スクール特集(ノートルダム女学院中学校の特色のある教育 #3)
来春より全コースでグローバル教育が始動。英語力+αの画期的なメソッドとは?
すべての学びのベースにあるノートルダム女学院ならではの教育理念とともに、従来のグローバル英語コースで培ったメソッドをもとに2021年より始まる新たな中学2コース編成についてお話を伺った。
副校長 高谷憲弘先生のお話
学びの根底にあるのは他者への思いやり
本校はカトリックの学校ですから、教育のベースにあるのは「人に対する思いやり」です。
ノートルダム女学院は自然豊かな環境のもと、カトリックの精神に従い、少人数の家族的な雰囲気が魅力です。素直で穏やかな生徒が多く、学年やクラスを越えて学び合える風土が根付いています。
これからの社会では、他者の立場に立ち、思いやりを持って取り組まなければ解決できないことが増えてくると予想されます。自分が学んで習得してきたものを人のために発揮していける人材が求められています。自分のためだけに知識を使うというのでは、社会は良くなっていきません。今はまさに、教育の真価が問われるときではないでしょうか。
近年ますます複雑化し、複合的になっている社会問題をどう解決していけるのか。社会全体が抱えている課題に対して価値観の多様性に共感し解決していける人、自分にできることは何かを他者の立場になって考えられる人を育てたいと考えています。そのベースにあるのは「人に対する思いやり」。これがなければ、他者を理解することはできません。学びの根底に「人に対する思いやり」がなければ、どれだけ思考力や英語力を身につけたとしても、社会で必要とされる人材になることはできないでしょう。たとえ高い英語力があったとしても、相手に対する思いやりがなければ、ただ英語が話せるというだけで、相手が何を伝えようとしているのか理解できず、何を聞けばいいのか、どう受け止めればいいのかわからないということになってしまいます。
思いやりの精神は一朝一夕で身につくものではありません。大人になったとき、社会に出て人の親になったとき、人の中で自ら歩き始めたときに、本校で学んできたことをじわじわと理解し、行動に移してくれれば良いと思って教育に取り組んでいます。
独自メソッドの思考力と英語力
ノートルダムらしい学びの特徴としてはいくつかありますが、そのひとつに言語技術教育(ランゲージ・アーツ)という科目があります。
例えば、禁煙マーク。このマークについて知らない人に、どういうものなのかを言葉で説明してみてくださいという問いがあるとします。禁煙マークを知らない人に説明する際、まず何から伝えるか、考えて説明できる力を身につけていきます。
私たちは普段、日本語を話し、聞き、使いこなせているように感じていますが、果たして言語や文化の異なる人に対しても、その真意をしっかりと他者に伝えられているのでしょうか。
言語技術教育で目指しているところは、世界標準の論文やエッセーを書けるような技術を活かして、豊かにアウトプットできる力を身につけること。言葉と思考のベースを身につけ、物を見たときにきちんと分析することができ、論理的、批判的な思考力(クリティカル・シンキング)が発揮できるように、トレーニングします。
英語は日本語とまず文法が全く違います。そのことを理解しているかいないかで、学びの質に大きな差が出ます。ビジネスシーンでは結論から話し、理由は後で説明するというのが定石ですが「私は〜だからこう考える」というのが一般的な日本語の流れです。対して、英語は「I think〜, because〜」と順番が異なります。言語技術でもそれは同じで、説明する順序があり、それは英語の文法と同じような成り立ちであるということを説明すると生徒たちの理解が進みます。日本語で考えるのではなく、英語で考えた方が理解しやすいと感じてくるのです。ルールがわかれば、繰り返し実践していくのみ。絵の説明ができるようになると、次は文章の背景を文字から読み取り、理解できるようになります。要するに想像力が養われるわけです。この言語技術のベースがなければ、思考力も英語力も積み上がっていきません。これは物事を考えるとき、社会に出たときにも必要となるスキルです。
人に何かを説明するときには、物事の意味を理解し、本質を知らなければ正しい説明ができません。どういった意味があるのか、それは何故なのか、ということを常に意識して物事に取り組む考え方の癖を付けないと言語技術は身についていきません。表面的なものではダメなのです。背景にあるものを知って、根本から学びを深めていくことが大切です。
