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スクール特集

中学受験スタディが特別取材した私立中学の特徴ある教育

環境教育と大学連携教育
「やってみなはれ」の精神で生徒の成長を後押し

写真豊かな人間性と高い学力を備え、社会に尽くす人の育成に力を注ぐ雲雀丘学園。
生徒の視野を広げ、将来の進路選択にも役立つ体験学習や、一人ひとりに応じたきめ細かい進路指導により、近年大学進学実績が大きく伸びています。

雲雀丘学園の開校は戦後間もない1949年、地域の子どもたちのために学校を創ろうと立ち上がった地元財界学界有志により、環境のいい雲雀丘の地に創立されました。初代理事長はサントリー創業者鳥井信治郎です。
学園では鳥井信治郎の精神を受け継ぎ、温かい校風を大切にしながら生徒のチャレンジ精神を育てています。

雲雀丘学園中学校の教育の特色について、校長先生にお話をうかがいました。

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雲雀丘学園中学校 校長 岡村 美孝先生のお話

「孝道」を建学の精神として

近年、青少年をめぐる殺伐とした事件が相次いでおり、たいへん胸を痛めています。現代社会は人間関係が希薄になり、心の触れ合いが少なくなっています。思いやりや助け合う心が育ちにくくなっていることが、こうした事件の要因ではないでしょうか。
人への優しさや感謝の気持ちが人として何より大切だと改めて思います。

写真本校の建学の精神は「孝道」です。「孝道」とは、「親孝行」のことです。学園の初代理事長となった鳥井信治郎の方針が反映されています。
鳥井信治郎は「親孝行な人はどんなことでも立派にできます」と説きました。親子の情愛を感じながら育った子どもは、思いやりや感謝の気持ちが自然と育まれる。困難に負けない強さも養われます。そういう子どもは将来社会に尽くす立派な大人になる。鳥井の言葉にはそうした考えがこめられています。

本校は創立以来、この建学の精神にもとづいて教育を行っています。思いやりや、素直に感謝する心を持ち、心身ともに健やかであること。それが人としての根本です。根本をしっかりと養い、社会に尽くす人間となるよう育てることが本校の教育理念です。

「やってみなはれ」の精神

本校の教師は教育熱心です。生徒も真面目です。職員室の一画に交流スペースがあります。ここで勉強を教えたり、面談したりしていますが、生徒たちは朝も昼も放課後も質問にやって来ます。先生も一生懸命教えています。
教師たちは親心で生徒を育てているのです。教師の愛情を感じながら、生徒に成長してほしいと思います。本校は温かい校風です。それはやはり「孝道」の精神からきていると思います。

本校が大事にしていることがもう一つあります。それは「やってみなはれ」の精神です。これも鳥井が口癖のように言っていたことです。鳥井はチャレンジ精神が大事だと社員に教え、自由に仕事をさせました。
学校としても、まさに「やってみなはれ」の精神で生徒の背中を押し、挑戦する心を育てています。

そのために力を入れているのが、体験的な学びです。「やってみなはれ」の精神で、生徒がさまざまなことに興味を見出し、視野を広げる体験的な学びをたくさん設けています。それによって自分の得意なことに気づき、大学の志望、さらにその先の道を考えてほしいと思います。
次に、体験的な学びとして2つの大きな取り組みを紹介しましょう。

環境教育~中学生の取り組み

まず環境教育です。本校では2008年より環境学習をスタートさせ、小学校から高校まで学園を挙げて取り組んでいます。中学校・高校では、各学年で環境について体験的に学ぶ機会を設けています。

中学1年生は「里山」をテーマに、本校の近所にある「北雲雀きずきの森」で地元の人たちといっしょに森の保全に取り組みます。
以前は放置されていた森を、現在では「北雲雀きずきの森」として、地元ボランティア団体が中心になって守っています。森では外来種の樹木「ハリエンジュ」が増え、在来種の脅威になっているため、駆除を行っています。そこで生徒たちもボランティア活動に参加し、ハリエンジュの駆除を体験します。

写真中学2年生は「水と森林」をテーマに、奥大山での登山やブナの森工場見学・植樹活動、サントリー水科学研究所見学などを行います。サントリー水科学研究所では水について話をうかがいます。

中学3年生は「沖縄の環境」をテーマとし、修学旅行は沖縄です。琉球大学の先生の研究所を訪ね、院生たちとともに研究について学びます。マングローブの観察やサンゴの植え付けなどのフィールドワークも行います。

中高生の有志による「環境大使」も活動しています。「きずきの森」での保全活動や、丹波篠山での黒豆畑作体験などさまざまに活動しています。黒豆づくりでは、無農薬栽培を行う農家の方から指導を受けます。生徒たちは獣害の話を聞いたり農業について聞いたり、机上では学べないことを農家の方から学んでいます。

環境教育~高校生の取り組み

高1は食育講座を開き、地産地消やエコ弁当について学びます。家庭科の調理実習では地産地消によるエコ弁当を作ります。これは保護者にも呼びかけ、親子でエコ弁当のアイデアを出してもらいます。
高2の修学旅行は北海道です。ここでも環境学習プログラムとして、植林活動などを行います。

写真中学生も高校生も、修学旅行では一般の民家に泊めていただく民泊も行います。高校の修学旅行では農家に泊まるファームステイを行い、環境や農業について学んでいます。
また、各学年で環境講座も開きます。たとえば中3は「生物多様性」、高2は「生態系と生命」、それぞれ専門家を招いて話を聞きます。

