私立中学

女子校

おばやしせいしんじょしがくいん

小林聖心女子学院中学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(小林聖心女子学院中学校の特色のある教育 #4)

東京藝術大学に卒業生4名が在籍。学業と生活を支える小林聖心のスピリットとは。

生徒の個性や長所を丁寧に育む小林聖心女子学院では、自分らしさを活かせるよう進路を決める。今回は、現在、東京藝術大学・大学院に在籍している4名の卒業生に話を伺った。

阪神間の伝統校である小林聖心女子学院は、創立当初より「社会に貢献する、賢明な女性の育成」を教育理念として掲げ、生徒一人ひとりのよさを伸ばし、自己肯定感をじっくりと育む教育を実践してきた。学院の卒業生は、国内外の様々な分野で活躍しており、そのフィールドが多岐に亘ることは同学院の特徴のひとつである。現在、東京藝術大学・大学院に在籍している4名の卒業生も、それぞれの得意分野を究めようと進学し、すばらしい学びの環境で切磋琢磨する日々を過ごしている。充実した学生生活の中では、自身の中に根付いている小林聖心の教えを感じることも多いとのこと。今回は彼女たちにリモートでインタビューを実施し、小林聖心の教え、そして懐かしい同学院での友達との日々や先生との思い出や、自身の将来について語ってもらった。

○卒業生の紹介
桂田光理さん/東京藝術大学大学院器楽科弦楽(ビオラ)専攻1年生
(以下桂田さん)
木ノ村茉衣さん/東京藝術大学大学院器楽科弦楽(バイオリン)専攻1年生
(以下木ノ村さん)
大谷葵さん/東京藝術大学美術学部デザイン科4年生
(以下大谷さん)
菊田萌子さん/東京藝術大学音楽学部器楽科弦楽(ビオラ)専攻1年生
(以下菊田さん)

▶︎写真左より:桂田光理さん・木ノ村茉衣さん・大谷葵さん・菊田萌子さん

小林聖心女子学院での学びや教え、思い出を教えてください。

桂田さん…私は小林聖心に小学校から入学しました。大学生になって、学院以外の友達と過ごすようになって、自分が小林聖心でのびのびと育てていただいたことを実感しました。なかでも学院生活で、自分の特技を活かして活躍の場を与えてもらえたことは、とてもよい経験だったと思います。

木ノ村さん…私は桂田さんと同級生です。二人とも兵庫県立芸術文化センターのスーパーキッズ・オーケストラに所属していたこともあって仲良しでした。高校3年生の時、12月に校内で行われるクリスマスキャロルでは、私たちで聖歌をアレンジした演奏を披露しました。先生たちが「あなたたちの自由にしていいよ」と言って下さり、ステージを自由に任せてもらえたのですが、今、振り返るとぜいたくなひと時だったと思います。





菊田さん…先輩方と同じく、私もスーパーキッズ・オーケストラに所属していました。高校3年生のクリスマスキャロルの時は、私も聖歌をビオラで演奏させていただきました。自分の得意な音楽を通して、学院の中でも活躍させてもらえました。小林聖心には、それぞれが自分を表現できる場所がありましたね。

大谷さん…私が学んでいるのは、音楽ではなく美術です。小林聖心では中学・高校と美術工芸部に所属していました。学院祭や体育祭などの行事ごとに、パンフレットやチラシ、チケットなどにイラストを制作するなど、美術工芸部が活躍する場があり、とても楽しく活動したことが思い出に残っています。また図書館から発行する「センター便り」という学内広報紙の制作も行っていました。同じ学年には、私の他にも服飾や建築の分野へ進学した友達もいましたね。私もほかの方と同じように、小林聖心には生徒それぞれが、存在感を発揮できる場所がある学校だと感じています。

これから中学受験を考える方たちへ、小林聖心女子学院の特徴を教えてください。

菊田さん…小林聖心では、行事は生徒が主体的に考えて行います。生徒が活発に知恵を出し合う雰囲気があり、全体が盛り上がるように行動するため、自然とみんなが一致団結します。行事をつくり上げる過程のなかで、自分の得意分野を活かして、生徒一人ひとりが活躍できました。なかでも学院祭、体育祭は特に思い出深いです。体育祭は中学・高校の6学年が一緒になって学年対抗で行われるため、とても盛り上がりますし、学院祭はクラブ活動の発表の場でもあるため、ひとつの目標として一生懸命に取り組んでいましたね。受験を考える方には、これらの行事をご覧いただくと、学校の雰囲気がわかりやすいと思います。