ベースを身に付けた後は、他の授業でも自然と使えるようにするプログラムなので、言語技術の授業は、中学1〜2年生に対して毎週1時間行っています。人と話をするときには聞き方、話し方があることを知り、ルールを学びます。教科書を読んだときに、どういう意味かと気づくか気づかないかで、学びの質は大きく変わってくるでしょう。
この言語技術の授業は取り入れてからまだ数年ですが、非常に大事なプログラムだと認識しています。インプットしたノウハウや知識は使えないと意味がありません。理系、文系どちらに進むにしても、論理的に物事を考えていく技術は必要です。しっかりと自分の言葉でアウトプットできる力をつけるために、重要な科目だと感じています。
全コースグローバル教育に改編する背景
これまでは本校では、STE@M探究コース、グローバル英語コース、プレップ総合コース、3コース体制でしたが、来春よりグローバル教育のノウハウを中学の全コースに拡大する為に、新しい2コース編成となります。一つはこれまでのSTE@M探究コースをベースにした「グローバル探究コース」で、もう一つはこれまでのプレップ総合コースをベースにした「グローバル総合コース」です。新しい2つのコースでは、どちらも英検準2級以上の高い英語力を身につけることを目指し、これまでのグローバル英語コースで実践していた英語学習のノウハウを取り入れていきます。
中学グローバル英語コースを卒業した1期生、2期生の英検準2級以上合格率は100%でした。この良い実績を残せた学びのノウハウを、1つのコースだけで行っていてはもったいない。ならば、全コースでグローバル教育を導入するべきだと考えたのが、今回のコース改編の背景です。2つのコースどちらも、全員が着実に英語力を身につけていくことを目指します。
新しいコースでは、21世紀型スキルとして身に付けたい「Communication(コミュニケーション力)」」「Collaboration(共同的問題解決能力」「Creativity(創造性とイノベーション)」「Critical thinking(批判的思考と問題解決能力)」の4Cを軸に、グローバルマインド、英語力、サイエンスマインドを養っていきます。
グローバルマインドとはただ単に英語で話せるというだけでなく、価値観の違う人と素直に価値観を共有できるかどうか。そういうマインドがなければ人との対話の中でコミュニケーションが取れず、いくら英語で話せても話が噛み合わないことになります。柔軟なマインドを育てながら英語を磨き上げていこうというのが、コース共通で目指すところです。
また、理系、文系、どちらに進むにしても、今の社会で全く英語に触れずに社会で活躍するのはなかなか難しくなっています。何か調べ物をするとき、私たちはインターネットを使って検索します。一体、全世界のインターネットの情報にうち、日本語で書かれている情報は何%だと思いますか?ある研究機関の調査によると約2.6%らしいです。英語はと言うと26%です。つまり、英語を身につけるとで、10倍の情報にアクセスが可能になると考えられます。英語の好き嫌いの問題ではなく、もはややらざるをえない時代となっているのです。先にも少し述べましたが、理系、文系に関係なく、きちんと課題を認識して、論理的に説明できるサイエンスマインド(科学的思考力)は、世界が共通して重視するスキルです。決して理系だけが習得すべきことではなく、学問をしていく中で基礎となるものです。見えている物だけがすべてではないという考え方を身につけていくために必要な教育です。培った英語力をしっかりと社会生活の中で活用できるように、物事を冷静に分析し、本質を見極めるために必要となる姿勢を身につけていきます。
英語が苦手な人は「全コースでグローバル教育?」、英語が得意な人は「ノートルダムってそんなに高度な英語教育をしてるの?」と不安に思われるかもしれません。しかし、英語が苦手な生徒も、逆に得意な生徒も、どちらもしっかりと学べる授業展開をスタートします、それが本校独自のハイブリットな英語学習です。
週6時間の英語授業の半分の3時間はコースも学年も越え、自分のレベルに合わせたクラスに入る到達度別学習です。英語に対する苦手意識や劣等感、物足りなさを感じさせない、差がつかない学習システムです。コースや学年を越えた到達度別授業は人数の多い学校ではなかなか難しい取り組みだと思います。少人数で、一所懸命、目標に向かって頑張る真面目な生徒が多い本校だからこそできることだと自負しています。
