スクール特集(報徳学園中学校の特色のある教育 #3)
自分の長所を自ら伸ばす報徳教育~新しく「特色入試」もスタート~
文武両道を基本とする独自のきめ細かい学習指導により、近年国公立大、難関私立大をはじめ各大学への進学実績を伸ばしている報徳学園中学校の教育とは?
明治に創立した男子伝統校、報徳学園中学校。二宮尊徳の報徳思想を教育理念に、社会に貢献する人を育成しています。
武庫川を望む緑豊かな校舎、周辺は閑静な住宅街です。さらに2011年に創立100周年を記念し新校舎が完成、ICT教育のための施設も充実――抜群の教育環境のなか、生徒たちは学習に部活にのびのびと励んでいます。
学園では、生徒一人ひとりの進路志望に応じたコース制カリキュラムや、文武両道を基本とする独自のきめ細かい学習指導により、近年国公立大、難関私立大をはじめ各大学への進学実績を伸ばしています。
中学入試制度も、これまでの入試に加え、新しく「特色入試」がスタートしました。学力試験では測れない受験生一人ひとりの特技や才能、実績を、「特色入試」によって積極的に評価します。
報徳学園の教育の特色について、住友正博校長先生にお話をうかがいました。
報徳学園中学校・高等学校校長 住友 正博先生のお話
中高6年間で大きく伸びる報徳生
報徳学園の6年間で、生徒たちは大きく伸びる。それが本校の教育の大きな特色です。小学校時代はごく普通の成績だった生徒が、本校入学後に学力が伸長し、国公立大や難関私立大に進学しています。
本校では、生徒が自分の長所に気づき、自ら伸ばしていくよう指導します。高校卒業後の道も、自分の長所や興味・関心の延長上にあるものとして、進路指導を行います。大学進学実績は、こうした教育方針の成果と受け止めています。
この教育方針の根本にあるのが、学園の教育理念「以徳報徳」です。自分の長所(徳)を以て世に報いよという、二宮尊徳の「以徳報徳」の教えが、そのまま本校の教育理念です。
社会に尽くす人になるためには、まず自分の長所を知り、それを高めなくてはなりません。本校の6年間で、自分のよさや得意なこと、興味・関心を見つけ、自ら伸ばしてほしいと思います。
受験生の長所を評価する「特色入試」
2016年度入試から新たに開始した「特色入試」は、学力試験では測れない受験生の一人ひとりの長所を、積極的に評価するものです。
特別な資格などの規定はありません。小学校において、児童会活動や地域活動、学習、スポーツ、芸術などの分野で活躍し、本校を第一志望とする受験生を募ります。
本校では多様な生徒を求めています。入学後はスポーツや芸術、生徒会活動など、自分の得意分野で力を発揮してほしい。学校としても応援し、本人の活動や学習をしっかりとサポートしていきます。
「特色入試」の内容
総合問題(50分)、作文(50分)、親子面接(15分程度)を実施します。
総合問題では、国語と算数それぞれ小学校で学んだ基礎レベルの問題を出題します。作文は400字から600字程度で、いくつかのテーマより一つ選んで書きます。これまで努力してきたことや自分の長所など、作文や面接で積極的にアピールできるようにしてください。
小学校時代は好きなことに打ち込んでいたため、受験準備が間に合わないという子どももいるかもしれません。「特色入試」では、小学校の基本的な学習と、生活習慣がきちんと身についていれば大丈夫です。受験準備が万全でなくても、秀でた得意分野を持つ子どもは、ぜひ「特色入試」にチャレンジしてほしいと思います。
進路志望に応じて2つのコースを設置
本校では、生徒の長所を伸ばすという教育方針にもとづいて、一人ひとりの進路志望に対応する2つのコースを設置しています。
「Ⅱ進コース」は、難関国公立大や医歯薬系をめざし、高いレベルアップを図ります。「Ⅰ進コース」は、国公立大・難関私立大をめざします。勉強も部活もがんばりたい生徒は、こちらのコースで学びます。中3の時点で、成績により「Ⅱ進コース」に移ることもできます。
「Ⅱ進コース」の生徒も、自由に部活動を行っています。本校は創立以来、文武両道の方針です。年間を前期・後期に分ける2期制により、授業時間数を多く確保しており、部活に励みながら勉強もしっかりとできます。
ただし「Ⅱ進コース」は、将来の進路に向けて勉強をがんばる生徒たちのためのコースです。なかには高校に進む時点で、活動の少ない部活に移る生徒もいます。
一方、「Ⅰ進コース」では、6年間部活を続けながら国公立大学に進学する生徒もいます。そうした生徒のために、中3から「Ⅰ進選抜コース」を設置しています。
きめ細かい学習指導を行う「Ⅱ進コース」
「Ⅱ進コース」では、学習指導を手厚く行います。7時間目も授業を行うことで、授業時間数をさらに充実させています。授業はⅡ進専門の教員が担当し、生徒一人ひとりの学習状況をしっかりと把握したうえで、本人に合わせて個別指導を行うなど、きめ細かく教えます。
毎朝各教科の小テストを行い、理解が不足している生徒は放課後に補習を実施します。教員は生徒一人ひとりが「わかる」「できる」まで教えます。生徒たちは、基本的に塾や予備校に行かずに受験準備を行っています。