本校では「本物」に触れて学ぶことを重視します。環境教育でもそれを実践しています。
またもう一つ大切にしていることは、人との触れ合いです。地元の方々や農家の方との心の触れ合いは大きな意義があります。修学旅行での民泊では家族との触れ合いもある。そうした体験から、生徒たちは農業のことを学ぶだけでなく、自分の家庭や親のことを振り返るきっかけを与えられます。

国のエネルギー教育モデル校に

環境を保全する活動は校内施設にも及んでいます。屋上は緑化し、校内グリーンカーテンも育て、冷房効率の向上を図っています。さらに、生徒たちの手によって、校庭に天然芝が植えられました。
本校の広々とした敷地内にはメタセコイヤやヒマラヤ杉などの大木が多く、それらの保全にも努めています。

太陽光発電を行い、教室の電気などに活用しています。企業の協力のもと雨水タンクも設置しました。校内畑作として、生徒がトマトやイチゴ、サツマイモなどを栽培しています。

こうした活動により、本校は現在、経済産業省エネルギー庁のエネルギー教育モデル校に選定されています。

大学医学部との連携教育を推進

次に、もう一つの大きな取り組みである大学連携についてお話ししましょう。本校ではさまざまな大学や研究所との連携教育を推進しています。
近年医療系への進学希望者が増えていることを受け、特にそれに応じた連携に力を入れています。

写真鳥取大学医学部との連携では、専門分野について講義や体験学習を行っています。「遺伝子実験を体験しよう」「細胞から染色体までのミクロの世界を覗いてみよう」「『見えない世界を見る』ウイルスの物語」など5つに及ぶ魅力的な講座を設置し、医学に興味のある生徒たちが参加しています。この体験により、医師になりたいという思いが強まったという感想が生徒から寄せられています。

徳島大学医学部との連携では、臨床診察練習として、モニターを通しての腹腔鏡手術の疑似体験や講義などを受けています。総合科学部でも「食品の大腸菌検査」などの講座を設置しています。
森ノ宮医療大学では、鍼灸学科・理学療法学科との連携を行い、鍼灸治療の研究を体験し、実験も行います。

サントリーの研究所で研究者体験

研究者体験も行います。こちらはサントリー生物有機科学研究所との連携です。生徒たちは自分が研究者になったつもりで、5日間に及び各自1つのテーマで実験を行います。最終日は研究員の前で発表し、質疑応答も行います。このプログラムに参加した生徒は、「研究者になりたい」という夢を膨らませています。

人文・社会学系の学びも、体験を伴う魅力的なプログラムを実施しています。
同志社大学・同志社女子大学との連携では、考古学の学びとして発掘調査現場を実際に訪れ、そこでレクチャーを受けます。生徒は発掘された遺物の洗浄作業なども体験しました。

鳥取大学との連携では、「風車工学入門―風車を使って実験してみよう!(工学部・地域学部)」「毛髪と食品の水銀分析(地域学部)」「まちなか課題発見フィールドワーク(地域学部)」など5講座と、こちらも充実しています。

 

 

高校3年生91人が現役合格

大学連携教育は、講座によって中学3年生~高校3年生までを対象に行います。希望者を募り、自分の興味ある分野で体験します。どの分野も高校の範囲を超えた専門的な学びになるので、本人の意欲が大切です。それと、少人数による学びも大切にします。夏休み・春休みに行うので、宿泊してじっくり学びます。

大学連携教育は、生徒の進路にも大きな影響を与えます。こうした体験により、それぞれが学ぶ目的を持ち、意欲が向上します。
近年は理系志望者が増えており、高校3年生の全体の6割は理系に進学します。医学部の推薦入試に合格する生徒も出ています。生物系分野では女子も増えています。

生徒たちは大学受験もがんばっています。2015年の大学合格実績として、国公立大学に112名が合格し、うち91名が現役です。さらに91名中、16名がAO入試および推薦入試での合格です。国公立大医学部や薬学部、工学部などへの現役合格者も出ています。私立も医歯薬系進学者が増えています。

生徒一人ひとりのための進路指導

こうした進路実績は、生徒一人ひとりの特性、よさを引き出す教育の成果と受け止めています。
また学校を飛び出してさまざまに体験する環境学習や大学連携教育も重要です。

本校では進路指導も生徒一人ひとりに応じてきめ細かく行います。魚が好きな生徒はその方面の進路を案内し、虫な好きな生徒にはその研究ができる学科を紹介する。以前、虫が大好きな生徒がいました。その生徒は数学や英語は苦手科目だったのです。でも先生は、ある国立大学を勧めました。大好きな虫を研究できる大学だったので「やってみなはれ」と。すると生徒はがんばって合格し、いま生き生きと学んでいます。

本校の先生たちは生徒一人ひとりをよく見ます。小さなよさや、成長を見逃さず、可能性を見出そうとします。そして、その生徒にとってどんな進路がいいのか、どういう生き方がいいのかを考える。親心と「やってみなはれ」の精神で生徒を応援します。

学園の今後の展望として、環境学習や大学連携など、体験重視の学習とともに、現在推進している英語・国際教育もさらに充実させていきます。これらの教育により自ら問題発見・問題解決する力、英語・日本語による発信力、コミュニケーション力などを高めます。来たる大学入試改革にも対応する総合的な力を養っていきます。

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