大谷さん…小学校からなら12年間、中学からなら6年間、一緒に過ごすので、友達とは深く理解しあえますし、一生の宝物になると思います。卒業して久しぶりに会っても、久々に会う感じがまったくせずに落ち着けます。友達というより親戚やいとこのような感覚に近いかもしれません。

先生との関係はいかがでしたか?

大谷さん…先生とも6年間、卒業してからも長いお付き合いができています。先生方は話しやすいですし、成長過程を知ってくださっているのは安心ですね。高校2年生で美術工芸部副部長をさせてもらうようになって、顧問の先生とも人生について深く話せるようになりました。大学受験の時もずいぶん話を聞いていただき、心強かったです。ほかの先生方も、生徒それぞれの進路に寄り添って、サポートしてくださいました。

木ノ村さん…中学から6年間という長い時間を一緒に過ごすと、それぞれがそれぞれの得意なところや個性を深く理解し、把握できるようになります。その結果、得意なところを補いあって全体がよくなる、いろいろな物事を進められるようになると教えてもらいました。またそういった生徒の活動や過程について、先生方は「ああしなさい、こうしなさい」と指示するのではなく、見守ってくださることがありがたく、また信頼してもらえていると感じて心強かったです。

高校進学の時、小林聖心から音楽専科の高校へ進んだ人もいましたが、私は小林聖心に残る決断をしました。しかし結果的にそれがよかったと思っています。小林聖心では、音楽だけをしていればいいというわけではありません。様々な分野に取り組むことで「社会の中で人として生きていくために必要なこと」を学べたように思います。

桂田さん…私は勉強では社会が苦手でした。苦手な社会の時間に、先生が私にかかりきりになってくれて指導してくださったり、いつのまにか席のまわりに友達が集まって、授業について教えてくれたり、温かな学校でしたね。得意なことはもちろんですが、苦手なことのサポートもしっかりしてくださるのが、小林聖心の先生方だと思います。

在学中、阪急小林駅から学院までの通学路が坂道で大変だなと思っていましたが、東京で暮らすようになって、坂道も含め、学院の緑豊かな自然環境がすばらしかったことがわかりました。春のサクラや秋の紅葉など、豊かな四季を感じられましたし、小学1年生から高校3年生まで、おしゃべりをしながら通うあの坂道は思い出深く、私にとってとくに印象に残っている一風景です。

菊田さん…高校3年生の受験期、選択音楽という授業の時間に、ほかの生徒の前で演奏できる時間を取ってくださって、模擬試験の練習をしてもらいました。また先生にはピアノ伴奏をしていただいて練習を重ねるなど、サポートをして下さった時間のことは印象に残っていますね。

芸術を究める学生が集まる東京藝大はどんな大学ですか? 

木ノ村さん…やっぱり個性的な人が多いです。大学へ入学して、自分の常識がみんなの常識ではないと知りました。今は、学生それぞれの個性があっておもしろいと感じています。人と人は違う人間であって、違う者同士だからいいことも多いですね。私はバイオリンが専門ですが、室内楽はカルテットにせよ、オーケストラにせよ、ひとりで演奏するわけではありません。それぞれに価値観が違う人が集まって演奏します。そのため曲の捉え方も違ったり、表現に対する考え方も違ったりします。最初は思いを共有できなかったり、同じ考えにならなかったりすることに異を唱えることもありましたが、最近は違う者同士が試行錯誤してひとつのものを作りあげる経験が、社会の中でも大切だと思えるようになりました。そういった試行錯誤の経験は、今の自分にとても刺激的。時々、同じ価値観を持っている人たちが集まっていた小林聖心時代を恋しく思うこともありますが、その時代があったから、今は違うところで生きることができていると思っています。