報徳式の学習合宿は中高5学年合同で
コース別に、学習合宿を行っています。中学1年から高校2年の5学年合同で行うという、本校ならではの合宿です。ともに学ぶことで、中学生は高校生に自分の将来の姿を重ね、先輩を目標として頑張ります。高校生も後輩の見本となれるよう頑張ります。
さらに「Ⅱ進コース」の合宿では、OB大学生も参加し、チューターとして後輩の面倒をみます。高校生たちには、大学生の先輩がお手本になりますね。男子はそうやって先輩を目標にすることで、自ら頑張ろうという意欲が生まれます。
「Ⅱ進コース」学習合宿のオープン講座
「Ⅱ進コース」の学習合宿では、学年を超えてともに学ぶオープン制の講座を取り入れているのも大きな特徴です。午前中は学年別に学習し、午後はオープン制の講座を実施します。
講座の種類も豊富です。数学や理科などの演習講座、古典文法、文学史、世界史、英語の入試チャレンジ、ネイティブ教員による少人数制英作文、英語リーディングマラソン……自分の伸ばしたいところや弱点補強など、各自で講座を選びます。
オープン制なので、中学生や高校生の区別もありません。中学生でも学習の進んでいる生徒は、高校生といっしょに受けることができます。基礎を学びたい生徒も、中高ともに受けます。
自分の長所や弱点を認識し、自ら対処できる生徒を育てたい。オープン講座も、こうした方針によるものです。学年の枠を越えた講座制は、今後合宿以外にも広げていきたいと考えています。
「Ⅰ進コース」はキャリア教育が充実
「Ⅱ進コース」は、中学入学の段階で本校卒業後の進路目標がはっきりとしており、生徒が共通の目標に向けてともに学んでいくコースです。それに対して、「Ⅰ進コース」では、学園独自のキャリア教育・CDE(Career Development Education)に力を入れています。中高6年間かけて系統的にCDEを積み重ねながら、将来の進路について考えます。
LHR(ロングホームルーム)の時間を利用して、月1回CDEを行います。発達段階に応じて学習を進め、働くことの意義や社会貢献について考え、世の中の職業について知り、自分の興味・関心や「働きたい」という意欲を育てます。
生徒が中心となって学ぶキャリア教育
生徒が主体となって活動的に学ぶ“アクティブラーニング”も意識してCDEを行っています。これまで企業との連携教育などに取り組んできました。企業にテーマを与えてもらい、調べ学習やグループでの話し合い、発表を行います。また、グループごとに話し合ってテーマを決め、討論や発表などにも取り組みます。中学3年生は、将来なりたい職業について調べて、発表を行います。
高校では大学の研究室を訪問したりして、具体的に大学・学部について考えていきます。入試制度など、自分の目標に必要な情報を自ら集め、それを活用する能力を養います。
中学1年生という早期からCDEをスタートし、継続的にきめ細かくキャリア教育を行い、卒業後の進路選択に結びつけていく。こうしたキャリア教育も、長所や興味・関心に自ら気づき、自ら伸ばすという本校の方針にもとづいています。男子教育として、自分の将来を自分でつかみとらせたいと思います。
新校舎は設備が充実、ICT環境も完備
創立100周年記念事業として建設した新校舎は、美しく快適です。ICT教育への対応として、電子黒板、プロジェクターを全教室に完備し、ネット環境を整えました。今後は全生徒にタブレット端末を導入したいと考えています。
体育施設も充実し、人工芝のグラウンド、テニスコート4面、ギャラリーの完備した体育館、トレーニングルーム、武道場、相撲場・弓道場があります。
図書館と併設の自習室では、図書資料を利用した学習が可能です。机もブースに区切られ、集中して勉強できます。高校生は夜8時30分まで自習室を開放し、部活後の勉強もできます。
東大、京大、神戸大などに合格
はじめにお話ししたように、本校は中高6年間で生徒を大きく伸ばす学校です。Ⅰ進・Ⅱ進ともに、6年間で偏差値が10以上伸びる生徒もおり、進路の夢をかなえています。
近年の大学合格状況は、東大、京大、大阪大、神戸大、北海道大、広島大、千葉大、岡山大、帯広畜産大、滋賀大など、全国の国公立大に合格しています。医学部・薬学部にも進んでいます。私立大は関関同立に多数合格をはじめ、関東エリアでは早慶、東京理科大学、青山学院大、中央大、明治大、立教大など難関大学に合格しています。
熱意ある教員が男子の成長を支える
生徒たちは直線的に学力が伸びるわけではありません。伸びるタイミングもそれぞれ。また、男子が大きく変わるのは高校に進む時期ではなく、中2です。中2から中3にかけて大きく成長します。さらに、高校生になると身体もすっかり成長し、おじさんのように貫禄が出てきます(笑)。
本校の教員は、そうした男子の成長をよく理解しています。そして、みな教育熱心です。私たちは、6年間の成長を温かく見守り、ときに厳しく指導し、本校の伝統である人間教育、心の教育を重んじながら、自身の徳=長所=を自ら伸ばす生徒を育てていきます。
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