目指す。一方、従来の「総合進学クラス」を再編して2023年度からスタートする「一貫進学コース」は、東海大学への進学を目指す生徒全員が希望の学部へ進学できる力を育成するコースだと、下平校長先生は説明する。

「付属校から東海大学への内部推薦は、各校に枠があるわけではありません。一定の基準を超えれば、希望の学部に進学できます。ところがこれまでは、本校から東海大学に進む生徒は3割ぐらいでした。他に行きたい大学がある場合は、もちろんそれをサポートしますが、内部推薦の基準に満たないケースは非常にもったいないと思います。ですから、東海大学に行きたいのに行けない子をなくそうというのが、このコースの大きな目標です。内部推薦の場合、高2と高3の4月に行う基礎学力テストのウエイトが高くなっています。そのテストでしっかりと点が取れていれば、行きたい学部を選ぶことができるのです。その基準をクリアするために必要な学力については把握しているので、新コースでは着実に到達できるように指導していきます」(下平校長先生)

従来の「総合進学クラス」は、中等部の3年間が終わると高校の3年間へとステージが上がるイメージだった。新たな「一貫進学コース」は6年間を1本につなげたイメージで、6年でないとできない教育をしたいと、下平校長先生は語る。

「本校は、『自然が教科書だ。』というスローガンを掲げて開校しました。自然の中で学ぶことはたくさんあり、環境教育が教育の柱の1つです。しかしこれまで中等部では単発で行うことが多く、体系立てていませんでした。新コースでは、菅生の里山に視点をあててSDGsに絡めるなどして、自分事にしたテーマを見つけ、論文にまとめる探究プログラムを導入する予定です。大学受験をする場合は、試験科目以外になかなかまとまった時間を費やすことができません。内部推薦は、早い子だと高3の6月に決まります。そこから先に、充分時間があることが一貫進学コースの利点です。また、飛び級制度が話題になることがありますが、今後高1で大学に入学できる時代がくるかもしれません。そうなったとき、大学との連携がある学校で、中高一貫のカリキュラムなら飛び級も可能になるでしょう」(下平校長先生)

▶︎校長 下平孝富先生

学びのための4ステップを着実に進むための6年間

同校では、社会で必要とされる力を育む過程を、4つのステップで考えている。このステップをじっくり進めていくためには、小学校での教育にプラス中高一貫の教育が必要だという。

「すべての学問は、知識を得ることから始まります。体験によって得た知識ほど、強いものはありません。体験を重ねて、知識の引き出しを増やすことも必要です。次に、知識を使って、物事を考える訓練をしなければなりません。この2つは小学生のうちにやっておきたいステップです。3つ目のステップでは、知識を使って考えて、自分の意見を構築します。1人では解決できないことも多いので、知識だけあっても自分の意見がなければ、知識を役立てることができません。そして4つ目のステップで、自分の意見を人にわかりやすく表現できるようにします。ここまでやらなければならないので、3年・3年のぶつ切りでは身につけることが難しいのです」(下平校長先生)

このような力を身につけていないと、社会に出てからどのような分野でも成功することが難しい時代になったと、下平校長先生は語る。

「今の時代、単純労働はAIやロボットに代わられてきています。これからますます、人の手による仕事がなくなってくるでしょう。AIやロボットにはできない仕事をするためには、小・中・高の時期に、このような力をどれだけ身に付けられるかにかかってきます。保護者の皆さんも、このような力が必要とされていることを実社会で痛感しているようです」(下平校長先生)

付属校のメリットを最大限に活かしたキャリア教育

系列の小学校である菅生学園初等学校の校長も務めている下平先生は、初等学校から高校まで、12年一貫教育の実現も視野に入れている。2023年度からスタートする「一貫進学コース」は、そこにつなげるルートの1つとして整える意味もあるという。

「例えば、初等学校で海の生き物に興味を持ち、東海大の海洋学部に行きたいという目標を持った子が中等部に入ってくるのも1つのルートだと思います。目標を持っていれば、より効果的な学習ができるのです。東海大学は2022年度に新たに6学部が開設されて、23学部62学科・専攻体制となりました。これまで以上に幅広く学べる大学になったので、何かの分野で、興味・関心が持てると思います。どこを目指すか、様々なルートの可能生があるでしょう。中高6年間通して見ることができると、キャリア教育も充実させることができます」(下平校長先生)