また小林聖心では、1日の終わりや行事の後など、必ず「振り返り」のひと時があります。体験したことをそのままにせずに自分自身を振り返ることで、いろいろ思いをめぐらせたり、筋道を立てて考える癖をつけたりすることができました。私はもともと論理的に考えることが苦手だったのですが、振り返りを行うことで内省でき、私自身よい影響を受けたと思っています。今、大学には感覚肌、芸術肌の人もいますが、一つひとつのことを丁寧に吟味する感性は小林聖心で育ててもらいました。

桂田さん…小林聖心在学中、私は「音楽が得意な人」でしたが、ここは全員が「音楽が得意な人」という場所。音楽を『自己肯定感を支えるもの』として生きてきたのに、大学へ入学すると環境が激変しました。しかもまわりにはマニアと言えるほど音楽への知識が深い人もいる。そういった世界に足を踏み入れ、最初はびっくりして落ち込みましたが、小林聖心の12年間で育んでもらえた自己肯定感が、この環境のなかでも自分らしくいられる力になったと思います。東京藝大の環境でも「音楽をやってきてよかった」と思えることが度々あり、徐々に自分を取り戻すことができました。私の自己肯定感は強みですね。

小林聖心の生徒はたとえ落ち込んでネガティブになったとしても、そのまま自分を見失ってしまう人は少ないのではないかと思います。インタビューの最初に「のびのび育ててもらえた」とお伝えしたのは、この自己肯定感のこと。いろいろなプログラムを通して、幅広い経験を積めたことが、自分の糧になっていると思います。

大谷さん…東京藝大の美術学部デザイン学科は何でもありです。ほかの美大ですと、受験の時からグラフィックや工業デザインなど分かれていることもありますが、東京藝大は「デザイン科」とだけあって、大学でいろいろな経験を積んで、そこから自分の表現を見つけるカリキュラムが組まれています。学生はそれぞれに好きなものが違って、確固たる自分がある人ばかり。1クラス45名なのですが「みんな違って、みんないい」の世界で楽しいです。小林聖心しか知らない私は、東京で馴染めるかな、大丈夫かなと思っていましたが、大学での友達に助けられていますし、今では小林聖心に続く「第二の家」です。現在、4年生で卒展に向けて制作に励んでいます。卒業制作に関しては、立体制作などいろいろとトライしてみましたが、結局イラストにしました。方向性を決めようと考えている時、小林聖心時代を思い返しましたね。あの頃、まわりの友達に「似顔絵描いて」とか「アイコン描いて」と頼まれて、描いていたのが楽しく、友達が喜んでくれたことが、私もうれしくて自信になっていたのですね。また、学院で手掛けた制作物のことも思い出しました。そこに自分の原点があると感じ、イラストにしようと決めることができました。

改めて自分を支えてくれているものを教えてください。

菊田さん…私は1年間、大学浪人しました。その間、まわりの人は「落ち込んでいない?」などと心配してくれましたが、私自身は気持ちが沈んだことがありませんでした。自分で気持ちをキープできたのは、自己肯定感をもとに、目標に向かって進んで行ける力を身につけられていたからではないかと感じています。それも小林聖心で黙想会や振り返りなど、沈黙の中で自分を見つめ直す機会をたくさんいただいたことが大きいと思います。自分で自分を知ることができたのは強みですね。

大谷さん…12年間、一緒に育った友達がいることが私の支えです。同じ環境、同じ価値観で育ってきた小林聖心の友達と久しぶりに会うと心が落ち着きますし、気持ちを共有することができてうれしいです。小林聖心で、友達とにぎやかに過ごしていた楽しい時間も記憶に残っていますが、逆に沈黙のしんとする時間も印象に残っています。私も小林聖心では沈黙の時間を大切にしながら、育てていただいたと思っています。大学生活では黙想会のような静かに過ごす時間はありませんが、時々思い返して、自分を見つめ直します。その時の静かな心を思い出せる、それが自分のスキルとしてあることも心の拠りどころです。

