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四條畷学園中学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(四條畷学園中学校の特色のある教育 #5)

3年後に自分で進路を選択できる学力と目的意識を持った生徒を育てる3年コース

「人をつくる」という教育理念の元、先駆的なグローバル教育や探究学習を積極的に取り入れた6年一貫教育を実践している四條畷学園。2021年度より3年コースに絞った新体制の中学校がスタートする。

大正15年の創立以来、「報恩感謝」の精神と「実践躬行」「マナーズ・メークス・マン」という教育理念の元、実践から繰り返し学ぶ力を備えた、品性人格の備わった礼儀正しい人をつくる教育を目標としてきた同校。創立者の「教育とはただ知識を教えるものではなく、立派な人を育てるためのものだ」という強い信念ある建学の精神に立ち返り、3年後に生徒自らが進路選択をできる「3年の私立中学校」として新たに扉を開く。その背景と特色について、副校長 堀井清史先生と企画部長 中司延亮先生に話を聞いた。

自分で進路を選択できる力を育てる「3年コース」

「四條畷学園の教育の根幹にあるのは“実践躬行”と“マナーズ・メークス・マン”の精神。創立100周年を6年後に控え、“人をつくる”という教育理念に立ち返り、変化が激しく複雑化した今の時代を生き抜くための力を持った人を育てるためには、どういう教育をするべきかを考えた結果が『3年コース』に絞り、凝縮した教育に取り組むという改革でした」と語る堀井先生。

長い歴史を誇る同校では、1998年から国際コース(APEXコース)を開設。外国人教師による英語教育、国際理解教育をスタートさせ、語学学習を中心に異文化理解、目的意識を持った生徒を育てる教育活動に先駆的に取り組んできた。2008年までの10年間続いた国際コースでの“リーディングコミュニケーション”という英語教育のシステムは今も引き続き実践され、ネイティブ教員と日本人教員によるチームティーチングで特別授業を展開している。

その後、2010年からスタートした6年一貫教育では探究の授業を積極的に展開。“自分プロジェクト”で主体的に課題解決に向き合い、思考力や判断力、表現力を養って目的意識をしっかりと持った生徒を育成。6年一貫教育での探究学習も10年間の取り組みの中で独自メソッドを切り開き、主体性を育む指導を行ってきた。

そして今回、グローバル教育と探究を中心とした6年一貫コースをそれぞれ10年間続けてきたことで蓄積された四條畷学園オリジナルメソッドを活かしつつ、3年後に自らの道を自分で選択できるたくましい子どもに育てるための「3年コース」1本に絞った改革を実施することとなったのだ。

「今回の改革にあたり、探究学習などは6年あった方が一貫した教育ができるのではないかという意見も出ました。小学校から中学校に上がる際の学校選びでは、子どもにまだ明確な目標が定まっていないことも多く、親の意向が強く反映されるケースが大半です。しかし、心も身体も大きく変わる思春期の3年間。ここで次の進路を決めつけてしまうことなく、新たなスタート地点として自分の進路選択ができる生徒に育ってほしい。あえて3年コースに特化することで、社会に出る前に“受験”というハードルを自分で乗り超え、自信を身につけて社会に出て行き、可能性を存分に広げてほしいのです。将来、変化の早い多様化した社会の中で活躍していくためには、自ら考えて、動ける力を持つことが何よりも力になるはずです。これまでの6年一貫コースで培った探究教育メソッドを3年間ですべて詰め込んでやっていくのは難しいことだと思います。しかし、物事への取り組み方や姿勢、意見を言うことの大切さ、聴く、話す力の表現を目指した活動は、授業だけでなくさまざまな行事でも探究学習を取り入れていくことを考えています。どんどん新しい力を吸収して、物事に自分で立ち向かっていける力を身につけてほしいと願っています。教職員のエネルギーも3年コースに特化することで、一つに凝縮させて取り組んでいくことができると考えています」と堀井先生。

▶︎副校長 堀井清史先生

これまでのメソッドを活かし、より進化した探究学習へ

新しい3年コースでは、これまでの6年一貫コースで培った探究学習メソッドを取り入れて、より充実した内容に進化させていくという。自分たちで考え、興味を持つものに対して調べたり、学んだり、繰り返したりすることで主体性を育んでいく。