東海大学の多様な学科・専攻の中から、どの学科・専攻を選んだらよいか迷う生徒も多いだろう。同校では、付属校であるメリットも活かし、中学生のうちから東海大と連携したガイダンスなども行っている。

「タブレットを活用し、キャリア教育の教材として『エナジード』を導入しました。自分を見つめることから始めて、社会にどう貢献するか、どんな問題をどう解決するかを学ぶプログラムです。このプログラムを進めていく中で、どの学部が自分にとって役に立つかなども見えてきます。その時期に合わせて、高校で行う東海大のガイダンスに参加したり、中2で東海大のキャンパス訪問をして様々な学部を見学。医学・難関大コースは、自然科学の研究室を訪問するなど、大学での学びが身近にあると感じられる機会をたくさん用意しています。東海大学医学部付属八王子病院との連携も進めており、新型コロナの感染状況を見ながら職場見学や医師の講演なども行う予定です」(下平校長先生)

2023年度から入試は2科型へ

これまで同校の入試は4科型が中心だったが、国語と算数が出来る子は4教科できると統計的にわかってきた。それならば、国語と算数の2科に絞る方が受験生の負担を減らせると考えたと、下平校長先生は説明する。

「2023年度の入試は、1日だけ算数特化型の日がありますが、他は国語と算数の2科になります。算数は計算力が基礎になるので、計算問題でミスをしないように取り組んでおいてほしいです。国語は、小学校で習う漢字や言葉は、しっかりと身につけておきましょう。
本を読んで、いい文章にたくさん触れてほしいです。いい文章に触れると、いい文章が書ける力につながります。すべての学問の基礎となっているのが、国語と算数です。中・高の6年間で伸びていくためにも、小学校の国・算をしっかりと理解しておきましょう」(下平校長先生)

「医学・難関大コース」は出願時の希望により選抜が行われるが、入学後に大きな伸びを見せる子もいるため、そのような場合はコース変更にも対応しているという。

「すでに今年度、中2に上がる際に、医学・難関大コースへ移った生徒がいます。もっと勉強したい、高いレベルで勉強したいという思いがあり、テストで十分な力があると判断したので移りました。子どもは、どこでスイッチが入るかわかりません。スイッチが入って、打ち上げられたロケットのようにものすごい勢いで伸びていく子もいるので、スイッチが入った時点で可能なかぎり対応していきたいと考えています」(下平校長先生)

創部2年目のチアダンスクラブが全国大会出場!

同校では、2021年度にチアダンスクラブを創部。現在、1年生4人、2年生4人で活動し、6月に行われた関東大会ではSONG/POM部門Small編成で第1位通過となり、全国大会進出が決定した。1年生から彼女たちの活動を見てきた顧問の高橋先生は、2年生になって意識がガラリと変わったと語る。

「去年は2つの大会に出場し、1つ目の映像審査で1位になって喜びを感じました。しかし2つ目の会場でパフォーマンスをする大会では、予選を突破することができなかったのです。その悔しさが彼女たちの意識を変えて、もっと頑張ろうという気持ちが芽生えたのだと思います。今年度は新入生が4人加わって、人数が倍になりました。目標を高く持ちながら、楽しく練習しています」(高橋先生)

数々のチームを全国優勝や全米優勝に導いてきた北久保みゆき氏をヘッドコーチに迎え、メンタルコーチやダンスコーディネーターなど、各分野のプロフェッショナル5人で指導にあたっている。

「クラブの中には、先頭を切って練習する子、苦手意識を持っている子など、様々なタイプの生徒がいます。メンタルコーチは、自信がなくてどうしようかなと躊躇している子をサポートして、気持ちを押し上げるのが上手です。それぞれのコーチが得意分野で、子どもたちをサポートしています。5人のコーチもコミュニケーションをしっかり取って、教員とも細かい部分を確認しながら進めてくれています。保護者ともコミュニケーションを取りながら、チームとして一丸となって頑張っています」(高橋先生)