残りの3時間は英語が苦手な生徒も得意な生徒もいる通常のクラス単位のプロジェクト型授業です。人は違う価値観と出合い学んでいきます。学び合いの関係性をつくることでお互いに高め合い、成長することができます。これまでのグローバル英語コースで培ったノウハウと実績で、手応えを実感しています。
この到達度別授業とプロジェクト型授業のハイブリット展開によって、身につけないといけない英語力が必ず習得できるでしょう。本校にとって新しいチャレンジとなりますが、学び合いの効果はしっかりと結果に出てくると確信しています。
コロナ禍での取り組みから学んだこと
予測不能な時代がやってくるから、思考力を身に付けなければいけない。こんなフレーズを最近はよく耳にするのではないでしょうか。しかし、去年の今頃は全く想像もしなかった新型コロナウイルス感染症という誰も経験したことのない病気が、今現在世界中で蔓延し、これまでの生活様式を見直さなくてはいけない状況にあります。予測不能な事態はこれから先に起こることではなく、もうすでに今起こっているのです。
4月7日の緊急事態宣言を受けて休校措置をとり、4月15日からオンライン授業を開始しました。京都ではかなり早い段階での取り組みだったと思います。もともと本校ではiPadを積極的に活用したICT教育を展開していましたので、1週間の準備期間でスムーズにオンライン授業に切り替えることができました。
他校もやるからやろうという動きではなく、生徒のために何が最善かを考えて、すぐに行動に移しました。授業以外でも教育相談室の教員と体育担当教員が協働して体を動かせる動画を作成して配信を行いました。毎週動画をアップしてくれたおかげで、生徒の心と身体のケアも早い段階から行えました。
どのように進めていくのか、生徒にとってどういう学習展開が望ましいのかを教員同士で学び合い、試行錯誤しつつ、ノートルダムとして一丸となった取り組みができました。当初は学校からZoom授業を配信していましたが、教員の安全も考え、途中からは自宅からの配信に切り替え、教員間の情報共有も工夫して取り組みました。オンライン授業は初めての経験でしたし、生徒からの意見も聞き入れ、できるだけ生徒にわかりやすいように改善しながら進めていきました。実技教科も含めた全教科でオンライン授業を実施し、学びを止めることなく学校再開を迎えられたのは本当に良かったと思います。
最も気にかけていたのは、入学式もできなかった新入生のことです。iPadも配布できていなかったため、自宅で所有する機器を使って参加してもらいました。中学1年生のクラスでは毎朝、毎夕のホームルームで、物理的には会ったことのないクラスメイトや教員とのコミュニケーションをしっかり丁寧に行うことで、精神的な離れ離れ感を感じさせないように配慮しました。人と人とのつながり、会話を大事にした良い取り組みができたと思っています。ノートルダムらしい「人に対する思いやり」を大事にしたオンライン学習となりました。おかげで、学校再会後は新入生もスムーズに仲間づくりができ、学びの遅れだけでなくメンタル面での遅れを取ることなく、順調にクラスに馴染んで登校してもらえました。
午前中は授業の配信を行っていましたが、午後は各クラブが積極的にオンラインを活用して活動を行ってくれました。オーケストラ部は離れた生徒たちを勇気づける音楽配信をしてくれました。生徒会はまだ登校したことのない新1年生に対して、学校がどんなところかを紹介する動画を作成してくれました。また、Zoom相談室をつくり、さまざまな質疑応答ができる場を設けてくれるなど、生徒の配信活動も活発に行われました。これらはすべて生徒からの発案によるもの。コロナ禍で自分たちができることは何かを考えてすぐに行動できたのは、普段から取り組んでいる思考力が身についている証拠だと思いました。
京都で最も遅い入学式を実施した背景
「バタバタと行うのではなく、落ち着いた環境できちんとした祝福をみんなでしましょう」という学校長の言葉で、休校措置により行えなかった入学式を7月4日に遅れて行いました。京都で最も遅い入学式だったそうです。
生徒が学校に慣れ、きちんと落ち着いた段階でしたことで生徒も教員も改めて身の引き締まる思いでしたし、保護者の皆様にも喜んでいただけたと思います。延期や中止を選ぶことは簡単ですが、生徒にとってベストな方法は何か、この場で最適な選択は何かを教員も一丸となって考えました。
変化が激しい時代と言われていますが、予測不能な時代はもうすでに始まっています。今、考えられないとダメなのだと実感しました。思わぬ機会となりましたが学ぶことも多く、諦めずにチャレンジしてみると意外にできることが多かったのがコロナ禍での教訓です。
