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白百合学園中学校 

スクール特集(白百合学園中学校の特色のある教育 #2)

社会で役立つ力を育む伝統のボランティア活動

創立以来、ボランティア活動に学校全体で積極的に取り組んでいる白百合学園中学校。その内容と、生徒たちの活動の様子をレポートする。

カトリック・ミッションスクールの白百合学園中学高等学校では、学校主導のものから生徒有志の自主的なものまで様々なボランティア活動が行われている。同校の教育理念に基づくボランティア活動について、入試広報部長の田畑文明先生と実際に活動に参加している高校2年生に話を聞いた。

長い伝統を持つボランティア活動

 1881年(明治14年)、カトリックのミッションスクールとして創立した同校。以降、キリスト教の精神に基づいた教育を行い、その一環としてボランティア活動を積極的に実践している。
「イエス様の教えの中に『隣人を自分のように愛しなさい』という言葉があります。困っている人、救いを求めている人がいたら、その人の立場に立って必要な支援を行いなさいという教えです。これは本校の校訓である「従順、愛徳、勤勉」の中の「愛徳」の精神と特に深く関わっています。ですから、ボランティア活動は創立の理念に基づいた大事な取り組みなのです」と田畑先生。

「本校が、3人のフランス人のシスターによって創立された時に、児童養護施設と診療所も同時に作られました。女子に勉強を教えるだけでなく、困っている人に直接手を差し伸べようとシスター自ら愛と奉仕の精神を実行に移したのです。生徒たちはその姿勢を見て、自主的にシスターのお手伝いをしたといいます。ですから、本校のボランティア活動は、とても長い伝統を持っています」

▶︎入試広報部長 田畑文明先生

全生徒参加からクラブ、委員会、有志のボランティア活動まで

 長い歴史を経て、現在も同校の生徒たちは、様々なボランティアに取り組んでいる。学校主導のものでは、毎年、中3以上の有志の生徒数十名が夏休みに東日本大震災の被災地を訪問し、ボランティアや現地の方との交流などを行っている。その時の活動の記録を冊子にまとめて配布し、学園祭では発表を行っている。
 クリスマスの時期に行われる奉仕活動は全校生徒が参加する。クリスマスカード、カレンダーなどを手作りして高齢者に贈ったり、各家庭から持ち寄ったお米やカップ麺、タオル、衣類などを段ボールに仕分けをし、全国の施設や団体に送付したりしている。また、福祉施設や老人ホームを訪問し、清掃や合唱、楽器の演奏なども行っている。

 ボランティアに取り組む「小百合会」というクラブ活動もある。部員たちは活動日に手芸品を作り、それらを学園祭のバザーで販売し、その収益を福祉施設や団体に寄付している。また夏休みには、泊りがけで箱根の児童養護施設を訪問し、子どもたちと交流している。「親と一緒に暮らすのが当たり前という環境で育ってきた生徒にとって、そうでない子どもたちがいて、自分たちに笑顔で接してくれる。そんな状況の中で、いろいろと感じることも多いようです」と田畑先生は話す。
 さらに、同校にはボランティアの委員会もあり、ボランティア団体の方を招いて講演会を実施したり、「口と足で描く芸術家協会」所属の芸術家の作品の販売支援をしたりする活動を行っている。
 そのほかにも、有志が主体となって、原子力発電所の事故の影響で福島県から避難している方々を支えるイベントを開催するなど多くの活動がある。

高校2年生によるボランティア活動の体験談

 今回は、有志のボランティア活動に参加している高2の生徒に、活動の具体的な内容や、ボランティアを通じて感じたこと、考えたことなどを語ってもらった。

話を聞いた生徒
Tさん(高校2年生) 生徒会役員も務めていた

福島から避難している方々と交流するクリスマス会に参加

 Tさんがボランティア活動を始めたのは中3の時。きらきら星ネット※というボランティア団体と、白百合学園が共催するクリスマス会に参加したのが、初めての体験だったという。きっかけは何だったのだろう。
 「特にボランティアに強い思い入れがあったわけではないのですが、募集案内にあった『子どもたちと一緒に遊ぶ』という項目に目が止まりました。私は子どもが大好きで、遊ぶことならできるかなと思ったのがきっかけです。その日はみんなで元気よく外を駆け回ったり、サッカーをしたり、室内でカードゲームを楽しんだりしました」

 Tさんは高1、高2の時もクリスマス会に参加し、ミサの司会や外遊びの責任者なども務めた。
「回を重ねて参加するうちに子どもと楽しく遊ぶだけでなく、周りに目が向くようになりました。保護者の中には、ごミサの最中に涙を浮かべる人もいて子どもの前ではいつも笑顔を見せているけれど、本当はつらい思いをされていることが伝わってきました。同時に、自分には何ができるのだろうと考えるようになりました」

※きらきら星ネット…東日本大震災や、福島県の原発事故によって避難してきた家族たちを支援する草の根のボランティア団体。毎年、白百合学園とのクリスマス会を同校の隣の修道院で開催している。

