スクール特集(四條畷学園中学校の特色のある教育 #8)
3年コースに特化!他の難関国公立・私立高校への進学を目指す私立中学校
入学して3年後には高校受験!?限られた3年間だからこそ、生徒・教師・保護者が一丸となって中学校生活を送ることができる四條畷学園中学校。校長代理企画部長の中司先生にお話を伺った。
「3年後に全員が受験する!」大阪では珍しい私立の中学校である。この10年間の学力の推移を見ても、外部模試において平均で8ポイント偏差値が上昇している。受験前の説明会でもリピーターが続出すると話題である。創立からの教育理念である「人をつくる」に基づく教育には2つのテーマがある。1.「実践躬行」単に知識を身に付けるだけではなく、実際に行うことによって習得すること。2.「マナーズ・メークス・マン」礼儀正しさや態度が品性・人格の備わった人を作ること。12歳~15歳までの中学校生活において「知性」と「人間性」を育みながら自分らしさを見つけ輝かせていく。個性の尊重、明朗と自主、実行から学べ、礼儀と品性、近い未来の目標を共に切磋琢磨しながら学んでいこうとする精神である。どのように学力を伸ばしているのか、どのように個性を伸ばしているのか、中司先生に語ってもらった。
「発展文理クラス」と「発展探究クラス」で難関国公立・私立高校への進学を目指す
受験することを見据えて「発展文理クラス」と「発展探究クラス」に分かれている。
「発展文理クラス」とは、入学時より学習にウェイトを置いている学習意識の高いコースである。クラス替えがほぼなく、同じメンバーで切磋琢磨して、自分自身の学力向上に努められる。進学先は、大阪府立高校の文理学科が50%、難関私立高校が50%となっている。結果にコミットするする中学校として評価を得ており、私立中学校にもかかわらず内申点が高く、大阪府立高校の文理学科に強い。大阪府のチャレンジテスト等においてもトップクラスの評価を得ている。また英語検定2級を取得している生徒も多いのが特徴。
「発展探究クラス」は、挑戦を楽しむことができて活気のあるクラス。こども達一人ひとりのモチベーションを高め、主体的に行動できるようにサポートするクラスである。様々な能力を持つクラスの生徒達に向け、より学びあいによるアクティブラーニングが効果的に活用されている。
進学先は、大阪府立文理学科&公立トップ校が30%、難関私立高校が40%である。ここ数年は、前述のコースを上回る勢いで急成長する生徒達が増えているのが現状だ。
もちろん、入学してからの年度末には、文理クラスから探究クラス、探究クラスから文理クラスへのコース(クラス)変更も希望性で可能になっている。
発展探究クラスでは学びを豊かにする「探究活動」が週 1時間確保されている。生徒達が自分で問題を設定し、自分で調べ、自分で考えることによって主体的・対話的な学びを行っている。3年生時にはそれぞれの目標・進路に向けて仲間と共にアクティブラーニングが活性化される環境となっている。
▶︎校長代理企画部長 中司先生
生徒を支える教師陣にもスポット!「教員推し」が今年のテーマ
この状況の時はこの声かけで、このシチュエーションで、答えを教えるのではなく、チームワークでキャッチボールをするなど教師一同で見守る。きめ細やかなサポートの裏には、モチベーションを上げる為に生徒達と面談を行っているとのこと。毎日実施している「日直面談」がある。主に担任の先生と1対1で話をすることによって、距離がぐっと縮まる。あらゆる休み時間や放課後に時間を割いているので、それが日常茶飯の光景となっているのが利点だと中司先生は言う。中学期によくあるが、「友達が先生に呼び出されている」「真面目な顔で深刻な話をしている。何か問題があったのかな?」と悪い方向へ勘ぐってしまうのが常だがそれが全くない。「今日はあの子は真面目に話をしているんだな」「二人すごく笑っているな」と当たり前の風景に感じている。また、他の生徒も面談をしている生徒と上手に距離を取ることができるようになるとのこと。
学校説明会のPR動画を見せて頂いた。学園生活の風景を撮影するため、先生が生徒達にカメラを向けても、逃げて行ったり、会話を中断したりせず、そのまま自然に普段通りの姿を披露している所に距離の近さを感じた。
このように、生徒達とキャッチボールをしながら距離を縮める。生徒一人ひとり寄り添い、個々の最終目標を設定する。方法は十人十色異なるが、その時その時、ポジティブに過ごせるように教師陣を配置していると中司先生がおっしゃったのは印象的だった。
学校としてキーワード、「探究」「ICT」「グローバル」がある。教員全員がどの場面においてもキーワードを念頭に置き授業が実施されている。