チアダンスクラブでは、創部当初から人への感謝の気持ちを忘れないことを大切にしているという。

「いろいろな人との関わりの中で、部活動ができていることを忘れてはいけないと伝えています。例えば、本校では月曜日は部活をやらないルールがありますが、大会前は特別に練習させてもらっています。高校生が使う予定だった練習場所を、使わせてもらったこともありました。みんなで一緒に練習できる時間にも感謝し、そういったことを大切にしていると充実感も変わってきます。そして、後輩が入ってくるにあたり、生徒たち自身でルールを考えました。全国大会という目標も、生徒たちが決めたことです。自分たちで思ったことでなければ、実現できません。主体的に動けるチームになれるように、生徒たち自身で考える環境をつくり、そこから引き出されたことは全力でサポートしていきます」(高橋先生)

▶︎チアダンスクラブ顧問 高橋美紀先生

高校の吹奏楽部での活躍も視野に入れた新たな展開へ

東海大学菅生高等学校の吹奏楽部は、全日本吹奏楽コンクール高校の部で3大会連続の金賞を達成するなど、強豪校として知られている。2022年度から、高校の吹奏楽部で顧問をしていた佐久間先生が、中等部の顧問となって活動を開始した。

「1学期は基盤づくりの時期です。夏までに、考え方や練習の向き合い方を浸透させます。夏ぐらいになると、こうしたいとか、これができるようになりたいなどという気持ちが出てきて、上達も早くなります。目標ややるべきことは目で確認できるように、毎回ホワイトボードに書き出します。自分たちで目標を考えたり、私が絶対やってほしいことを書いて、それ以外は各自工夫して練習するのが基本です。音楽は、やらされるものではないと思っています。音楽は『音を楽しむ』と書くことからも、まず自分で考えてどうしたいかという発想がないと、曲に対する捉え方や解釈も模範解答を求めるようになってしまうでしょう」(佐久間先生)

現在、「コラール」(賛美歌)と世界遺産をベースにした「アルタミラ」という2曲を練習しているという。

「夏休み中に、保護者に披露できたらいいなと考えています。これまでは、発表の場が文化祭しかありませんでした。人前で演奏する機会がないと、度胸もつきません。やはり、練習と人前で演奏するのは全然違います。野球の試合に出たことがないと、ホームランが打てないのと同じような感じです。今年度からは、高校生と一緒に発表の場に出る機会も作っています。4月に高校主催のスプリングコンサートで一緒に演奏したときは、中3から見ると、少し前まで中学生だった先輩が上手に演奏しているので、よい刺激になりました。11月には定期演奏会があるので、そこに合流することも目標です」(佐久間先生)

高校の吹奏楽部を見てきた佐久間先生は、演奏技術だけではなく、中学の3年間で人間力も育み、高校で戦力になれるように育てたいと語る。

「例えば、技術面で壁にぶつかったときに解決する力です。練習していくうちに、一生懸命に練習しているのにうまくならない、基礎練習ばかりでつまらない、といった感情が沸いてきます。『自分はこんなに練習しているのに他の子はやってくれないので、どうしたらいいですか?』などと、中学生はすぐに答えを求めがちです。そんなときは、『あなたはどうしたいの?』と聞き返すようにしています。自分で考えて、それを言葉にすることが大切です。思っているだけでは、何も変わりません。何を考えていてどうしたいか、言葉にしてみたら方向が一緒かもしれないのです。部活のルールも、顧問が決めるのではなくみんなで決めています。1つ1つにどんな意味があって、どのような意識でやるかを考えます」(佐久間先生)

吹奏楽部は敷居が高い、楽譜が読めないから無理だと思っている児童に向けて、佐久間先生は次のように語った。

「新しいことを始めたい、新しい価値観を見つけたい、人間的に成長したいという思いがあるなら、ぜひ入部してほしいです。楽器の経験がなくても、楽譜が読めなくても気にしなくて大丈夫。中学で初めて楽器に触れた子も、かなり上達しています。必ず3年間で育てて高校に送るので、高校でも充実した日々を送れると思います。入部したら後悔させません!」(佐久間先生)

▶︎吹奏楽部顧問 佐久間綾先生

<取材を終えて>
チアダンスクラブでは、各分野のプロフェッショナル5人がコーチとして集結し、技術からメンタルまできめ細かくサポートしている。吹奏楽部では、佐久間先生が正しい姿勢を作れていない生徒に、スマホで撮影した画像を見せて改善につなげるなど、きめ細やかな指導が印象的だった。「一貫進学コース」で内部推薦を目指せば、より部活動に力を入れることが可能となるので、部活動のサポート体制などにも注目していただきたい。

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