難民と交流するイベントに参加。今後の進路を考えるきっかけに

 Tさんは、昨年の3月11日に、同じくきらきら星ネットが主催するチャリティデイのイベントに、また7月には、カトリック本郷教会で難民と交流するイベントに参加した。
「難民問題はどこか遠くの国で起こっていて、自分とはあまり関係ない問題というイメージがあり、難民の方がどのような経緯で国から離れなくてはならなくなったのかということを知りたかったという気持ちと、自分の話す英語でどれだけコミュニケーションがとれるか試したいという気持ちで参加しました。日本では難民の認定がほとんどされず、難民の方たちはとても不自由な生活を強いられています。それなのに、交流会では明るく陽気にふるまっていたのが印象的でした。でも、福島県から避難してきた方たちと同様、笑顔の下には、苦しい現状やつらい思いをされていることが垣間見られて、胸が締め付けられる思いがしました。
 その日、難民の方に日本語を教えるボランティアをした後に交流会があり、私は英語でスピーチをしました。最後に『みなさんが1日でも早く日本で自由に生活できるように、私たちができることをしていきたい』と締めくくると、ある難民の方から『あなたたちに何ができるの?』と質問を投げかけられました。私は『私たちにできるのは、今日の交流会で見聞きしたことを含め、難民問題をいろいろな人に知ってもらうように伝える活動をすること。この問題を広めて、多くの人が関心をもてば、問題解決の一歩につながると思う』というようなことを話しました。納得してもらえたかはわかりませんが、私自身はそう信じているので一生懸命伝えました」

 「交流会に参加していた難民の中には、祖国では社会の中枢で活躍されていた方も多く、日本の社会でも活躍できるスキルを十分にもっている方たちです」と田畑先生は言う。
「日本語の勉強も熱心で、積極的に日本の社会に入りたいと努力しているのに、なぜ政府は認めないのだろうと個人的には思いました」とTさん。「今も時々、難民の方の表情を思い浮かべることがあります。そういう経験を通じて、今後の進路についても関連付けて考えるようになりました。将来は、海外と日本の架け橋になるような仕事ができたらと思っています」

奉仕の精神が芽生えたことを実感

 ボランティア活動を通じて、自分が成長したと感じるのはどんなことだろうか。
「他の誰かのために行動することで強い喜びを感じられるようになりました。『受けるよりも与えるほうが幸いである』という言葉が聖書にありますが、これがそうなんだ! と実感できたのです。ボランティア活動も、最初は誰かを支援をしたいという気持ちで参加したのですが、実は自分のほうが、多くのものをいただいているということがわかりました。
 つい先日、1人の白百合学園の中学生から、ボランティアを何から始めたらいいかという質問を受け、『自分の好きなこと、得意なことから始めるといいよ』とアドバイスをしました。最初はいろいろなボランティアに参加し、それから、自分が一生懸命になれるものを選べばよいと思います。また、『こうしなくてはいけない』という思いが強すぎる時や、精神的にきつい時は、無理してボランティアに参加しないほうがいいと思います。まずは自分が喜んでボランティアに関わることが大事。そうでなければ、相手も楽しい気持ちになれません」

 最後にTさんは、今後の抱負を次にように語った。
「お芝居が好きなので、海外で学んでみたい気持ちがあります。そして日本のいいところ、海外のいいところを伝えていきたいです。そのためには、語学力やコミュニケーション力を身につけなくてはなりません。また、卒業後もボランティア活動は続け、白百合学園のボランティア活動もサポートできたらと思っています」

ボランティア活動を通して、共感力を育成

 ボランティア活動をすることで、自分を見つめ直したり、進路を考えたりするきっかけにもなったというTさん。そうした経験は、社会に出た時に必ず役立つと田畑先生は言う。
 「ボランティアは『あなたがしてもらいたいと思うことを相手に対しても行う』こと。つまり相手の立場に立って、その人が必要としている援助をすることです。そうした活動を通して、共感力や相手のニーズを読み取る力がついていきます。それは、グローバル化が進んでいくこれからの社会でますます求められる力だと確信しています」
 そして田畑先生は、生徒たちに期待を込める。
「弱い立場の人の支援をする中で、周囲の人々の理解や協力を得ることができない時など、つらい気持ちになることもあります。けれども、あきらめることなく使命感をもって行動することが大切です。本校の教育の根底にあるのは、社会のために役立てる女性を育成することです。奉仕をすることに喜びを見いだせる人になってほしいと願っています」

<取材を終えて>
同校には、ボランティアの精神が深く根づいていて、生徒たちも抵抗感なく自然に参加していることがわかった。印象的だったのは「ボランティア活動をする際、自分が楽しい気持ちで臨まなければ、相手にマイナスの感情を与えてしまう」というTさんの言葉だ。しかし、ボランティアに関わることは「自分に何ができるのだろうか」と課題を突きつけられたり、田畑先生がいうようにつらい思いをしたりすることもあるだろう。それでも、活動を続ける強い気持ちと実行力が生徒たちを成長させ、社会に出た時に必要とされる力を培っていく。取材を通して、そのことを強く実感した。

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