「3年という限られた時間の中なので、タブレットを使って時間を有効に活用しながら探究の時間をつくっていきたいと考えています。朝の読書タイムをこれまでやってきたが、一人ひとりがタブレットを持つようになったことで、読書タイムは別の方法を考えることもできますし、今後はこの朝の時間を探究学習に変えて行こうかと検討中です。学習面では結果を急ぐあまり最短距離を走らせようとしがちですが、時には寄り道をさせる探究学習に時間をたっぷりと使って、3年後に大きく羽ばたける力を身につけてほしいと願っています。今のところ総合学習として取り組むのは発展探究クラスで行なっていく予定ですが、ゆくゆくはクラス編成も一本化して、難関校を目指しつつも、偏差値教育に偏ることなく探究学習を深めていけるカリキュラムを構築していきたいと考えています。例えば、自分たちの進路について探究するのもいいでしょう。自分たちで得た知識を両親にプレゼンテーションすることで、より将来の目標への認識、理解を深めることができるでしょう」と堀井先生。

「授業だけでなく、学校行事の中でも学年を超えた縦の繋がりを意識して、どんどん探究学習に取り組んでいきたいと考えています。縦割りの探究学習としては、これまでも耐寒オリエンテーリングがありましたが、これは新体制でも続けていきたいと思っています。学習面でも、上級生が下級生に教えるといった経験が相互に効果をもたらし、学習へのモチベーションアップに繋がると思っています。校内で学び合いの場を自然と生み出すような機会、環境をどんどんつくっていきたいですね」と中司先生。

▶︎企画部長 中司延亮先生

「発展探究クラス」と「発展文理クラス」それぞれの特色

「学力は高校2、3年生でグッと伸びる生徒もいますが、急に力がつくわけではなく、中学3年間での土台づくり、積み重ねが大事になります。だからこそ、この大切な中学3年間に学びの基礎をギュッと絞り込んで、高校生になって何をどうすればいいか考えられる力を身に付けられるよう指導しています。3年間でしっかりと学んできた自信があれば、新たな問題が立ちはだかった時に自ら考えて切り抜けていけるはずです。個性が尊重されるこれからの時代は、3年教育のニーズがますます増加してくると思います。6年一貫教育を否定するわけではありませんが、自らの目標に向かってより最適な進路を自分自身で選んでいくという時代です。これがあえて3年コースに立ち戻ることの意義です」と中司先生。

新たな3年コースでは、これまでの「英数コース」に相当する「発展探究クラス」と、「英数発展コース」に相当する「発展文理クラス」の2つがある。「発展探究」が3クラス、「発展文理」が1クラスの編成になっている。

「各クラスの特色を簡単に言えば、発展文理クラスは難関校進学を目指している、進路目標がはっきりしている方に選択していただくクラスとなります。発展探究クラスよりは少し学習進度が早くなりますが、タブレットを活用した効率の良い授業展開で本当に必要な時間を生み出し、子どもたちが自ら学べる時間を上手につくっていきます。発展探究クラスは、総合学習の時間に探究学習を取り入れ、失敗も経験した上でPDCAを繰り返し、実践から学んでいくということを大切にしていくカリキュラムを組んでいきます。ただ、どちらのコースも3年後には高校受験をすることが前提となりますので、中学受験の際にはまだ力がなかったけれど、3年後には中学進学段階では考えられなかったような難関校への進学も可能なくらい実力を伸ばせるように、手厚い学習指導と進路サポートをしていきます」と堀井先生。

学習進度の違いがあり、成績状況がある程度は関係してくるものの、各クラスは途中変更も可能で、年度末には希望変更の門戸を開くとのことだ。

緻密なデータと手厚いサポート体制で実績を上げる進路指導

従来の3年コースでも国公立校、難関私立校への進学実績を着実に積み重ねてきている同校。3年間で学力を上げる秘訣は、非常にアットホームで温かい校風にあるようだ。

「顔を見れば一人ひとりのことがわかるくらいに教師と生徒の距離が近いのが特徴です。一人ひとり違うというところに対応したいという思いが強く、きめ細やかな進路指導体制につながっています。教員は親のような気持ちになって、一丸となって親身に生徒のことを考えています。教員全員会議で生徒一人ひとりの進路や学習進度について相談しているため、担任だけでなく、全教員が個々の状況をしっかりと把握しています。学力、学習進度、成績の波、気持ちの変化など、学業面だけでなく生活面や本人の性格などにも気を配り、一人ひとりの分析データを共有。なぜ成績が下がったのか、なぜこんな気持ちになっているのか、一人ひとりにスポットを当てて教員が1チームとなって進路を一緒に考えていることが、これまでの進学実績に確実につながっていると思います。しっかりと自立して幸せになってもらいたいという親の思いを実現できるように、3年間でその種を植えることが私たちの役割。“人をつくる”という思いが大事だと心に刻み、生徒一人ひとりと日々向き合っています」と中司先生。

