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2018/6/15(金)
Global Studiesレポート[愛徳学園中学校]
愛徳学園中学校・高等学校(所在地:兵庫県神戸市)が平成29年度から先行実施している「Global Studies」についてご紹介します。
Global Studiesとは?
愛徳学園高等学校では、2018 年度より高校 2 年生の選択授業で「Global Studies」を実施しています。
Global Studies は、「世界を知り、正義とは何か、平和とは何かを問い、自らの生きる姿勢を考えること」を目的とす る、英語科と他教科が連携した「探究型」の授業です。
社会が抱える問題に対して個人やグループで調査し、解決法を議論します。英語での発表や討論も行い、グローバル人材 に必要な「英語力」と「プレゼンテーション力」の育成も目指します。
【Global Studies 先行実施「公開授業」】
当日の模様のレポートをいただきましたのでご紹介します。
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平成29年10 月 14 日(土)に本校で行なった公開授業では、その先行実施となる高校 2 年生の選択 Communication EnglishIIの授業をご覧いただきました。
この授業では、ファストファッションが抱える問題をテーマに、各自がリサーチを行い、その問題を解決する方法を考え、先行事例に基づきその有効性を示すレポートを作成してきました。
今回の授業では、研究テーマを元に 4 つのグループに分かれ、それぞれ「バングラデシュの最低賃金について」、「バ ングラデシュの女性の労働環境について」、「インドの皮革工場排水による水質汚染について」、「先進国からの古着の援 助について」のプレゼンテーションを行いました。発表に向けて、まずは各グループで自分たちの解決法について意見交換を行い、どの解決法が一番有効であるかを話し合い決定しました。その後、その解決法の有効性を示す先行事例についてさ らにリサーチを行い、プレゼンの原稿を作成しました。
生徒たちは、対象となる地域の現状とその解決法と解決のための手段を英語で発表し、専門的な内容については日本語で 補足説明をしました。古着をテーマに発表を行なったグループの解決法は、リメイクした古着を SNS を通して販売し、その利益で得たお金を途上国支援に用いるというものでした。実際に自分たちがリメイクした服を着て見せると、聞いていた 生徒たちの多くが買っても良いと答え、その有効性をその場で示す結果となりました。
準備から発表までを通して、生徒たちが積極的に意見を出し合ったり、助け合って英語にしたりと本当に生き生きと活動 していたことがとても印象に残っています。自分たちが知った現実に対して、何かできることがないかと考えることで、彼女たちは自分がこの世界の一員であることをさらに意識するようになっているように感じます。今後は、今回の発表をさら にブラッシュアップしていきたいと考えています。
【校内模擬国連大会】
当日の模様のレポートをいただきましたのでご紹介します。
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平成 30 年 3 月 16 日(金)には、研究発表会を行いました。今回の研究発表では、1 月 31 日より実施してきた AMUN(Aitoku Model United Nations)のまとめとして、 決議案の発表と採決を英語による授業で行いました。
この授業では、これまでファストファッションについて、各個人が立てたリサーチ クエスチョン に基づき、研究を進めてきましたが、今学期は、「バングラデシュ縫製工場における労働問題」をテーマに、ファストファッションに関わるあらゆる人々の立場に分かれ、その解決策を考えました。これまで、労働者の人権や自然環境を守ることだけに焦点を当てて 考えてきた生徒たちにとって、これは難しい課題となりました。
最後の採決では、ファストファッションブランドの経営者グループがすべての決議を棄権するという結果となりまし た。この結果からも、それぞれの利益を守りながら、労働者の人権を守る方法を考えることがいかに難しかったかというこ とがわかります。
AMUN を終え、ある生徒が「もっともっと深めていきたかった」と残念そうに話してくれたことがとても心に残ってい ます。この言葉には、全員から賛同を得られなかった悔しさと、さらに良い決議案を考えたいという熱意が込められているように感じました。
この授業を通して、生徒たちは英語の力だけではなく、物事を様々な視点から考える力や自分の考えを発信する力を身につけてきたと感じています。1 学期には、現状を調べまとめることに精一杯だった生徒たちが、新しい方法で問題を解 決しようと意見を交換し、問題点は指摘し、さらにいい方法を模索していく姿は、とても活き活きとし、その姿を見ている 私自身もワクワクとした気持ちで授業に臨むことができました。
このように生徒の成長を日々実感してきましたが、私はこの授業の終わりはここではないと考えています。この1年間、調べ、学び、考えてきたことは、この研究発表の場をもって完結するものでありません。これから先、生徒たちが自分 の将来を歩む中で、この授業での経験を活かしていくことによって、その成果が花開いていくものなのだと感じています。 その日を楽しみに、4 月から始まる Global Studies の準備を進めていきたいと思います。