桂田さん…菊田さん、大谷さんから、「沈黙」という言葉を久しぶりに聞いて、「そうだった~」と、私もあの時間の感覚が戻ってきています。心がざわついている時に、たまにひとりになって自分のことを考える時間って大切だったなと思い返しています。今、スマホを触ったり、ゲームをしたり、暇さえあれば何かをしてしまいますが、本も読まず、ゲームもSNSもせず、ただただ静かに過ごす時間が貴重ですし、あのひと時は宝物だと思います。

小林聖心は先輩と後輩のつながりも深いです。私が小学2年生の時、学校案内をした入学間もない小学1年生の子とは今でも連絡を取り合っています。私は家が遠く、電車を乗り換えて通学していましたが、事故などで電車が止まって困った時など、同じ制服の小林聖心生が小学生から高校生までまとまって行動するなど、ひとつになれるのはすばらしいですよね。先輩にやさしくしてもらったから、後輩にも優しくしようと思えましたし、これは脈々と続いていく小林聖心の伝統だと思います。

木ノ村さん…大学に入ってから、自分の技術を向上させたい、うまくなりたいと、自分のために努力を積み重ねていた時、その努力がしんどくなったことがありました。どこまでいっても「自分のため」ということがつらくなった時に、「自分のため」の努力を「誰かのため」の努力に変えられないかと考え、小林聖心で行っていた奉仕活動のことを思い出しました。他者のためにという点に既視感があり、それが小林聖心での奉仕活動につながったことに、私自身が救われたような気持ちになりました。自分のことだけで精一杯になると、視野が狭くなりますし、「どうして自分だけが? どうして私だけができないの?」といった被害者意識につながることもあります。だからこそ、誰かのために何かを提供できる人になっていきたいと、学部を卒業して、最近思えるようになってきました。学部時代は自分の技術のことでがむしゃらに過ごしてきましたが、学部時代に先生に教えてもらったこと、同級生、先輩や後輩に教えてもらったことを、どうやったら社会に返していけるのか、私の場合は音楽で何かできればいいな、成長していけたらいいなと考えています。

将来の夢やキャリアについて教えてください

木ノ村さん…私はバイオリンでもとくに室内楽で、ソロではなく複数人で演奏するカルテットやオーケストラで活躍できるようになりたいです。また自活できるようになったら、猫が好きなので、猫と暮らしたいなと考えていますね。

桂田さん…私の専攻はビオラですが、そもそもビオラはソロとしてではなく、ほかの人と一緒に奏でることで活きる楽器だと思っていました。それが最近では、ビオラのコンクールで日本人が活躍するなど、ソロとしての格が急に上がってきています。室内楽やオーケストラでの活躍を目標にはしていますが、ソロでの活躍も目指したい。マルチな演奏家になれたらいいですね。

大谷さん…今は卒業制作でも迷っているところで、将来のキャリアはイメージしづらいのですが、一度、企業へ就職してみたいとは考えています。その先の将来は、何か自分で自分の表現ができるように、多くの方に見てもらえるアーティストになりたいです。

菊田さん…もともとバイオリンを弾いていたのですが、ビオラに触れる機会があって、1年間迷ってビオラに転向しました。ビオラの誰かのメロディを支える立ち位置が、すごく好きなんですね。将来は室内楽やオーケストラのなかで、誰かの支えとなれる演奏をしたいと考えています。

<取材を終えて>
インタビューではわきあいあいとお話をしてくださったOGの皆さんは、演奏を聞いてくれる人、作品を見てくれる人など、自分の表現で誰かを喜ばせ、幸せにすることを目指している方々。それを究める過程で迷いや焦りが生じるような場面でも、小林聖心で培ったゆるぎない自己肯定感や、自分を見つめ、また歩みだせる力があることを感じた。

今回、一緒にインタビューに立ち会ってくださった広報担当の宇津野仁先生は、「一人ひとり異なる才能をもった個性豊かな卒業生達の言葉の一つひとつが豊かに響き合い、一つのハーモニーを奏でているように感じた。教師冥利に尽きる時間を過ごさせてもらえた」としみじみと語っていた。小林聖心の卒業生達は、音楽や美術、数学や体育など、得意分野は様々だ。彼女たちは同じ学び舎で伸びやかに過ごす中で、多様性の豊かさを味わいながら、それぞれの音色を奏で、一つのオーケストラを作り上げているように感じた。

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