成績の波や気持ちの波もデータとして蓄積し、分析を繰り返してきた膨大で緻密な取り組み。その経験を元にしたサポート体制は、四條畷学園ならでは。ちょうど良い規模だからこそ実現できる進路サポートの賜物だろう。

「進路については中学2年生頃から少しずつ意識づけを始め、3年生の前半くらいで自分に合った学校はどんなところか、自分の目で見てくることを勧めています。放課後に自ら質問に来る姿勢が身についていて、3年生になったらどこでも自学自習をするような風景が広がっている。一人ひとりのそうした学習に向き合う態度が良い雰囲気を生み出し、進路実績にもつながっていると思います。自ら率先して学ぶ姿勢が、四條畷学園の長い歴史の中で脈々と引き継がれているように感じています。自習室の補助には卒業生が付いてくれていますが、毎年希望者が多くて困るほどなんですよ。中学校がただの通過点ではなく、しっかりと子どもたちの心に本校での学び、思い出が根付いているからこそ、節目の時だけでなくふらっと気軽に卒業生が立ち寄ってくれます。これは、建学の精神「報恩感謝」の心がしっかりと身に付いているからだと思いますね」と堀井先生。

コロナ禍により進化したICT教育。今後もハイブリッドな授業を展開

「本校ではICT教育には数年前から取り組んできました。教員は3年前から、生徒はちょうど今年から一人1台のiPad支給を準備していたため、コロナによる自粛期間も早い段階でオンライン学習の体制が整いました。2、3年生のオンライン環境が整っていない家庭にはiPadを貸し出し、休校から2週間程度でZoomを使用した朝礼を開始。各教科の先生がタイアップしてものづくりをする機会はなかなかないので、この機会に前向きな良いICT教育の取り組みができたと思います。生徒全員に平等にICT教育の良さを実感してもらうことができました。新入生も家にいながらスムーズに学校体験ができたので、自粛期間が開けて登校が始まっても、戸惑うことなく学校生活をスタートさせることができたようです」と堀井先生。

「オンライン学習では、普段から使用しているロイロノートとスタディサプリを主軸に、全教科で課題の配信をしました。曜日ごとに2〜3教科を定め、毎日課題についてやりとり。1日の課題数が決まっているので、どのように時間をやりくりするかは生徒自身に任せることで、負担なく課題に取り組んでもらえるように工夫しました。休み時間の過ごし方のコーナーなど楽しめるコンテンツもつくり、気持ちの面でのフォローも。その結果、自粛期間中の学習面の遅れは全くなく、むしろ効率的な学習を進めることができました。課題のやりとりを通して、生徒の精神面でのフォローもきっちりと行い、不安な気持ちにさせることなく学校再開を迎えられました。時間を有意義に使うためにも、従来の授業とタブレットを使う授業を混ぜて、ハイブリッドな授業展開を今後もいろいろと考えています」と中司先生。

動画にしたり、音声にしたり、授業の配信内容も工夫していたとのこと。コロナ禍で改めて見えてきたタブレットの有用性。良い機会だと先生方がポジティブに受け止めて取り組んだことで、時間の有効な使い方、工夫ある課題の出し方を実践で学ぶことができ、ICT教育がさらに充実したそう。2年前にWi-Fi設備を整備し直し、教室にもプロジェクターが完備されており、学校再開後も引き続きICTを朝礼や授業に活用している。ハード、ソフトの両面でしっかりとした基盤ができているため、第2波が来た時にもしっかりと対応できる体制が整っている。

<取材を終えて>
個性、自主性、実行力、礼儀を大切にした教育を行うことが最も重要だと考えた創立者の思いを、さまざまな形で実行し、しっかりと受け継いできた四條畷学園。ちょうど良い規模だからこそ、生徒一人ひとりに目と心が行き届く温かい校風の中で、自然と育まれる報恩感謝の心。そのすべてが3年後の学習面、精神面の飛躍へと繋がる。創立100周年に向けて、変わらぬ教育方針と新たな教育体制。今後も時代の波に乗り遅れることなく、ハイブリッドに進化していく同校の取り組みに注目したい。

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