スクール特集(滝川中学校の特色のある教育 #3)
新コースの次は2024年春、共学へ。変化と挑戦で、次世代の教育を展開。
新コース制がスタートして1年。医学部医学科進学・語学留学・探究と各コースの特徴が明確になり、2024年春からは共学化して次のステージを目指す。進化を続ける新しい滝川教育についてお聞きした。
学びの軸が明確化した新コース制について
新しい3つのコースでは、医学部医学科進学、語学留学、探究活動とそれぞれに特徴が際立つよう、メリハリをつけたカリキュラムが組まれている。
特に医進選抜コースは、最難関医学系大学・学部への進学を目指すことを目的とするため、部活動はできないが、その分、コースそのものでクラブのような連帯感が育めるように意識してスタート。平日の放課後は16:30~18:30に「滝川メディカルゼミ」と題した講習を全員受講し、隔週土曜は課外授業として、医療に関する体験型プログラムが用意されている。
「土曜は校外で医師としての使命感を育む体験を重ねていますが、その中で早くも仲間意識が強まり、クラス自体がひとつのクラブのような雰囲気になりました。授業中は緊張感がありますが、放課後の滝川メディカルゼミはリラックスしたムード。質問したり、教えあったり、切磋琢磨しながら勉強に向かっている姿を目にし、私も感心しています。勉強が習慣化されたことで、成績が上がっている生徒も増えました(下川校長)」
中学3年生で3カ月のニュージーランド留学を行うScience Global一貫コース(以下SG一貫コース)は、国際社会で活躍できる新時代のリーダーを目指す。高校でも短期留学が可能で、6年間を通して、世界のスタンダードを感じながら、自身の将来像を描くことができる。
ミライ探究一貫コースでは、6年間を通して独自の探究活動を軸として、英語運用能力や主体的な行動力を育む。それぞれのコースの特色がはっきりしたことで、お互いを刺激する横のつながりも生まれてきているそうだ。この春からは2期生が入学した。次はコースの特性を活かしながら、先輩後輩といった縦のつながりを強化したいと話してくださった。
▶︎下川校長
2024年春からは女子と共に
100年以上の伝統がある滝川中学高等学校は、2024年春からの共学となり、新しいステージを目指すこととなる。「医学部医学科進学や留学がなど、やりたいことがはっきりしている女子には、とくに本校をおすすめしたい。チャレンジしたい気持ちに応えたいですし、遠慮せずにどんどん力を発揮してもらいたい」と下川校長はコメントする。同校の理念であるリーダーシップ教育を女子に学んでもらいたいと意気込む。
さらに「本校は海外留学プログラムが充実しています。中学や高校で留学を希望する女子には、ぜひ中学3年での3カ月ターム留学を体験してほしい。日本が当たり前ではありませんし、世界のスタンダードを若い感性で体感することが大切です。10代の間にどんどん世界を体験してもらって、グローバルに活躍するリーダーを同校から輩出したいですし、その思いに性差はありません。また世界で活躍することはもちろんですが、地元神戸や日本を活性化してほしいという気持ちも強い。神戸は先端医療技術の開発を軸とした『神戸医療産業都市』を推進しています。将来的に地域医療の活性化に携われる人材に育ってくれればうれしいです」と目指すイメージを語ってくださった。
メディアでもよく取り上げられるが、世界のジェンダーギャップ指数などからもわかるように、社会でリーダーシップを発揮できている女性の存在は、日本ではまだ少ない。下川校長は、女性の活躍を後押しできる学校として、ともに歩んでいきたいとまとめられた。
保護者が気になるコースの選び方
入試広報部の伊瀬知先生からも、今後の滝川中学高等学校の教育についてお話を聞いた。3コースのうち、子どもに適したコースをどのように選べばよいかは、進学相談会でもよく聞かれるそうだ。
中学受験の段階で医者や医学の方へ進みたいと志している場合は、自信を持って医進選抜コースを進めるが、小学生高学年の児童では、そこまで将来が決まっていない場合も多い。将来は決まっていないけれど、海外で経験を積みたいという場合にはSG一貫コースをすすめられるそうだ。
入試広報部としても新コース制開始から1年が経ち、それぞれのコースの特性がはっきりしたことで、説明がしやすくなったという。基本的には医学部医学科を目指すか目指さないかで、大きく分けて考え、その上で3カ月のターム留学をポイントに決めてほしいとのことだった。
留学についての質問も多いとのこと。SG一貫コースは中学3年でのターム留学のほか、高校でのセブ島短期留学、修学旅行でのシンガポールと6年間で3回、海外が体験できる。とくにこのコースは修学旅行ではシンガポール大学で英語でプレゼンをするなど、その度に英語運用力の向上を目的とした取り組みが充実している。
女子の2024年入試では、中学で医進選抜コースとSG一貫コース、高校はSGコースで募集が行われる。とくに理系カリキュラムは充実しているため、将来理系に進学したい女子にはおすすめとのこと。また留学を希望される場合はSG一貫コースをおすすめし、高校で具体的な進路に向けて文理選択をしてほしいと説明された。
また昨今は安心安全について保護者からの質問が増えているという。滝川中学高等学校の場合、公共交通機関で通学しやすく、とくに最寄り駅となる「板宿駅」を降りてからは、地元の板宿商店街を通って徒歩5分程度で登校できるため、ひと目も多く安心感も高い。
医進選抜コースは平日は放課後18時半まで勉強する。ほかのコースにも放課後の学習サポートがあり、さらに外部の教育機関と提携した校内塾『Takigawa plus』が設置されている。学外の塾を使わなくても学内で+αの勉強ができる環境があることは、時間の効率もよく、登下校の安全面でも安心だと感じた。
▶︎伊瀬知先生
【取材を終えて】
100年以上の伝統がある男子校が共学へ舵を切る。地元ではインパクトのある話題だ。さぞかし覚悟も大きいに違いないと思っていたが、下川校長からは気負いよりも期待が感じられた。時代をよみ、今、必要なことを積極的に取り入れる姿勢は、下川校長の今までの取材からも感じていたが、今回の共学化でも同じようだ。そこにあるのは、性差なく滝川の教育を届けたいというシンプルな思いだ。
下川校長が赴任したのは2020年。以来、新コースへの改編、制服のモデルチェンジ、そして共学と、滝川中学高等学校はどんどんと進化している。下川校長が先頭に立ち、答えのない時代に求められる教育の在り方に対して、学校として問を立て、伝統を活かした答えを提示している。その改革は現場の先生方のがんばりや熱い思いがあってこそ。現場の先生方の情熱に頭が下がると、下川校長は感謝の意を表していた。来春から共学化によってさらに多様な個性が集まる滝川中学高等学校、次の進化は何だろうか。