教頭 中村良平先生とグローバル英語コース長 ディーン ウィリアムズ先生のお話
独自プログラムで身につく英語力
これまでのSTE@M探究コース、プレップ総合コースそれぞれの良さに、グローバル英語コースの良さをプラスさせる来年度からの新たな2コース。
グローバル探究コースでは、探究活動によって知的好奇心、探究心、思考力を育てながら英語学習にもしっかり取り組み、二重構造で高い英語力を身につけていきます。
グローバル総合コースでは、諸外国では広く取り入れられているDrama、Theaterという科目で一般的に行われている演劇教育を通し、仲間と何かをつくりあげる協働力、そこから育つ課題解決力や思考力を養います。さらに高い英語力を身につけることで、将来の可能性を広げていきます。
中学生なので理系、文系どちらに進んでいくかまだ明確になっていない中で、どちらに進んでも必要となる英語力を、すべての生徒に身につけてほしいと考えています。
また、将来どのような道を歩むにしても必ず必要となる力を磨くため、コース共通で「社会課題解決プロジェクト」「言語技術教育」「サイエンス教育」に取り組み、未来を生きる力を着実に育んでいきます。
これまでのグローバル英語コースは副校長も言っていた通り、中学卒業時に英検準2級以上取得100%という高い成果を上げてきました。来季のコースではこれまでのグローバル英語コースで行っていた教育内容をより多くの生徒に提供することになります。いかに成果を出していくか、教員一丸となって知恵を絞りました。その結果として生み出したのが「到達度別授業」と「プロジェクトタイム」のハイブリッド展開です。
我々がチャレンジする次なるミッションは、これまでのグローバル英語コースで培ったメソッドをさらにブラッシュアップし、これまでと同様、またそれ以上の成果をすべての生徒にもたらすことです。これまでのグローバル英語コースで実践してきた重要なエッセンスをどのようにして活かすかを考え尽くした結果がこのハイブリッド型なのです。コースを越え、学年の枠も越えた到達度別授業との2本立てで、ハイブリッド学習を実践することで、確実に力をつけます。
特にプロジェクト型の授業は、これまでのグローバル英語コースを中心に培った実績があります。中学生でもきちんとした指導法のなかで力をつけることで、たとえば英語でプレゼンテーションができるまでに成長するということを目の当たりにしました。中学生でも英語でここまでできるのかと日々驚かされています。
長期的な深い学びへの取り組み
プロジェクトタイムの3時間でやりたいことその一つは、LiD(Learning in Depth=深い学び)です。読み書きの基礎、作文力、探究力、思考力、自信、学びに対する意欲などを養うための、ノートルダム独自のプログラムです。
LiDの取り組みは、一見するととても簡単です。鳥や星、歴史、家具、デザインなど100のトピックスの中から研究テーマを選びます。選んだテーマについて調べ、学んだことを毎週、英語と日本語でノートにまとめて提出します。ノート作成では、わかったこと、理解したことを書くのがルールですから、その時点で情報を理解できているのです。自分で一つのテーマを選び、自分で調べ、積み上げていく経験は必ず力に変わります。
1週間ごとの研究を卒業するまで行うため、中学1年生から高校卒業までの6年という長い時間をかけて、一つのテーマについて、研究し続けることになります。だから生徒は自分の選んだテーマに関して、どんどん専門的な知識を深め、誰よりも詳しい専門家として成長していきます。こうなるには、生徒は一生懸命考えて、学び続けていかなければなりません。考えて、考えて、考えることで、誰にも負けないくらいの知識を得ていきます。その達成感は自信となり、学ぶことの楽しさへとつながっていきます。
LiDで肝となるのはディーン先生が作成した100をこえるトピックスです。すぐに調べ終わるような簡単なものではなく、突き詰めていけばどんどん思考が広がっていくようなトピックスが巧みにピックアップされています。一つのテーマを深く掘り下げていく作業の中で、集めた情報をただ紹介して伝えるだけでなく、情報同士をつなげ、関連づけることで、知識の幅はどんどん広く、深くなっていきます。面白いこと、わかったこと、伝えたいことをプレゼンテーションで共有したりすることで、リサーチとは何か、なぜ学ぶのかを自然と理解していくことになります。