今回は「探究」についてのお話しを詳しく聞いた。生徒達が「考えるようになる為にどうしていくか?」の問いかけに対して、洗練されつつあるとのこと。その結果として、こども達が自然に考えて自ら導き出すようになる環境にある。
大前提は「絶対に否定しない」。「何ゆうてんねん!」という事がまずない。いわゆる、思春期時期の生徒達は、もちろんアイディアが柔軟なので色々浮かんでいて、例えば10個ぐらいアイディアが浮かんでいても、アウトプットする、行動する際は、自然に「これを言ったらダメだな」とか「これを言ったら変に思われるな」と考えてしまい、1割ぐらいしか外に発していない可能性がある。そこを教師の聞く力で、その子の考えているその半分以上は引き出せているのではないか。例えばチャイムがならない→なんでチャイムがならないのだろう→時間を自分でわかっていないといけない→自分で時間の管理ができるように意識するためなど、日々自分で考えられるよう仕向けている。それが習慣化される事で自然にあらゆる場面を思い浮かべられる生徒になる。「先生に言われたから」とか「友達に言われたから」と言う回答はほぼないとおっしゃっている。生徒同士の会話であっても、例え無謀な夢を語ったとしても絶対否定する方向へ会話を導かないよう、そこはしっかり指導しているとの事。
また、1学年約140名という生徒数のバランスが絶妙であると中司先生は話す。教員の配置ができており、こども達の事が隈なく把握しやすいとおっしゃる。
例えば生徒達が職員室に来る事にあまり躊躇することがないのも自慢の一つ。校長先生をはじめ、先生方も職員室の前を通る子には必ず声をかけるようにしているそうで、そこで他のクラスや担当教科以外の子の事も馴染みになることができ、絶妙な一体感が生まれるそうだ。
教師との距離が近い分、生徒からの忖度ない率直な意見多々を聞く事も。「先生この授業のここがわかりづらい」「今日の授業のあの場面はあかんかった」「先生授業に1分遅れたけど」とリアルな指摘が入る事もある。これは、生徒たちができているから先生にも指摘ができるし、信頼関係があるからこその意見である。言ってくれることに対して辛辣ではあるが嬉しいし、甘えられない分教師陣も成長し続けられる良い機会になると捉えているそうだ。
「人」を育てるという教育理念と心を強くする「幸せになる考え方」
創立からの教育理念である「人」をつくる理念に基づく教育。心の部分である人間形成の部分を最も大切にしており、強い気持ちをもって生徒達と歩んでいる。
卒業生が週2、3人は訪れている。様々な年齢で、高校生・大学生・社会人問わず来てくれる。特に、とても大切な人生の岐路に立った時に相談に来てくれる。気軽に相談できる相手が家族・友達の次に卒業した学校の先生になっているのは本当に嬉しい。
3年間の短い付き合いではあるが、人をつくる素となる種を植えるには短くないと熱く語る。生徒達にとって意義のある中学校生活となっていると想像できる。
学歴は結果だが、学力は結果ではなく、学ぼうとする姿勢が「学力」であるとのこと。高校に行ったとしても、行かずとも、両者の学力は同じこともあると中司先生は話す。
卒業生としゃべっているとよくわかることがある。「人」としてどうなんだ?という事を学んだ分、卒業してからもその考えに基づいて進路選択をしているのだなという場面に出くわすそうだ。最終目標はみんなが「幸せになること」。進路についても生徒達と保護者が将来に向け納得することが大切。例えば成績が良い子にそれ相応の偏差値の学校を勧める事はまずない。進路を操作しないので、年度によって進学実績に差があるのはそういう理由であると言及された。
<取材を終えて>
この中学校の良いところは、学力を伸ばすだけではなく「人をつくる」基礎が習得できること。個性を伸ばす教育で、人生の可能性を広げ、社会貢献できる人を育てる。その為、担任の先生のみならず、数々の先生が関わっておられ、良き理解者であることが、生徒達が大きく羽ばたける安心材料になっているのだろうとお話を聞いて感じた。また生徒達の情報が先生同士できっちり共有されているのが強みである。こうした関係性が生徒達の琴線に触れ、「人」として必要な「幸せになる考え方」を3年間で習得できるのではないかと思った。これからの長い人生で躓いた時に、思い込み、過度な恐れや不安、誰かと比べる癖、劣等感を感じてしまい自分はダメだと否定してしまう事が多々あると思うが、この学園で育った子の考え方はこういった「隣の芝生は青い」思考ではなく、今までの自分と比べて成長できたかを考える思考力を日々の日直面談や生徒同士や先生との話で自然と身に付けられる環境にあるなと感じたインタビューとなった。