これまで、ネイティブ教員による授業は、英語に親しむことを重視するために、ただ楽しいアクティビティを繰り返し行う学校が多かったように思います。しかし、与えられるばかりの学習では、本当の英語力はなかなか身についていきません。今求められているのは発信力。そして、地球規模のさまざまな問題解決に向けて動ける行動力です。本校ではグループディスカッションを重視し、発信力を鍛えています。物事の本質を深く突き詰めていくディスカッションの授業では、ときに議論がどんどん抽象的になっていくことがあります。ディスカッションテーマには、ときにセンシティブな社会問題も扱います。深くなればなるほど抽象的になっていく課題に対して、苦手な生徒にもフォローできるように日本人教員とのTeam Teachingで、課題解決に向けて学びを深めています。
英語力を身につけるだけなら、到達度別授業だけを6時間やればいいのでは? と考える方もいるかもしれませんが、本校でプロジェクト型の授業も重視して取り組んでいるのは、学びの奥深さを大事にしたいからです。
単にものを調べてまとめるだけではなく、学びの本質に気づいて欲しいと願っています。次に何を知りたいか、これを調べてみよう、なぜこうなるのか、といった自発的な学びが本来の学びのかたちです。それを実践で学んでほしいのです。
グローバル英語コースは2016年にスタートしました。当初はLiDがここまで生徒の思考を変えていくとは想像もしていなかったのですが、今はこの手法の大きな力を実感しています。自分で問いを見つける、やるべきことを見つける、答えを見つけていくということは、正しいかどうかではなく大事な学びの基礎です。
国際団体によって定められた10項目の21世紀型スキルのうち、「コミュニケーション」「クリティカルシンキング」「コラボレーション」「クリエイティビティ」この4つは特に重要なスキルです。副校長が述べたように、ノートルダム女学院ではこの4つのCを基本とした思考力を育む教育を行っています。LiDはこの21世紀型スキルを育むために必要なことがすべて詰まった、画期的な学習プログラムだといえるでしょう。
LiDで行っている学びは、英語ができるからといってできることではありません。英語は苦手でもプレゼンは上手だったり、まとめることが得意だったりする生徒もいます。また、その逆もあります。英語の力と英検の力はイコールではない。プロジェクト型の授業をあえてクラス単位で行うことで、お互いに刺激を与え合います。
プレゼンテーションやディスカッションは、文法・単語の知識が少ない中学生にできるはずがないと思われるかもしれませんが、中学1年生でもここまでできるんだと驚くほどの力を発揮してくれます。
もちろんレベルが上がるほど文法やリーディングは必要となってきますので、到達度別授業ではしっかりと単語を覚えたり、文法を学んだりします。新しいことに挑戦していく力と緻密に積み重ねていく力、この2本柱で成果につなげていきます。
これからのグローバル教育
これまでの学校教育は、生徒にとってわかりやすい授業を提供することに重きを置いてきました。そうした学びも大切ですが、それだけではダメな学びもあります。学びとは本来、自分で作り上げていくもの。そして、自分だけでなく、必要なときには協力しながら、チームで取り組んでいくべきものです。そのために、生徒が主体となって協働してつくりあげる力を養っています。
社会では今さまざまな問題が山積しています。それぞれの置かれた環境の中で弱い立場にある人の視点も持つこと、世の中でどんな課題があり、どんなことが求められ、私たちは何をすべきか。小さなことでも世の中の課題に向き合って知恵を絞り、行動できる人になってほしいと考えています。
知識を学ぶ、ディスカッションするだけでなく、行動まですることで見えてくるものがありす。やってみたら思ったようにいかないこともあるでしょう。行動しないと見えてこないこともあるでしょう。学びは行動につながることではじめて生きるチカラとなります。未来を築く力を育てる教育をノートルダム女学院はこれからも行っていきます。
<取材を終えて>
取材時にLiDのノートをいくつか拝見させていただいたのだが、丁寧に描いたイラストなども盛り込み、丁寧にリサーチ結果をまとめた紙面からは、楽しんで学んでいる姿が目に浮かぶようだった。来期より中学校は「グローバル探究コース」と「グローバル総合コース」の2コースになり、中学3年間でこれまで以上に広範囲な分野を学べるように進化するノートルダム女学院のグローバル教育。グローバルマインド、英語力、サイエンスマインドを兼ね備えた人材が、社会でどのような活躍を見せてくれるのか、とても楽しみだ。